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2018年12月31日

夜間の頻尿、なかなか出ない、キレがわるい


Post-stroke lower urinary system dysfunction and its relation with functional and mental status- a multicenter cross-sectional study
2018  12月  トルコ

夜間頻尿や切迫感、失禁、残尿などをともなう「下部尿路機能障害」は末梢神経や脊髄 中枢神経系の健全性と関連があり、脳卒中経験者のおおくがその症状をもつという。

これら症状の有無と認知機能およびQoLの関連をくわしくしらべてみたそうな。


2015-2016 トルコ6箇所の病院での脳卒中患者260人について、

下部尿路症状のアンケートおよび生活自立度(Modified Barthel Index)、QoL(Incontinence Quality of Life Questionnaire),認知機能検査(Mini Mental State Examination)をおこなったところ、


次のことがわかった。

・93.5%が少なくとも1つ以上の下部尿路症状を報告していた。

・もっともおおかった症状は 夜間頻尿(nocturia)の75.8%だった。

・下部尿路症状でとくに失禁をともなう患者の生活自立度、QoL、認知機能検査はあきらかに低い評価だった。

下部尿路機能障害は脳卒中患者にとてもありふれていて、認知機能や生活自立度 QoLの不良と関連があった、

というおはなし。

図:下部尿路症状
Hesitancy:出るまでに時間がかかる。 Straining:腹圧をかけないとでない。Dysuria:排尿時の痛み。 Terminal dribbling:だらだらと長く続く。


感想:

上の表が症状リスト。さいきんきになってきた。3-4つあてはまる。
隣に人が立つとでにくくなってしまうことがもともとあった。
慢性期脳卒中の下部尿路症状について

2018年12月30日

若年脳梗塞の1年後 男女のちがい


Sex differences in clinical characteristics and 1-year outcomes of young ischemic stroke patients in East China
2018  12月  中国

若年者の脳梗塞発生率は上昇傾向にあり、長期的な死亡率は同年代の一般人にくらべてかなり高いという。

彼らの長期的回復の男女差の研究は少なく、ある調査では死亡率は男性が高く、別の調査では女性の回復不良がおおいとする相反する結果がえられている。
しかも中国人での調査はまだない。

そこで中国人について脳梗塞男女の長期の回復度のちがいをしらべてみたそうな。


南京第一病院での50歳未満の脳梗塞患者228人について、
12ヶ月後に死亡または重い障害を負っているリスクを男女別に比べてみたそうな。


次のようになった。

・入院時の収縮期血圧は 130 vs. 138mmHg で女性があきらかにひくかった。

・mRSスコア3-6の回復不良患者は女性におおく、

・脳卒中歴、入院時の神経症状の重さ、肺炎などの合併症で調整したあとの回復不良リスクは男性の3.45倍だった。

若年脳梗塞患者の長期の回復度には男女でおおきなちがいがあり、12ヶ月後の回復不良可能性は女性で高かった、


というおはなし。

図:若年脳梗塞患者の回復不良要因


感想:

理由はわからないけど若い中国人女性には心房細動がおおい(14.8%  vs  5.4%)から ではないかっていってる。

2018年12月29日

身長と脳卒中 まとめ


Sex-specific relationship between adult height and the risk of stroke- A dose-response meta-analysis of prospective studies
2018  12月  中国

身長は遺伝のほかに環境要因として栄養状態や社会経済的状況を反映すると考えられ、これまでもおおくの研究で健康マーカーとして扱われてきた。

身長と脳卒中リスクについてもいくつもの研究があるが かならずしも一致した結論がえられていないので、メタアナリシスをこころみたそうな。


関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・成人の男性200万人と女性75万人をふくむ20の研究がみつかった。

・身長と脳卒中リスクは逆相関にあり、身長が5cm高くなると脳卒中リスクは男性で0.93倍、女性で0.88倍になった。これは非線形の用量関係にあった。

・男女のあきらかな脳卒中リスクの差は確認できなかった。

・脳卒中の種類別にも同様だったが 脳梗塞よりは脳出血でやや関連がつよかった。

身長が高いほど脳卒中リスクが男女ともにあきらかに低くなった、


というおはなし。

図:身長と脳卒中

感想:

身長的にはリスクひくいはずなのに脳が血を吹いたわ。

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2018年12月28日

若い経験者の長期的な死亡 再発リスク


Young Stroke Survivors With No Early Recurrence at High Long-Term Risk of Adverse Outcomes
2018  12月  カナダ

脳梗塞の発生率はぜんたいとして低下傾向にあるものの、45歳未満での脳卒中発生率は上昇傾向にあり8-21%におよぶという。

彼らは早期の高い死亡率や再発率が注目されているが、再発もなく退院できた患者の長期的な悪化の可能性についてはよくわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。


カナダオンタリオの患者データベースから、
脳卒中で再発もなく退院できた44歳以下の患者13410人と45歳以上の250250人および、
それぞれの10分の1の人数の年齢や性別 収入などの一致する他の病気の患者を抽出して、

1,3,5,年後の死亡または再発など心血管疾患との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・若年脳卒中経験者の長期的な死亡や再発の率は高齢者よりもあきらかに低かったが、

・脳卒中経験のない同じ若年者と比べたときの1年後の死亡や再発リスクは7.3倍で、

・5年後でもそのリスクは血管疾患リスクを調整しても5.2倍に及んだ。

・高齢の脳卒中経験者と非経験者の比較では5年後のリスクは1.3倍だった。

若年脳卒中で再発もなく退院できた患者であっても、長期的にみると死亡や再発のリスクは、高齢者どうしの比較ではみられないほどに非常に高かった、


というおはなし。

図:若年脳卒中の長期死亡リスク

感想:

がん細胞は若い人ほど増殖が盛ん、っていうのとおなじように脳卒中に関係する何かの進行が速いとかあるのかな。

2018年12月27日

失語症は女性がなりやすいのか?


Sex differences in post-stroke aphasia rates are caused by age. A meta-analysis and database query
2018  12月  デンマーク

脳卒中患者の失語症の率は調査により15-68%と幅がある。さいきんのメタアナリシスでは約30%が失語症になるという。

これには男女のちがいも影響すると考えられている。いっぱんに女性の脳卒中のほうが重症であることから失語症は女性におおいとする考えと、言語機能がいっぽうの脳半球に偏る程度が男性のほうが強いことから失語症は男性におおくなるとする仮説があるがじっさいのところはよくわかっていない。

これを確認するべくこれまでの研究のメタアナリシスと、アメリカの公開データベースをつかってくわしくしらべてみたそうな。


失語症の性差に関係する研究論文を厳選してデータを統合 再解析した。

また、約200万人の脳卒中のアメリカ人患者を含む健康データベースをつかって、年齢や重症度を加えた解析をおこなったところ、


次のことがわかった。

・脳卒中で失語症の48362人をふくむ25の研究がみつかった。

・いずれの解析でも失語症率は男性より女性のほうが高かった。(約1.1倍)

・脳卒中の発症年齢で調整すると失語症率の有意な性差は確認できなかった。

脳卒中後の失語症率は女性で高かった。これは女性の言語機能のいっぽうの脳半球への偏りが小さいとする仮説に反するものだった。このような性差は患者の発症年齢のちがいで説明できそうだった、


というおはなし。

図:失語症年齢の男女の差

感想:

女性におおいにはおおいけど、女性だからなりやすいわけではなくて、長生きゆえにより高齢で脳卒中になるから症状が重くなって そのついでにってことなんだな。

2018年12月26日

てんかんを防ぐ補陽還五湯(ほようかんごとう)


The effects of Bu Yang Huan Wu Tang on post-stroke epilepsy- a nationwide matched study
2018  12月  台湾

脳卒中のあとのてんかん発作は患者の6-12%に起こるという。

伝統中国医学のうち漢方薬は台湾ではよく用いられ、とくに「補陽還五湯(ほようかんごとう)」はもっともおおく処方されている。

補陽還五湯の抗てんかん効果についてはよくわかっていないので大規模にしらべてみたそうな。


台湾の健康保険記録から脳卒中のあとの補陽還五湯の使用者、非使用者について他の条件がそろうようにそれぞれ8971人ずつ抽出した。

てんかん発作の有無を5-9年間フォローして関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・補陽還五湯グループはてんかん発作リスクが0.69倍だった。

・この関連は、脳出血、脳梗塞、TIAなどで同様だった。

・補陽還五湯の使用量とてんかん発作リスクには用量関係があり、多く使用する者ほどリスクは低かった。

脳卒中のあと補陽還五湯を使うことでてんかん発作のリスクが長期にわたり低下した。この関連は脳卒中の種類によらなかった、


というおはなし。

図:補陽還五湯のてんかん予防効果

感想:

補陽還五湯はなんどかでてきた↓。検索すると通販サイトで買えるようだ。
脳卒中治療にもっともよく使われる漢方薬が明らかに

脳梗塞実績No.1漢方薬 → ほようかんごとう

2018年12月25日

生まれたときの体重と脳内出血&くも膜下出血


Early Life Body Size in Relation to First Intracerebral or Subarachnoid Hemorrhage
2018  12月  デンマーク

いっぱんに脳内出血は男性におおく、くも膜下出血は女性におおい。またいずれも脳梗塞にくらべると若年者におおい。

出生時体重および子供時代の体重と脳梗塞リスクとの関連が確認されている。しかし脳内出血やくも膜下出血についてのそれはよくわかっていないのでしらべてみたそうな。


1936-1989に生まれた240234人について、出生時体重と7-13歳のBMIおよびその後の脳内出血やくも膜下出血との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・出生時体重が500g増えると、女性のくも膜下出血リスクが10%低下し、男性の脳内出血リスクが10%低下した。女性の脳内出血と男性のくも膜下出血との関連はなかった。

・男性では子供時代のBMIが平均を下回っていると脳内出血リスクが高かった。これは7歳よりも13歳のときの影響がおおきかった。女性での関連はみられなかった。

・子供時代のBMIとくも膜下出血との関連は男女ともになかった。

出生時や子供時代のボディサイズはのちの脳内出血やくも膜下出血のなりやすさと関連があり、男女でことなっていた、


というおはなし。
図:脳内出血とくも膜下出血の男女差
脳内出血とくも膜下出血の年齢と男女別 発生率


感想:

上のグラフ(右)みるとくも膜下出血はぜんぜん高齢者の病気じゃないんだな。

ついでに脳内出血が男におおい(左)こともいまさらながらに知ったよ。

2018年12月24日

くも膜下出血で認知障害がおきる条件


Predictors of cognitive function in the acute phase after aneurysmal subarachnoid hemorrhage
2018  12月  ノルウェー

くも膜下出血経験者の65%は認知機能の低下をしめすという。たとえ身体機能になんの障害も残らなかった者であっても慢性期には認知障害になることがある。

急性期での認知障害の予測因子についての研究はおおくないのでくわしくしらべてみたそうな。


脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血で手術をした急性期患者51人について、

認知障害テスト(global cognitive impairment index)をおこない、認知機能が良好(スコア0.75未満)と不良の患者を分類した。

関係するパラメータおよび退院時の生活自立度mRSスコアとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・57%の患者が認知機能が不良だったが、そのおよそ半数はmRSまでが不良というわけではなかった。

・ほとんどの患者で遅延記憶(すこしまえの記憶)に影響があった。

・水頭症とあらたな脳梗塞が認知障害との関連がつよく、

・脳脊髄液の排出量が2000mlを超える場合はリスク6倍で、あらたな脳梗塞がおきた場合はリスク11倍だった。

急性期くも膜下出血患者の半数以上が認知障害を示した。これはかならずしも身体機能には反映しなかった。水頭症とあらたな脳梗塞が認知障害の予測因子と考えられた、


というおはなし。

図:認知障害テストとmRSスコア

感想:

くも膜下出血は脳梗塞とはちがって、頭痛や吐き気をがまんできるものならがまんして できるだけ病院にいかないほうがいいと考えている。

なぜなら治療と称しておこなわれる再出血予防のためのクリッピングやコイリング手術にはそのリスクに見合う効果があるとはとても思えないから。
※根拠↓

1) 再出血予防のクリッピング手術のRCTは存在しない。(by 治療ガイドライン(pdf))→60年代のCTもMRIもないころに得られた知見を検証しようともせずに盲信し続けているということ。

2) がまんして入院が遅れるほど死亡率は劇的に下がる。→手術を逃れて入院を2週間がまんした場合死亡率は 86→49%に、1ヶ月がまんで13%にまで下がる。

3) もっとも再出血しやすい24時間以内の手術にまったく効果がない。→「再出血が起きるから命が危険」理論はぜんぜんアテにならないってこと。


うかつに脳をいじらせないようにすれば水頭症やあらたな脳梗塞もおきず認知障害も減るんじゃないのかな。

2018年12月23日

NEJM誌:成人の4人に1人はいつか脳卒中 世界的に


Global, Regional, and Country-Specific Lifetime Risks of Stroke, 1990 and 2016
2018  12月  アメリカ
脳卒中による死亡や障害での全世界的負担の7-8割は中低所得国で発生しているという。これらの国々での脳卒中予防策は高所得国のそれとおおきくことなる。

ある年齢以上の成人が残りの人生で脳卒中になる確率を他の病気で死亡する可能性も考慮にいれて評価した「生涯リスク」がわかれば予防戦略の助けになる。

そこで195ヶ国で328の疾病について研究する「世界の疾病負担(Global Burden of Disease : GBD)スタディ2016」のデータを使って世界の脳卒中生涯リスクを評価してみたそうな。

2018年12月22日

Stroke誌:くも膜下出血の1年後を推定する方法


Home-Time as a Surrogate Marker for Functional Outcome After Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage
2018  12月  スイス

くも膜下出血の長期的な予後予測はむつかしく評価する者によっておおきくことなる。

いっぽう脳梗塞については 発症後一定期間内に自宅で過ごした時間がその後の回復度を反映し客観性のある評価を可能にするという報告がある。

これをくも膜下出血にたいしても応用してみたそうな。


スイス国内8病院のくも膜下出血患者1866人について、

発症後90日間に自宅で過ごした日数を調査し、退院時と1年後の生活自立度mRSスコアとの関連を解析したところ、


次のようになった。

・自宅日数と退院時のmRSスコアは明らかな関連があり、特にmRSが0-4の範囲ではっきり区別ができた。

・同様に1年後のmRSスコアは0-3の範囲で自宅日数とあきらかに関連した。mRS4-5の範囲は区別はできなかった。

くも膜下出血のあと90日間に自宅で過ごした日数をみれば1年後の状態を、とくに回復良好者について簡単かつ正確に予測できた、


というおはなし。

図:自宅時間とくも膜下出血の1年後mRS


感想:

ようするに回復良いほど早く退院して家にもどるってことなんだけど、病院に残ってリハビリがんばる人もいれば病院にいても仕方がないので家に帰される人もいる。
だからこれで重症者をこまかく区別するのはむつかしい。

1年後mRSが2以下の回復良好者の条件は、上の図みると90日内の自宅日数がだいたい30日以上あることだから、入院後2ヶ月で退院できていないと望み薄いってこと。

2018年12月21日

昼寝リハビリの効果を検証


Can Daytime Napping Assist the Process of Skills Acquisition After Stroke?
2018  11月  ドイツ

脳卒中患者の運動学習は機能回復のための重要なテーマの1つである。

これまで夜間の睡眠のあとにつよい運動学習効果があらわれることがわかっている。日中の睡眠についても同様の効果が若年者や高齢者でも報告されている。

脳卒中患者についても日中の睡眠で運動学習がすすむものか、実験してみたそうな。


慢性期脳卒中患者30人について、
昼寝時間が a)なし、b)10-20分、c)50-80分 の3グループにわけた。

麻痺手をつかった視覚運動課題を計3セッションおこない、各前後でパフォーマンスを評価した。
セッション1と2の間に昼寝を、2と3の間に夜間睡眠をはさんだ。
睡眠状態は脳波をもって確認した。

その後、健常者30人の非利き手についても同様の実験をおこない比較した。


次のようになった。

・患者の運動パフォーマンスはセッションごとに向上したが、途中の睡眠による効果はまったくみられなかった。

・健常者との比較についても同様で、昼寝の効果はみられなかった。

運動課題のあとの1回の昼寝によるパフォーマンス向上効果は確認できなかった、


というおはなし。

図:昼寝の脳卒中リハビリ効果

感想:

実験室で「さぁ昼寝してください」って言われても眠れるかね? 脳波的には眠っていてもいつもの眠りではないわな。

これおもいだした。↓
ビデオを観て昼寝するだけのリハビリとは

眠っている間にリハビリがすすむオフライン運動学習とは

リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ

2018年12月20日

Stroke誌:デュアルタスクで転倒を防ぐ


Dual-Task Exercise Reduces Cognitive-Motor Interference in Walking and Falls After Stroke
2018  12月  香港

脳卒中経験者では運動と認知機能が同時要求される二重課題のパフォーマンスが低下することがわかっていて、転倒との関連も指摘されている。

つまり脳卒中経験者の転倒はバランス能力の問題ではなく二重課題下での注意リソースの配分に原因がある可能性がある。

二重課題訓練が歩行パフォーマンスを改善するとするこれまでの研究のおおくは運動機能に重点をおいたものがおおく、歩行バランス能力が向上したのか単に注意の優先度を変えたのか区別がつかないうえにサンプル数も少なかった。

そこで、二重課題訓練による歩行および認知機能の両方を評価して おおくの被験者でくらべてみたそうな。


軽中程度の運動麻痺のある慢性期の脳卒中経験者84人をつぎの3グループに分けた。

*単一課題訓練(通常の歩行リハビリ)
*二重課題訓練(注意配分しながらの歩行)
*比較グループ(上肢訓練)

これを1回60分x週3回x8週間おこない、

この前後および8週間後に

歩行課題テスト:前方歩行、タイムアップアンドゴー、障害物ありの前方歩行および

認知課題テスト:言語流暢性テスト、連続引き算 、

の各組み合わせをおこなった。

歩行時間短縮効果と、単位時間あたりの正答率を評価 比較した。
その後6ヶ月間の転倒回数や社会参加、QoLも調査した。


次のようになった。

・二重課題訓練グループでのみ歩行タイムの短縮があった。とくに前方歩行+流暢性テストで9.5%、前方歩行+連続引き算で9.6%、TUG+流暢性テストで16.8% 改善した。

・この改善効果は8週間後も続いていた。

・認知機能テストは二重課題訓練による正答率のあきらかな変化はなかった。

・二重課題訓練により転倒数が22.2%減少し、25.0%の転倒リスク低下につながった。

・社会参加やQoLに変化はなかった。

歩行中の注意配分をうながす訓練により、二重課題時の移動能力および転倒数が減少した、


というおはなし。

図:転倒の原因
転倒の原因


感想:

すでにこの事実に気づいていたので、外出時には常にスマホONにしてポケモンを狩りながら歩くようにしている。そのおかげで現在トレーナーレベル32 まできた。
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2018年12月19日

地域の緑と脳卒中メカニズム


Association Between Residential Greenness and Cardiovascular Disease Risk
2018  12月  アメリカ

脳卒中など心血管疾患は居住する地域の住民の質や道路との位置関係に影響をうけることがわかっている。

いっぽう居住地域の草木の緑の多さは心血管疾患や呼吸器死亡率をさげるとする報告がいくつかあるが関連は低くメカニズムもあきらかでない。

そこで、居住地域の緑の多さと心血管疾患との関連をくわしくしらべてみたそうな。


ケンタッキー州ルイビルの住民408人について、
血液と尿サンプルを採り心血管疾患関連のバイオマーカーをしらべた。

かれらの居住する地域250m四方の植生指標を衛星データから求め、関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・年齢、性別、喫煙、貧困度、スタチン、道路状況を考慮にいれてなお、居住地区の植生指標と尿中アドレナリンレベルと脂質酸化指標であるF2-isoprostaneは逆相関にあった。

・特に尿中アドレナリンレベルとの関連は女性に顕著だった。

・また血中の血管新生細胞の15種類中11種類で植生指標と逆相関にあった。

居住地域に緑がおおいと交感神経の活動や酸化ストレスがさがり、血管新生能力が高まる、


というおはなし。

図:衛星センシングによる植生調査

感想:

しばらく東京に住んで勤めていたことがあるけど いつも緑に「飢えていた」。近所のゴミだらけの狭く汚い公園であっても木や草を見るだけで癒やされる感覚があった。

2018年12月18日

脳内出血がとまりにくい血液型


ABO Blood Type and Hematoma Expansion After Intracerebral Hemorrhage- An Exploratory Analysis
2018  12月  アメリカ

脳内出血で血腫増大があると予後がよくない。その要因には抗凝固薬の使用や個人ごとの血液の凝固しやすさの違いが考えられる。

ABO式血液型と脳卒中との関連はいくつもの報告があり、フォン ヴィレブランド因子(vWF)と血液凝固Ⅷ因子との関連が指摘されている。

そうであるなら、O型患者は他の血液型(A,B,AB)にくらべvWFが少なく凝固しにくいので血腫増大リスクが高いことになる。

このあたりを確かめるべく 脳内出血患者の血液型と血腫増大との関連をくわしくしらべてみたそうな。


脳内出血患者272人の血液型を調べ、
CT画像から確認した血腫の33%以上の増大ケース
および3ヶ月後の回復度との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者内訳は、O型54%、A型30%、B型13%、AB型3%で、

・B型のみ血腫増大リスクがあきらかに高く、関連要因を調整しても他の血液型のおよそ2.8倍だった。

・3ヶ月後の回復度や死亡リスクとの関連はみられなかった。

血液型Bの脳内出血患者はあきらかに血腫増大しやすかった、


というおはなし。

図:

感想:

どういうメカニズムかは不明だが、じぶんもB型の脳内出血経験者だから他人事ではない。

いっぽう脳梗塞はAB型?↓
[血液型]の関連記事

2018年12月17日

Stroke誌:右の脳卒中は車にはねられやすい


Increased Risk of Traffic Injury After a Cerebrovascular Event
2018  10月  カナダ

脳卒中経験者の交通事故の遭いやすさは脳の損傷位置と関連すると考えられるがよくわかっていない。

そこで、重大な交通事故への遭遇と左右脳半球の損傷との関連を大規模にしらべてみたそうな。


脳血管イベント(TIAまたは脳卒中)の経験者26144人について6年間ほどフォローして、

*自動車運転中の事故で救急救命要請が必要になったケース または
*歩行中に自動車に接触して救急搬送されたケース、もしくは
*道路で自然に転倒して骨折や捻挫するケースを抽出した。

これらと脳血管イベントによる左右の脳損傷との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・運転中の事故は377件あり、率は年間1000人あたり2.2人で(一般人は1.7人)、損傷脳半球の左右でのちがいはなかった。

・歩行中に自動車に接触する事故は327件あり、年間1000人あたり1.9人で(一般人は0.4人)、その率は右脳損傷者におおく 2.1 vs. 1.7人で、

・関連要因を調整したリスクは左脳損傷者の1.27倍だった。

・転倒骨折等での脳半球の差はなかった。
脳卒中経験者は歩行中に自動車にはねられやすく 特に右脳損傷で顕著だった。彼らには運転教習レベルの歩行指導が必要だろう、


というおはなし。

図:交通事故 右脳左脳の脳卒中


感想:

右脳損傷で とくに車にはねられやすいのは、都会に住む若年者で神経症状が軽く障害の残らなかった人なんだって。

認知やられてる自覚がないままに歩行を舐めてるんだとおもう。もっと緊張感を持て ということかな。

2018年12月16日

慢性期脳卒中への幹細胞治療 その後


Two-year safety and clinical outcomes in chronic ischemic stroke patients after implantation of modified bone marrow–derived mesenchymal stem cells : a phase 1/2a study
2018  11月  アメリカ

日本企業が開発した幹細胞治療薬を患者に移植してから2年間が経ったそうな。


ドナーの骨髄から採取した幹細胞に遺伝子改変処理をして、慢性期の脳梗塞患者18人へ定位脳手術的に移植した。

このときの有害事象と機能改善効果を2年間フォローしたところ、

2018年12月15日

上肢麻痺へのミラー療法と振動療法


Mirror and Vibration Therapies Effects on the Upper Limbs of Hemiparetic Patients after Stroke- A Pilot Study
2018  11月  ブラジル

脳卒中患者の上肢麻痺の改善は日常生活上のもっともおおきなテーマである。その治療法としてミラー療法と振動療法がある。

おのおの治療メカニズムは異なると考えられるので、その効果をくらべてみたそうな。


脳卒中から12ヶ月未満で上肢麻痺のある21人について、

ミラー療法、振動療法(電動マッサージ器をつかう)、比較グループの3つにわけ、

1回15分間x週3回x4週間のセッションののち、
上肢の運動機能を3つの指標で評価 比較したところ、


次のようになった。

・3つの評価 Mobility Index Rivermead, Motor Function Wolf Test, Jebsen Taylor Test のいずれもミラー療法と振動療法でおおきくスコアが改善した。

ミラー療法と振動療法により脳卒中片麻痺患者の上肢運動機能がおおきく改善した、


というおはなし。

図:Wolf test MT VT 脳卒中


感想:

療法士さんが鏡に向かってブツブツ言ったり、電動マッサージ器をあちこちに当てたりすると「なにか特別なことをしてくれているんだなぁ」と察する。
そして機能テストを普段よりがんばってあげる。
だからスコアが伸びる。

治療に携わる方々は患者のやさしさに支えられていることを忘れないでほしい。

2018年12月14日

脳の損傷部位にあらたな神経細胞を誘導する方法


New neurons use Slit-Robo signaling to migrate through the glial meshwork and approach a lesion for functional regeneration
2018  12月  日本

動物にもとからそなわっている神経新生能力をもちいた脳損傷治療が注目されている。

成長がおわった動物でも脳室下帯ではあらたな神経細胞の産生がつづいていて、たとえば脳卒中がおきると脳室下帯から神経の前駆細胞(神経芽細胞)が脳の損傷箇所へ移動する。

このときグリア細胞であるアストロサイトが構成する細胞骨格がその移動を制限するためじゅうぶんな神経新生をおこなうことができていない。

これまで神経芽細胞がだすSlitタンパク質とアストロサイトのRobo受容体間のシグナル伝達で神経芽細胞の移動が誘導されると考えられてきた。

この神経芽細胞が移動しやすくなることで脳卒中の神経新生と機能回復をうながすことができるものか、実験してみたそうな。

2018年12月13日

施設送りにされないために必要な能力は


Executive function subdomains are associated with poststroke functional outcome and permanent institutionalization
2018  11月  フィンランド

脳卒中患者の認知機能の低下はじつにありふれていて、とくに実行機能(遂行機能)の障害は問題で、身体が順調に回復できた患者であっても34%が実行機能に障害を持つという報告がある。

実行機能はいくつもの認知機能が関わる前頭葉の高度なはたらきを指すと考えられていて、単一のテストでは評価することはできない。

たとえば、Trail making test は処理速度、Wisconsin card sorting test は注意切り替えと戦略立案、Stroop testは行動抑制、Verbal fluency test は想起検索、に関係するとされ実行機能の評価に用いられる。

そこで実行機能を構成するサブドメインのうち脳卒中患者の機能回復度と関係のふかい要素をみつけるべく くわしくしらべてみたそうな。


脳卒中患者62人について、
発症後3ヶ月と15ヶ月時点での実行機能に関連する7種類のテストをおこない、
生活自立度 mRS, IADLおよび その後の施設送りの有無との関連を解析して
健常者39人の結果と比較したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者は複数の認知機能テストで健常者よりもスコアが低かった。

・行動抑制、注意切り替え、想起検索、戦略立案、処理速度の各項目は患者の生活自立度スコアと相関があった。

・行動抑制、注意切り替え、処理速度は機能回復度と関連が強く、

・とくに 行動抑制力の低さは施設送りとの関連が強かった。

実行機能は脳卒中患者の機能障害と強く関連していた。とくに行動抑制力が低いばあい早くに施設送りになりやすかった、


というおはなし。

図:実行機能のサブドメインとテスト

感想:

行動抑制はストループテストで、たとえば ←の色を問われて「あお」と言いたいところをぐっとこらえて「あか」と答える能力。

これができないと 家族にうとまれ施設に入れられてしまうということか。

2018年12月12日

中低所得国で成果をあげている脳卒中リハビリとは


A systematic review of physical rehabilitation interventions for stroke in low and lower-middle income countries
2018  12月  アイルランド

脳卒中による障害や早死による世界全体の人的損失年数の78%は中低所得国で発生しているという。

これらの国々では脳卒中リハビリにあてられるあらゆるリソースが限定的であり高所得国の真似をすることができない。

そこで中低所得国で効果的とされる脳卒中の身体リハビリテーションの種類についてこれまでの成果をまとめてみたそうな。


中低所得国の成人脳卒中患者を対象とした身体リハビリテーションに関係する質の高い研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者2115人を含む62の研究がみつかった。大半はインドのものだった。

・内訳は、上肢関連が26件、下肢22件、その他14件だった。

・研究の質的には、強7件、中16件、弱39件と分類でき、

・全体として身体リハビリテーションにより患者の回復が促された。

・特にエビデンスレベルが高かったものは、CI療法とミラーセラピーによる上肢リハビリおよび、

・運動イメージ訓練による歩行リハビリだった。

・次いで、立ち上がり訓練(sit-to-stand training)でのバランス改善効果だった。

中低所得国の脳卒中リハビリ研究の結果、ミラーや運動イメージによる脳内トレーニングおよび上下肢の繰り返し運動が効果的でかつ低コスト シンプルな方法として評価されていた、


というおはなし。

図:中低所得国の脳卒中リハビリ


感想:

むしろこういう環境でこそ真の実力が試される。

CI療法(=課題指向型訓練)はナンセンスであることが最近あきらかになったので除外するとして、

ミラーセラピーの発案者はインド人だから一番人気は納得。

そして安定のメンタルプラクティス(運動イメージ訓練)か。

2018年12月11日

メンタルプラクティスの上肢リハビリ効果


Mental practice for upper limb motor restoration after stroke- an updated meta-analysis of randomized controlled trials
2018  12月  中国

脳卒中上肢麻痺のリハビリにはいくつもの方法がある。
しかしこれまでもっとも頼りにされてきた特定動作の繰り返し(課題指向型訓練)には効果がないことが最近わかってきた。

メンタルプラクティスは実際の動作を行う必要がないことから重症患者にも適用でき、安全かつ簡単で退院後も続けることのできるリハビリ方法として期待されている。

過去のメタアナリシスでは評価方法のばらつきがおおきくその効果をあきらかにできていなかった。

そこで最新の研究をふくめてメンタルプラクティスのメタアナリシスを再度こころみたそうな。


メンタルプラクティスによる脳卒中上肢リハビリの論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者268人を含む12の研究がみつかった。

・Egger's testでは出版バイアスは見られなかった。

・メンタルプラクティスにより上肢運動機能FMAスコアがあきらかに向上していた。

・同様に上肢機能ARATスコアもおおきな改善をしめした。

・これらの関連は任意の研究データを除外しても影響を受けず保たれていた。

メンタルプラクティスは脳卒中上肢麻痺のリハビリに有効である。ぜひ推奨したい、


というおはなし。

図:

感想:

メンタルプラクティスと運動イメージ訓練(motor imagery)は同じ。これに場の雰囲気やじぶんの気持ちを加えた脳内リハーサルを総称して「イメージトレーニング」とよぶ。


これまでも上肢リハビリがいろいろあるなかで唯一まともそうなのがメンタルプラクティスだった。↓
Stroke誌:上肢リハビリ 良い方法 & ダメな方法

2018年12月10日

禁煙効果があらわれるまでの年数


Association of smoking with risk of stroke in middle-aged and older Chinese- Evidence from the China National Stroke Prevention Project
2018  11月  中国

喫煙の健康への影響はよく研究されている。

しかし中高年の東アジア人についての喫煙と脳卒中との関連はほとんどわかっていないので、くわしくしらべてみたそうな。


2013-2015に中国の深セン市で40歳以上の男女12704人についてアンケート調査したところ、


次のことがわかった。

・85.08%は喫煙経験の無い者で、12.10%が現在喫煙者だった。

・524人が脳卒中経験者で、男性の4.06%、女性の2.95%に相当した。

・喫煙者の脳卒中リスクは非喫煙者の1.67-1.93倍で、

・一日の喫煙本数が10本以下→21本以上のとき、リスクは1.48→2.37となった。

・喫煙年数は、20年未満→40年以上のばあい、リスクは0.51→2.01となり、

・禁煙年数との関連は、5年未満→5-19年→20年以上のばあい、リスクは3.47→3.37→0.95となった。

喫煙による脳卒中リスクは本数に従い上昇した。禁煙期間が20年を超えるとそれまでの影響を相殺できた、


というおはなし。

図:喫煙と脳卒中


感想:

中国人はみなタバコ吸いまくってる印象があったけど喫煙率低くておどろいた。

いまや健康リスク承知のうえで吸っているってことだから、すきにさせてあげたらいいとおもう。

2018年12月9日

高齢の高血圧のうち薬の効かない患者の割合


Prevalence and characteristics of apparent treatment-resistant hypertension in older people in China- a cross-sectional study
2018  12月  中国

中国では18歳以上の高血圧は23.2%で、65-74歳の高齢者に限ると55.7%が相当する。

3種類以上の薬を飲んでも血圧をじゅうぶんに下げることのできない患者を治療抵抗性高血圧(treatment-resistant hypertension:TRH)とよぶ。

これまでの調査からTRHは、18歳以上では13-16%に見られる。しかし高齢者ではよくわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。


2012-2015の60-75歳の高血圧患者3774人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・彼らの75.1%は降圧治療を受けており、40.7%が降圧目標を達成できていた。

・TRHは5.97%だった。

・TRHで かつ降圧薬4種類以上は3.29%いた。

・TRH患者は、非TRHにくらべ 肥満(29.61% vs 20.53%)、高脂血症(26.03% vs 19.26%)、糖尿病(34.31% vs 25.64%)、脳卒中(26.03% vs 19.26%)がいずれもおおかった。

・とくに男性または糖尿病がTRHのリスク要因だった。

・定期的な運動をしている患者のTRHリスクは低かった。
高齢者の高血圧のうち、治療抵抗性のある者は5.97%いた。男性または糖尿病がそのリスク要因だった。彼らには定期的な運動がのぞましい、


というおはなし。

図:治療抵抗性高血圧のリスク

感想:

降圧薬を4種類も積まれて平気なのか? そのメンタルこそが要治療だとおもうぞ。

2018年12月8日

ランセット誌:脳卒中の抗うつ薬は役に立たない


Effects of fluoxetine on functional outcomes after acute stroke (FOCUS)- a pragmatic, double-blind, randomised, controlled trial
2018  12月  イギリス

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のフルオキセチンは脳卒中患者への抗うつ薬としてよく用いられている。

これまでのいくつかの研究で、フルオキセチンが患者の脳の可塑性を高め神経新生をうながし機能回復が進むとする報告がなされている。2011年には100人規模の臨床試験も行われていて期待できる結果が得られている。

脳卒中患者への抗うつ薬フルオキセチンがほんとうに機能回復に役立つものかどうか、大規模にしらべてみたそうな。


2012-2017の急性脳卒中患者1564人にフルオキセチン20mg/日を与え、同人数の偽薬グループと6ヶ月後の生活自立度mRSスコアを比較したところ、

2018年12月7日

後方循環系の脳梗塞の予後


Is Functional Outcome Different in Posterior and Anterior Circulation Stroke
2018  11月  オーストリア

後方循環系の脳卒中(posterior circulation stroke:PCS)は脳梗塞全体のおよそ20%をしめる。前方循環系のそれ(anterior circulation stroke:ACS)との予後比較の良し悪しは調査の規模や血栓溶解治療の有無によりことなる。

これを大規模にしらべてみたそうな。


オーストリアの脳卒中患者データベースからPCS4604人、ACS4604人を抽出して、3ヶ月後の回復度mRSを比べた。

各グループともに477人ずつr-tPA治療を受けた者を含めた。


次のことがわかった。

・3ヶ月後の回復度は 有意にACSグループが良かった。

・とくに発症時間不明または発症から入院まで4時間半以上経ったPCSグループの回復度は悪かった。

・しかしrt-PA治療に間に合った患者についてはACSとPCSで回復度に差はなかった。

後方循環系の脳卒中でrt-PA治療に間に合わなかったもしくは発症時間が不明の患者は前方循環系患者よりも回復がよくなかった、


というおはなし。

図:mRS PCS ACS

感想:

ほんのちょっとの違いだな。↑

2018年12月6日

Stroke誌:太い動脈がキッチリ詰まっているときの2症状


Large Vessel Occlusion in Acute Stroke - Stroke
2018  10月  ドイツ

主幹動脈の閉塞でアルテプラーゼをつかった血栓溶解治療をおこなったあと、残った血栓を掻き出す機械的血栓除去術をおこなうことがある。

しかし機械的血栓除去術ができる施設は限られているので、救急搬送まえにその必要の有無を判定できることが望ましい。

主幹動脈の閉塞と機械的血栓除去術の必要性を入院まえに判定する方法がいくつも提案されてきた。おおくは運動機能に着目したものであるがその精度は低い。

今回、運動機能によらず皮質症状である失語と空間無視からその判定ができるものかくわしくしらべてみたそうな。

2018年12月5日

若年患者の認知能力


Prevalence and short-term changes of cognitive dysfunction in young ischemic stroke patients
2018  11月  オーストリア

55歳未満の若年脳卒中患者は増加傾向にあり、脳卒中ぜんたいの18.6%をしめている。

かれらの回復は身体機能的には良好なものの、認知機能や神経心理的にはかならずしも順調とはいえない。

そこで若年脳卒中患者の認知障害の率とその後をくわしくしらべてみたそうな。


2016-2018に18-55歳で脳梗塞入院した患者114人について、

入院時(BaseLine)と3ヶ月後(FollowUp)での次の各検査をおこない比較した。

認知障害度 Montreal Cognitive Assessment (MoCA)
情報処理速度と注意力 Symbol Digit Modalities Test (SDMT)
遂行機能 Comprehensive Trail Making Test(CTMT)
言語流暢性 Regensburger Wortflüssigkeitstest(RWT)


次のようになった。

・入院時、半数前後が情報処理スピード、遂行機能、注意力、認知機能全般のあきらかな低下をしめした。

・3ヶ月後、言語流暢性を除く認知機能のおおくは改善した。

・しかし3分1のに相当する患者はいまだ認知障害レベルにあり、

・とくに遂行機能、情報処理スピード、注意力に障害が残った。

若年の脳卒中患者には認知機能の低下が高率にみられた、


というおはなし。

図:若年脳卒中の認知症者率
入院時と3ヶ月後の認知障害者率


感想:

でも本人には自覚がないからすぐに自動車運転をはじめる。しかも手足がよわったぶんを補うべく車格アップをこころみる。なんとおそろしいことか。

2018年12月4日

グーグル:8ミニッツ

いわゆるGoogle八分(はちぶ)を大好きな映画 ミッション:8ミニッツにかけてみた。この映画は列車爆破テロを防ぐために人生最後の8分間をくりかえし何度も経験するはなし。


今日は脳卒中記念日なので自分語りにつかう。

発症からまる10年経った。ブログは1年後に始めたので今日でちょうど9年間つづいたことになる。


忘れもしない昨年の12月6日、Googleがのちに「健康アップデート」と呼ばれる検索アルゴリズムの大幅な変更をおこなった。そして医療健康情報を発信する個人のサイトが検索順位の奥底に沈められた。

医療関連ワードのおおいこのブログもターゲットになり、たった一晩で来訪者の3分の2が消えた。

これは医療や健康にかんする検索結果の上位が広告収入を目的とするアフィリエイトサイトで独占されたことへの対策だった。

このアップデートにより医療キーワードの検索結果の上位には国の研究機関や製薬会社のページが優先的に表示されるようになった。


ここまでは世の流れとしてただしい。あるていどは予測できていたことでもあった。



ところがGoogleは息の根をとめにきているようなのである。

下のグラフはGoogleにインデックスされているこのブログのURLパターン数の最近1年間の推移である。

図:

12/6以降、数ヶ月間で100分の1になりさらにゼロを目指している様子がわかる。検索順位を下げるだけではなくその存在を抹消しようとしているとしか考えられない。


さすがにキーワード「ゼンデラ」で検索するとトップにはでるが、いまや「脳卒中関連」ワードでは検索結果の末尾にすら載ることはなくなった。

Yahooの検索エンジンもGoogleのそれと共通なので影響はおおきい。
まもなく検索経由で新たにこのブログと出会うひとはいなくなるだろう。


こういった状況に絶望した同様のニュースサイトを運営するおおくの個人やベンチャー企業がすでに更新をあきらめた。

アクセスがないから広告がつくはずもなく、自己承認欲求すら満たすことができないのだから無理もない。


脳がやられているせいかあまり気にもせずほぼ1年が経ってしまったが、いまさらながらに文章にして客観視するとかなり深刻な事態であることを実感する。


ここまでハブられるとは予想できなかった。気持ちが折れるのも時間の問題だろうか。



さきに紹介した映画はパラレルワールドがテーマ。

この状況をうまく乗り切れるじぶんがどこかの世界にいるはず。だから失敗してもつづきはそいつがやってくれると信じている。

2018年12月3日

JAMA Neurol.:小脳への磁気刺激で歩行リハビリ


Effect of Cerebellar Stimulation on Gait and Balance Recovery in Patients With Hemiparetic Stroke- A Randomized Clinical Trial
2018  11月  イタリア

脳卒中患者の歩行リハビリを促すあきらかに有効な方法はいまだ存在していない。

近年、動物実験で小脳への刺激が歩行能力の改善につながることが示されている。
また人のfMRIで麻痺側の小脳の活動と歩行の改善度が正の相関をもつことがわかってきた。

そこで脳卒中患者の小脳に、rTMSの一種でシナプスの長期増強をもたらすとされる間欠的シータバースト磁気刺激(iTBS)を与えたときの歩行能力の変化をくわしくしらべてみたそうな。


中大脳動脈域の脳卒中で慢性期の片麻痺患者34人について、
損傷脳半球と対側の小脳へiTBSを3週間継続した。

偽刺激グループにはコイルを90度傾けて対応した。

さらに3週間後までバランスや歩行能力、皮質活動をフォローしたところ、


次のようになった。

・リアル刺激グループで、バランス能力を示すBBSスコアが 34.5→43.4→47.5とおおきく改善した。

・運動機能(FMA)や生活自立度(BI)には変化はなかった。

・麻痺していない足の横方向への歩幅があきらかに減少した。

・後頭葉の活動が高くなった。

小脳への間欠的シータバースト磁気刺激で脳卒中片麻痺患者のバランス能力と歩行パラメータが改善した、


というおはなし。

図:小脳 間欠的シータバーストTMS

感想:

15年ほど前に じぶんの右手の指をうごかしたときのfMRI(←動画)。右の小脳がおおきく反応していて「こういうものなのか、、」とおもった。

[シータバースト]の関連記事

2018年12月2日

脳卒中のあとの3つの精神症状


Association Between Anxiety, Depression, and Post-traumatic Stress Disorder and Outcomes After Ischemic Stroke
2018  11月  アメリカ

脳卒中患者の精神症状については数多くの報告がある。うつや不安 PTSDの症状は4分の1~3分の1の患者が示すという。

これら3つの症状のうちうつに限定した報告はおおいが、3つすべてを扱ったものはすくないのでくわしくしらべてみたそうな。

2018年12月1日

コーヒーやお茶とくも膜下出血


Coffee and tea consumption and the risk for subarachnoid hemorrhage- A meta-analysis
2018  7月  中国

コーヒーには血圧や不整脈に影響するカフェインと抗酸化物質がふくまれていて、お茶にはさまざまなポリフェノール類が含まれていて降圧作用や抗血栓作用が期待されている。

コーヒーやお茶の摂取とくも膜下出血との関係についていくつもの研究があるものの、それらの結論はおおきく異なっているのでメタアナリシスをこころみたそうな。


これまでの関係する論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・コーヒーについて7件、お茶について5件の研究成果がみつかった。

・摂取量のもっとも少ないグループに対するもっとも多いグループのくも膜下出血リスクの比は、コーヒー1.31、お茶0.83 だった。

・エビデンスの異質性はコーヒーの研究に大きかった。

・用量反応解析では1カップ増えるごとにくも膜下出血リスクがコーヒー1.00、お茶0.97倍になった。

コーヒーやお茶とくも膜下出血との関連はみられなかった、


というおはなし。

図:コーヒー

感想:

いっぽう緑茶と脳内出血はポジティブな報告がおおい。だから毎日抹茶飲んでる。
緑茶を飲まないと脳内出血リスク1.24倍

毎日4杯以上の緑茶で脳内出血の予防になることが判明

緑茶とコーヒーを飲むと相互作用で脳出血リスクが3割減ることが判明
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