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Secular trends in the incidence, risk factors, and prognosis of transient ischemic attack in Japan: The Hisayama Study.
2018 4月 日本
一過性脳虚血発作 TIA はさらなる脳卒中の前触れと考えることができる。また この半世紀ほどで脳卒中の関連リスクの状況は劇的に変化してきた。
TIAの発生とその後を長期にフォローした研究はアジアではほとんどないので日本人についてしらべてみたそうな。
久山町研究から 1961年1621人、1988年2646人の2つの時期のデータを解析したところ、
次のことがわかった。
・TIAの発生率は年間1000人あたり 1.01 vs. 0.66人で 1988年のほうがあきらかに低かった。
・収縮期血圧は両時期のTIAリスクに関連し、耐糖能と脂質異常は1988年のほうにのみ関連がつよかった。
・いずれの時期でもTIAのあと10年間は脳梗塞の発生率が7-8倍高かった。
・これら脳梗塞のうちアテローム血栓性の比率がおおはばに増えた。
この半世紀でTIAの発生率はあきらかに低下した。しかしTIAのあと10年間は脳梗塞になるリスクが7-8倍高い状態がつづく点は変わらなかった、
というおはなし。
感想:
CTやMRIが登場して症状のないちいさな梗塞がほとんど誰にでも見つかるようになった。だからすぐに症状が消えたからといってTIAとして患者をそのまま家に返すのはちょっと惜しい。
そこでTIAがきゅうきょ脳梗塞に昇格する機会がふえたため発生率は下がった、ってことじゃないのかな。