元
Time-dependent decline of body-specific attention to the paretic limb in chronic stroke patients
2018 7月 日本
手のひらに近い位置ではつづく握り動作にそなえて注意力が高まっていて、この付近からの視覚刺激への反応が遠い位置からよりも速くなる現象が報告されている。
これをつかって脳卒中患者の麻痺側への注意力の低下を定量化できれば学習性不使用や空間無視の理解につながるかもしれないので実験してみたそうな。
慢性期脳卒中で片麻痺の患者21人と健常者18人について、麻痺手と視覚刺激の位置をそれぞれ変えて、その位置関係と視覚刺激への反応速度の違い(body facilitation effect)を測定した。
次のことがわかった。
・健常者では手に近い視覚刺激への反応があきらかに速かった。
・脳卒中患者では麻痺手の左右にかかわらず、反応速度の差はひじょうに小さかった。
・脳卒中患者の手指の運動機能が低く発症からの時間がながいほど この反応速度の差は小さかった。
慢性期の脳卒中患者では手に近い位置での視覚刺激にすばやく反応する効果が弱く しかも時間とともに低下していた、
というおはなし。
感想:
おそらくこれは二重課題トラップとでも呼べるもので、
深部感覚の単体検査では腕の位置を正確に答えられても、視覚反応検査を重ねられると 弱い腕の感覚が優先度の低いものとして意識からはじき出されてしまうためにこういった結果になる と考える、経験的に。