元
Atypical language representation is unfavorable for language abilities following childhood stroke
2018 9月 オーストリア
子供の脳卒中の予後は成人にくらべ良いと考えられているが、言語能力についてはかならずしもあてはまらない。
子供は脳の可塑性が高い。たしかに周産期(妊娠20週-出生後28日)に脳卒中を経験した子供の言語獲得能力は高い。
しかし子供時代(1ヶ月-18歳)に脳卒中を経験した者の、言語機能を司るエリアが左脳から右脳へ可塑的にシフトすることの影響について一致した見解は得られていない。
そこで、子供脳卒中経験者の言語能力と脳機能分布との関連をくわしくしらべてみたそうな。
左脳または右脳梗塞を経験した7-17歳の子供17人と健常者18人について、神経言語テストと脳機能MRIを撮り関連を解析したところ、
次のことがわかった。
・17人中12人は言語能力が健常者より低く、5人は言語障害レベルだった。
・左脳の言語活動域と同位置の右脳域に活動の増加が確認でき、
・とくに7人で両側または右脳に限局した言語活動がみられた。
・言語機能が左脳寄りだと命名課題や流暢さがすぐれているいっぽう、右脳への偏りがすすんでいると言語能力は低かった。
・病変の位置や体積は言語機能の左右脳への偏りと関連しなかった。
子供の脳卒中のあと言語機能域が左脳から右脳へシフトすると言語回復がよくなかった。右脳の同位置にはじゅうぶんな認知処理能がないと考えられる、
というおはなし。
感想:
子供は中途半端に可塑性が高いおかげで失われた言語機能をおぎなうべく左脳をすてて右脳への移行を試みてしまう。
しかしときすでに遅く、脳の機能分化が終わっているためじゅうぶんな回復を遂げることができない。
さらに右脳損傷でもおなじことがおきるとこがおもしろい。