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2018年5月31日

Stroke誌:抗血小板薬で微小脳出血そして脳内出血


Antiplatelet Therapy, Cerebral Microbleeds, and Intracerebral Hemorrhage
2018  5月  中国

MRIの普及により微小脳出血が確認できるようになった。微小脳出血は小血管病を反映し、その存在は脳内出血につながると考えられている。

これまで抗血小板薬と微小脳出血の関連をしめす研究がいくつもなされ、2つのメタアナリシスが報告されたがいずれも規模が小さかった。

それらを上回る規模のメタアナリシスで抗血小板薬と微小脳出血との関連を確認してみたそうな。


関係する過去の研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者20988人を含む37の研究がみつかった。

・微小脳出血は抗血小板薬使用者におおかった。

・抗血小板療法は深部よりも脳葉での微小脳出血とあきらかな関連があった。

・さらに脳内出血の発生率は微小脳出血のある者で高かった。

抗血小板薬使用者は脳葉の微小脳出血リスクが高く、微小脳出血があると脳内出血になりやすかった、


というおおはなし。
図:抗血小板療法と微小脳出血

感想:

血液サラサラのおくすりを飲んでいると、高次脳機能を司る皮質にいくつもの穴が空き やがてドバっと出血するかもよ、、、

ってことなんだけど いまさら感がある。

[抗血小板薬]の関連記事

2018年5月30日

日本人の仮面高血圧と脳卒中 JAMA Cardiol.


Association of Cardiovascular Outcomes With Masked Hypertension Defined by Home Blood Pressure Monitoring in a Japanese General Practice Population
2018  5月  日本

血圧は1日のうち 職場 自宅 睡眠中など環境次第で変動し、病院で測定した結果とかならずしも一致しない。

高血圧患者のうち30-50%は病院では血圧が正常値を示すものの そとでは高値をしめす。これを「仮面高血圧」という。

仮面高血圧を見つける方法の1つとして家庭での血圧測定がある。

そこで、「日本人における家庭血圧の心血管予後推定能に関する研究」(J-HOP研究:Japan Morning Surge-Home Blood Pressure study)をつかって仮面高血圧と脳卒中リスクとの関連をしらべてみたそうな。


平均年齢65の日本人男女4261人を4年ほどフォローした。

仮面高血圧(masked hypertension)は、
自宅で135/85以上、病院で140/90未満

白衣高血圧(white-coathypertension)は、
自宅で135/85未満、病院で140/90以上、

持続性高血圧(sustained hypertension)は、
自宅と病院ともに140/90以上、
とした。


次のことがわかった。

・この間に74の脳卒中と77の冠動脈疾患があった。

・正常血圧にくらべ仮面高血圧では脳卒中リスクが2.77倍であきらかに高かった。

・いっぽう仮面高血圧は冠動脈疾患とはなんの関連もなかった。

家庭用血圧計でみつかる仮面高血圧患者はあきらかに脳卒中になりやすかった、


というおはなし。
図:仮面高血圧と脳卒中リスク

感想:

当時わたしは その「仮面をかぶる方法」を編み出し自在に操っていたのだが、、↓↓↓
一時的に大きく血圧を下げる方法

2018年5月29日

脳卒中後のアパシーと学習記憶力


The Role of Apathy and Depression on Verbal Learning and Memory Performance After Stroke
2018  5月  カナダ

脳卒中後のアパシーは、やる気のない感情の起伏がなくなっている状態をさす。脳卒中後のうつには気分の落ち込み、絶望、罪悪感、自殺念慮、睡眠や食欲の異常といった特徴がある。

アパシーもうつも互いに関連し共通部分が少なくないいっぽう別々に現れることもある。

脳卒中後のアパシーやうつが認知機能の特に学習や記憶のパフォーマンスに及ぼす影響をしらべてみたそうな。

2018年5月28日

月の満ち欠けと脳卒中との関連について


No association of moon phase with stroke occurrence
2018  5月  フィンランド

月相(新月-上限-満月-下弦)と睡眠との関連をしめす報告がいくつかある。睡眠障害が脳卒中に影響することから月相と脳卒中との関連が予想される。

しかしその報告は非常にすくなく、いずれも脳梗塞との関連はなく 上弦の月で脳内出血リスクが新月時の1.5倍、満月でTIAリスクが2倍 また脳卒中様の症状が増えるといった内容である。

そこで これを確かめるべく長期かつ大規模にしらべてみたそうな。


2004-2014 フィンランドの脳卒中患者データベースから18歳以上の脳梗塞と脳内出血患者の記録を抽出して発症時刻と月相との関連を解析したところ、


次のようになった。

・脳梗塞94894人、脳内出血17855人の記録があった。

・月相と脳卒中の発生率との関連はなかった。

・脳梗塞と脳内出血にわけても関連はなかった。

・性別、年齢、脳卒中の種類を絡めても関連はなかった。

・脳卒中の院内死亡率との関連もなかった。

・月相および天文学的季節(春分-夏至-秋分-冬至)と脳卒中の関連もなかった。

10年以上にわたる全国レベルの調査でも月相と脳卒中の発生率 院内死亡率との関連は確認できなかった、


というおはなし。

図:月相と脳卒中

感想:

1987の報告だと救急救命の医師64%と看護師の80%が月相と患者の関係を信じていたんだって。

2018年5月27日

療法士さんがいなくても手は回復するの?


In-home therapy effective for stroke rehabilitation, study shows
2018  5月  アメリカ

おおくの脳卒中患者がコストや通院手段の問題でじゅうぶんなリハビリ訓練をうけることができないでいる。

そこでネットを介した遠隔リハビリテーションの可能性を検証してみたそうな。

先週の欧州脳卒中協会会議(ESOC 2018)でのカルフォルニア大学の報告。


平均年齢61、11の地域で発症から4.5ヶ月の脳卒中患者124人を通院リハビリと自宅リハビリグループにわけた。

自宅リハビリではビデオカンファレンス経由でセラピストの指導を受ける。

6週間の上肢集中訓練の30日後に上肢機能を評価 比較したところ、


次のようになった。

・上肢のFugl-Meyerスコアが通院グループで8.4ポイント、自宅リハビリグループで7.9ポイント改善した。両者の差は統計学的有意ではなかった。

セラピストが監督する遠隔リハビリテーションによって通院時と同レベルの上肢機能の改善があった、


というおはなし。
図:遠隔リハビリ

感想:

セラピストがつきっきりで集中訓練をしても特別な効果はまったくなく、
JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない

しかもそばにいようがいまいが患者は同程度に回復する。つまりやる気を維持できるゲームでも与えておけばよさそう。

上肢リハビリに最適なPCゲームを見つけた。今月発売されたばかりのソフトで価格はたったの2000円 Beat Saber(ビートセーバー) の動画↓。

2018年5月26日

チベット人はなぜ脳内出血になるのか


Spontaneous Intracerebral Hemorrhage in a Plateau Area: A Study Based on the Tibetan Population
2018  5月  中国

チベット高原は世界の屋根と呼ばれ、大気圧と酸素レベルは平地よりも3割以上低い。チベット自治区の人口の96-98%はチベット民族である。

チベット民族の脳卒中には脳内出血が非常におおく7割以上を占める。その特徴を詳しくしらべてみたそうな。


2013-2017の特発性脳内出血患者について四川大学の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・チベット民族122人、漢民族927人の記録がみつかった。

・漢民族にくらべチベット民族はあきらかに、
男性がおおく、過体重がおおく、喫煙率が高く、ヘモグロビン濃度が高く、高血圧や糖尿病 脳出血歴のある患者がおおかった。

・チベット民族の患者は脳幹出血がおおく血腫拡大による合併症のリスクが高かった。

・6ヶ月間のフォロー期間中 チベット民族の患者は高率で回復不良だった。

チベット民族の脳内出血には漢民族とあきらかに異なる特徴があった。チベット民族というだけで脳内出血は回復不良だった、


というおはなし。
図:チベット人

感想:

仏教の聖地だからみなつつましく暮らしているのかとおもったけど「タバコを吸う太り過ぎで糖尿病の高血圧」って自暴自棄感がすごい。

きっと中国の圧政でストレス溜まってるから脳血管がキレるんだろね。
チベット住人はキレやすいという科学的根拠

2018年5月25日

αリノレン酸の脳梗塞予防効果は?


Dietary Intake of Alpha-Linolenic Acid Is Not Appreciably Associated with the Risk of Ischemic Stroke among Middle-Aged Danish Men and Women
2018  5月  デンマーク

αリノレン酸はシソ油、エゴマ油、アマニ油におおくふくまれる 体内で合成できない必須脂肪酸である。炎症やアテローム、不整脈を抑えるといった効果が報告されている。

心血管疾患との関連についての研究のおおくは冠動脈疾患が主で、脳梗塞についての調査はほとんどない。

そこで、αリノレン酸の摂取量と脳梗塞リスクとの関連を大規模にしらべてみたそうな。


50-64歳のデンマークの男女57053人の食事調査を行いαリノレン酸の摂取量を推定した。

脳梗塞の発生を13.5年間フォローしたところ、


次のようになった。

・この間に1859件の脳梗塞があった。

・食事から摂るαリノレン酸の量と脳梗塞リスクとのあいだにあきらかな関連はみられなかった。

・脳梗塞の種類(アテローム血栓性、小血管閉塞、心原性)別にみても関連はみられなかった。

食事から摂るαリノレン酸は脳梗塞の発生とあきらかな関連はなかった、


というおはなし。
図:αリノレン酸と脳梗塞発生率

感想:

αリノレン酸はDHAのもとになるから脳卒中になったあとに効くんだよね。

[αリノレン酸]の関連記事

2018年5月24日

中国50万人の玉子と脳出血


Associations of egg consumption with cardiovascular disease in a cohort study of 0.5 million Chinese adults
2018  5月  中国

玉子と脳卒中など心血管疾患についての調査のおおくはサンプルサイズが小さいため 特に脳出血についての見解が一致していない。

そこで50万人を対象とした「中国カドーリバイオバンク研究」を使ってしらべてみたそうな。


中国10の地域の30-79歳 健康な中国人男女461213人を9年前後フォローしたところ、


次のことがわかった。

・83977の心血管疾患と9985の心血管疾患による死亡があった。

・13.1%がほぼ毎日玉子(0.76個相当)を食べていて、9.1%は玉子をほとんど摂っていなかった。

・玉子を摂らない者にくらべて毎日摂る者の虚血性心疾患リスクは0.88倍、脳出血リスクは0.74倍、脳梗塞リスクは0.90倍だった。

・これらの関連はあきらかな用量関係を示していた。

・特に脳出血死亡率は28%低下した。

中国人について1日1個程度の玉子の摂取は脳卒中など心血管疾患のリスクをあきらかに下げた。特に脳出血リスクは26%低かった、


というおはなし。
図:玉子焼きと脳出血

感想:

やはり玉子は脳出血予防にいいんよ。今日は3個。

[玉子]の関連記事

2018年5月23日

脳内出血の睡眠呼吸障害


Intracerebral hemorrhage and sleep-disordered breathing
2018  5月  アメリカ

脳卒中のあと 睡眠中に高頻度に低呼吸や無呼吸になる「睡眠呼吸障害」はめずらしくない。しかし脳内出血と睡眠呼吸障害との関連についての質の高い研究はほとんどないのでしらべてみたそうな。


平均年齢68、脳内出血のメキシコ系アメリカ人と白人の患者298人について、
発症後の呼吸イベント指数測定と、
発症前についての睡眠アンケートから

睡眠呼吸障害の有病率を推定したところ、


次のようになった。

・脳内出血から11日前後での睡眠呼吸障害は46.8%にみられた。この率は人種で差はなかった。

・脳内出血まえは36.6%が睡眠呼吸障害の高リスク群と考えられた。この率も人種で差はなかった。

脳内出血のあとおよそ半数の患者で睡眠呼吸障害が確認できた。また脳内出血まえは3分1が睡眠呼吸障害の高リスク群と推定された、


というおはなし。
図:脳内出血と睡眠呼吸障害

感想:

いびき録音アプリがあと10年早く普及していたら、ことの重大さに気づけていたかもしれない。

[睡眠 呼吸]の関連記事

2018年5月22日

脳卒中に負けない食糞レシピとは


Age-related changes in the gut microbiota influence systemic inflammation and stroke outcome
2018  5月  アメリカ

消化管と中枢神経系は相互作用することがわかっていて「腸脳相関」と呼ばれている。しかし腸脳相関と老化との関係はあきらかになっていない。

そこで 老化病でもある脳卒中モデルについて、高齢者に若年者の腸内細菌を移植するとどのような変化がもたらされるか、動物実験してみたそうな。


高齢ネズミと若年ネズミについて、
抗生物質で自身のもつ腸内細菌叢を除去したのち、別の 年齢の異なるネズミの糞を食事に混ぜて 5日間与えた。

2ヶ月後、人為的に脳梗塞にして その後の行動検査、生存率、炎症反応などをしらべたところ、


次のことがわかった。

・食糞させなかった若いネズミの腸内細菌叢の老化度を示す FirmicutesとBacteroidetes の比(F/B)は、脳卒中後に9倍になり高齢ネズミのそれと同レベルになった。

・若年ネズミへ与えた高齢ネズミの糞によりF/Bは6倍になり腸内細菌叢が高齢ネズミ化した。さらに死亡率は上昇し、運動機能が低下した。炎症性サイトカインも増加した。

・逆に高齢ネズミに与えた若年ネズミの糞により、F/Bは9分の1になり腸内細菌叢が若年化し、生存率が改善した。

年齢と腸内細菌叢の状態が脳卒中からの回復に影響することがわかった。食事から他人の糞を摂り込むプロバイオティクス的脳卒中対策が可能かも、、


というおはなし。

図:腸内細菌叢の若さと脳卒中生存率

感想:

この論文によると、人に応用する場合の「食糞レシピ」はこれ↓
若者の大便100gを1リットルの生理食塩水に溶いて、その上澄みを50ccずつ凍らせて保存し 毎日1つ食事に混ぜる。
勝手にやると危険そうなので お医者様に相談したほうがいい。

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2018年5月21日

中国50万人の肥満と脳梗塞 脳内出血


Adiposity and risk of ischaemic and haemorrhagic stroke in 0·5 million Chinese men and women: a prospective cohort study
2018  5月  中国

中国では年間200万人が脳卒中になりその20%は脳内出血である。

高血圧や高血糖 脂質異常のもとになる肥満は中国でも増えていて 脳卒中の5人に1人は肥満が原因と考えられている。しかしこれらの推定根拠になっている研究は高所得国でのものがおおい。しかも脳内出血と肥満との関連については必ずしも一致した見解が得られていない。

そこで、中国人を対象に大規模に 肥満と脳梗塞や脳内出血との関連をしらべてみたそうな。


中国の都市部 農村部を含めた10の地域の健康な男女50万人を9年前後フォローした「中国カドーリバイオバンク研究」の記録から

脳梗塞25210人、脳内出血5380人を抽出してBMIや体脂肪率 ウエスト長などの肥満度との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・平均BMIは23.6、全体の67.3%はBMI25未満だった。

・BMIが5あがるにつれ、収縮期血圧は8.3あがった。

・BMIが5あがると脳梗塞リスクは1.30倍になった。

・脳内出血についてはBMIが25以下ではまったく関連はなかった。

・体脂肪率やウエスト長とも同様の関連がみられた。

中国人について 肥満度は脳梗塞リスクとあきらかな正の関連があり、血圧上昇の影響と考えられた。いっぽう脳内出血のばあい、おそらくは痩せていること自体のリスクが血圧が低いときの予防効果を相殺してしまい肥満度との関連がみられなかった、


というおはなし。
図:BMIと脳梗塞 脳内出血

感想:

じゃぁ血圧さげたらいいのかな。
Stroke誌:降圧薬のラクナ梗塞予防効果は

Stroke誌:降圧薬で血圧下げるとかえって脳卒中になる

2018年5月20日

脳梗塞患者 6ヶ月間の機能回復曲線


Assessing functional recovery in the first 6 months after acute ischaemic stroke: a prospective, observational study
2018  5月  ポルトガル

脳卒中のあとの運動機能と認知機能の回復過程について すべてわかっているわけではない。

ある研究では回復は4週間で頭打ちになるとし、別の研究ではすくなくとも12週間つづくという。

いずれにしても長期の研究はあまりないのでしらべてみたそうな。


18-85歳で急性脳梗塞で入院した131人について24週後まで運動機能と認知機能を複数の指標(mRS,M-FIM,C-FIM,T-FIM,SULCS)で評価したところ、


次のことがわかった。

・48時間から3週のあいだに すべての指標でいちじるしい改善がみられ、

・3週から12週のあいだについても 認知機能以外では どうようの改善がみられた。

・12週から24週でみられた改善はいずれも統計学的有意なほどではなかった。

・急性期の認知機能スコアの低下度は運動機能のそれにくらべるとあきらかにちいさかった。

脳梗塞患者の機能回復は24週まで続いたがその改善分のほとんどは12週までに得られていた。認知機能は運動機能よりもずっと早く回復していた、


というおはなし。
図:脳卒中患者の機能回復曲線

感想:

これ↓おもいだした。
被殻出血患者の運動機能回復曲線

脳卒中からの回復は 6ヶ月後ではなく2ヶ月後に決まる

2018年5月19日

アジア人とハワイ系住民 脳内出血からの回復のちがい


Disparities in Functional Outcome After Intracerebral Hemorrhage Among Asians and Pacific Islanders.
2018  3月  アメリカ

アジア人は白人にくらべ脳内出血をおこしやすいと考えられている。また ハワイ先住民とその他の太平洋諸島系の住民(Native Hawaiians, and other Pacific Islanders :NHOPI)は白人よりも若くして脳内出血をおこすことがわかっている。

アジア人とハワイ系住民はいっしょに扱われることが多い。しかし遺伝的特徴や文化、ライフスタイルはあきらかに異なっているので、脳内出血からの回復度についてその人種間の違いをしらべてみたそうな。


ホノルルの病院に入院した脳内出血患者について、アジア人とハワイ系住民との違いと3ヶ月後の回復度との関連を解析したところ、


次のようになった。

・2011-2016に、アジア人161人、ハワイ系住民59人の脳内出血があった。

・このうち3ヶ月時点で mRS=2以下の回復良好な患者は29.5%いた。

・ハワイ系住民患者はアジア人よりも若く、糖尿病と肥満がおおかった。

・また認知症や蘇生措置拒否、事前指示書の患者がすくなかった。

・ハワイ系住民は脳内出血の重症度を考慮にいれても回復良好者があきらかにおおかった。

ハワイ系住民はアジア人にくらべ脳内出血からの機能的回復が良かった、


というおはなし。
図:ハワイ系住民の脳内出血回復の特徴

感想:

ハワイ噴火で大変なことになっているようなので関心をもった。

2018年5月18日

NEJM誌:軽い脳梗塞のあと5年間の再発率


Five-Year Risk of Stroke after TIA or Minor Ischemic Stroke
2018  5月  フランス

この10年間で脳卒中のリスク要因のおおくが改善され発生率もさがった。

これまで一過性脳虚血発作TIAや軽い脳梗塞のあと1年をこえて長期の再発リスクをフォローした調査はすくなく ひとつの病院施設についてのものしかない。

そこで5年間の再発リスクを多国間の記録から大規模にしらべてみたそうな。


21カ国61施設の2009-2011の患者記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・TIAまたは軽い脳梗塞の患者3847人を5年間フォローできた。

・このうち469人(12.9%)が脳卒中や急性冠症候群になった。彼らの50.1%は最初の脳卒中から2-5年後に発症した。

・脳卒中は345人(9.5%)におきて、このうち43.2%は2-5年後に発症した。

・5年間の各死亡率は、トータルで10.6%、心血管疾患2.7%、脳内出血1.1%、大量出血1.5% だった。

・同側の太い血管のアテローム性動脈硬化や心原性脳塞栓が原因のばあい再発リスクが高かった。

TIAや軽い脳梗塞のあと心血管イベントが起きる率は最初の1年間が6.4%で、その後は2-5年間に6.4%だった、


というおはなし。
図:TIAや軽症脳梗塞のあと5年間の再発率推移

感想:

きのうのニュースで西城秀樹はサウナが原因で2003に脳梗塞になった みたいな記事がおおかったけど、サウナは脳卒中予防にめっちゃいい。
Neurology誌:サウナが脳卒中予防によいはどの程度か
そして2011に再発 さらに食事中に急性心不全で、、ってことだから心原性のそれだったのかな。

2018年5月17日

太極拳の転倒予防効果は?


Does Tai Chi improve balance and reduce falls incidence in neurological disorders? A systematic review and meta-analysis
2018  5月  香港

太極拳は中国武術の1つで300年の歴史がある。円をえがくようにおおくの関節を動かすスムースな動作が、神経症状を示す患者のバランス能力の改善と転倒予防によいと考えられている。

そこでこれまでの研究をシステマティックレビューしてみたそうな。


神経疾患患者への太極拳と、バランス能力および転倒を評価した研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者720人を含む10件の研究がみつかった。

・これらのうち7件はパーキンソン病患者で3件が脳卒中患者を対象としていた。

・パーキンソン病での タイムアップアンドゴーテストで評価するバランス能力は、なにもやらない場合よりは改善していたが 他の運動療法に比べるとあきらかな改善はなかった。

・太極拳により転倒事例はパーキンソン病 脳卒中ともにあきらかに減少していた。

・脳卒中でのバランス能力は他の運動療法にくらべあきらかな改善はなかった。

太極拳はパーキンソン病や脳卒中でのあきらかな転倒予防効果があった、


というおはなし。
図:太極拳

感想:

中国のどこかの公園みたいに大勢にまぎれて見よう見まねで太極拳やってみたい。

そとでひとりでやる勇気がないから。

[太極拳]の関連記事

2018年5月16日

外骨格のないウェアラブルロボットCuraraでの片麻痺歩行


Effect of the Synchronization-Based Control of a Wearable Robot Having a Non-Exoskeletal Structure on the Hemiplegic Gait of Stroke Patients
2018  5月  日本
脳卒中患者の歩行をアシストするウェアラブルロボットは数多く研究されていて、KAI-R, HAL, SMA, H2, GEAR といったものがある。

今回、外骨格を使用しない 軽量で装着のしやすいウェアラブルロボット curara(クララ)を開発したそうな。


脳卒中の片麻痺で自立歩行のできる患者15人にcuraraを装着して歩行速度、歩幅、歩調等について測定した。

curaraには脊髄動物に固有の「中枢パターン生成器」モデルにもとずいた患者の動きに自動的に同期する機能がそなわっている。


次のことがわかった。

・関節角度や歩行サイクルを固定した異なる条件下で、いずれも歩行速度が19-27%ほど向上した。

・どうように歩幅は11-14%,歩調は7-11%向上した。

curaraは脳卒中患者の歩行リハビリに使えそうである、


というおはなし。
図:curara クララ ロボットスーツ

感想:

アルプスの少女ハイジで「クララが立った!」をリアルタイムで観た経験がなかったら これスルーしてたとおもう。

脳卒中経験者の歩行がおぼつかないのは、脚にちからが入らないからではない。足の裏や足首の感覚麻痺のため重心がわからず ちからを込める位置とタイミングを逸してしまうからである。

だからこの種のアシスト装置は とてもまとはずれに見える。

にもかかわらず脳卒中リハへの応用が後を絶たないのは研究費が獲りやすいからなのかね。
慢性期の下肢感覚麻痺の割合と転倒

2018年5月15日

刺激豊富な環境と課題訓練の相乗効果


Synergistic Effects of Enriched Environment and Task-Specific Reach Training on Poststroke Recovery of Motor Function
2018  5月  カナダ

刺激豊富な環境や集中的なリーチ課題訓練は神経の可塑性をうながすと考えられている。これらを単体でおこなったときと組み合わせた時の効果を実験してみたそうな。

2018年5月14日

減塩が脳卒中的に危険はホント?


Longitudinal Change of Perceived Salt Intake and Stroke Risk in a Chinese Population
2018  5月  中国

食塩摂取量と脳卒中など心血管疾患リスクが正の相関をもつとする報告はおおい。
これを根拠に ひろく減塩が薦められてきた。

しかしさいきん 食塩摂取量が少ないとかえって有害である?とする報告がいくつも現れてきた。
それらの研究はある一時期での食塩摂取量をもって評価をおこなっているため途中 健康キャンペーン等の影響で摂取量が変化する可能性を考慮していない。

そこで、4年間の食塩摂取量の変化と脳卒中リスクへの影響を大規模にしらべてみたそうな。


中国人77605人について2006、2008、2010に食塩摂取量を調査し、脳卒中の発生を2015までフォローしたところ、


次のようになった。

・中国人の食生活から判断して 食塩摂取量が1日6g未満を「低」 6-10gを「中」 10gより多いを「高」とし、4年間に 中→中、中→低、中→高、低→中、高→中 と推移した5グループにわけた。

・フォロー期間中に1564人が脳卒中になった。

・中→中グループにくらべ 中→低グループは脳梗塞リスクがあきらかに低かったが、脳内出血はその限りではなかった。

フォロー期間中の食塩摂取量の変化で脳卒中リスクも変わった。その結果は「減塩」を支持していた、


というおはなし。
図:食塩摂取量の推移

感想:

うえの表みると食塩量変わらないひとが8割だから、今回の結果はむしろ例外的で、
これ↓が否定されたとは思えないな。
ランセット誌:塩分減らすとかえって脳卒中になる

2018年5月13日

リハビリ病院をはなれたら活動的になった!


"Go home, sit less: The impact of home versus hospital rehabilitation environment on activity levels of stroke survivors"
2018  5月  オーストラリア

脳卒中リハビリをする場所が病院か自宅かでその活動内容と時間が変わるものか詳しくしらべてみたそうな。


リハビリ病院2施設にいる脳卒中患者34人に活動計を装着し、
退院直前の7日間と 退院して自宅へ帰った直後の7日間の活動内容と時間を計測し比較した。

2018年5月12日

Stroke誌:降圧薬のラクナ梗塞予防効果は


Effect of Antihypertensive Medication on Cerebral Small Vessel Disease
2018  5月  オランダ

脳小血管病(cerebral small vessel disease)はMRIでの白質高信号域、ラクナ梗塞、微小脳出血、血管周囲腔の拡大、微小皮質下梗塞、脳萎縮の総称である。
脳小血管病がひどくなると認知障害や歩行問題が生じる。

高血圧は脳小血管病のリスク因子である。
しかし降圧薬治療は太い脳動脈の疾患予防には有効であるが 脳小血管病への効果はいまだあきらかでない。

その関連をしらべるべくこれまでの研究のメタアナリシスをやってみたそうな。


降圧薬治療と脳小血管病に関する信頼性の高い研究を厳選して、データを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者1369人について28-47ヶ月間フォローした4つの研究がみつかった。

・降圧薬治療グループでは白質高信号域の拡大があきらかに小さかった。

・2つの研究は脳萎縮についても調べていたが全く逆の結論だった。

・他の脳小血管病との関連をしらべた研究はなかった。

降圧薬治療は白質高信号域の拡大を防ぐ効果があったが 脳萎縮には効果はなかった。ラクナ梗塞や微小脳出血 等への影響の研究はなかった、


というおはなし。
図:降圧薬と脳小血管病リスク

感想:

おどろいた
降圧薬でラクナ梗塞や微小脳出血を防げるというのはいまだ「信念」レベルってことか?

2018年5月11日

麻痺していない手を鍛える意義


Unilateral wrist extension training after stroke improves strength and neural plasticity in both arms
2018  5月  カナダ

片方の手や脚の筋肉を鍛えた効果が 鍛えていないもういっぽうの手や脚に伝達される「クロスエデュケーション」は重度の片麻痺で訓練のできない脳卒中患者への応用が期待されている。

下肢についての応用例はいくつかあるが上肢のそれはほとんどないので実験してみたそうな。


慢性期の脳卒中で片麻痺の患者24人について、麻痺していないほうの手関節の背屈筋を最大筋力で鍛える訓練を5週間継続した。


次のようになった。

・5週間後 20人が訓練を完遂した。

・非麻痺がわの手関節背屈筋力は42%、麻痺手のそれは35%増加した。

・さらに5週間後のフォローでもこの筋力増加量は維持されていた。

・4人の患者で臨床的に意義あるレベルでの手の機能改善があった。

・皮膚反射や皮質静止期間、脳梁抑制を測定することで脊髄路や皮質路の可塑的変化が生じたことがわかった。

非麻痺側の手を集中的に鍛えることで両手の筋力を改善でき、脊髄や皮質にも可塑的変化が生じた、


というおはなし。
図:脳卒中上肢筋力のクロスエデュケーション効果

感想:

筋繊維が強化されるわけではなくて抑制が外れるってことなんかね。
リハビリにクロスエデュケーションを使うべき理由

2018年5月10日

慢性期の下肢感覚麻痺の割合と転倒


The prevalence, distribution, and functional importance of lower limb somatosensory impairments in chronic stroke survivors: a cross sectional observational study
2018  5月  イギリス

脳卒中後の下肢の感覚麻痺の影響については急性期患者の調査がおおく、慢性期患者のそれはよくわかっていない。

そこで慢性期患者について下肢感覚麻痺の種類と割合、歩行能力や転倒との関連について詳しくしらべてみたそうな。


平均年齢67、自立歩行のできる慢性期脳卒中患者163人について下肢の複数の感覚テストおよび歩行能力テスト、転倒体験との関連を解析したところ、


次のようになった。

・56%が下肢になんらかの感覚障害があった。

・内訳は、全体の18%が触覚や圧覚 痛覚、55%がシャープさ(sharp-blunt)の識別能力、19%が身体の位置や動きを知る深部感覚、に障害があった。

・スネやももよりも遠位の足やつま先の感覚障害がおおかった。

・足や足首の深部感覚の障害があきらかに転倒事例と関連していた。

慢性期脳卒中患者の下肢感覚障害は半数以上にみられ、いろいろなパターンがあった。とくに足や足首の深部感覚の低下が転倒と相関していた、


というおはなし。
図:脳卒中後の下肢感覚障害の種類

感想:

まさにコレ。
足の裏と足首の感覚麻痺が歩行問題の最大の理由。

だからスネに電気流したりももをパワーアシストするはちょと違うと思う。

2018年5月9日

脳卒中リスニング療法の効果


Participants' experiences of music, mindful music, and audiobook listening interventions for people recovering from stroke.
2018  5月  イギリス

脳卒中患者の50%ほどは認知障害やうつ不安といった感情面での問題をかかえる。

いっぽう好きな音楽を聴くことで脳卒中患者の注意力や言語記憶 気分がおおきく改善することが報告されている。

また最近ではマインドフルネス瞑想によりどうようの効果が得られることが注目されている。

そこで音楽とマインドフルネスを組み合わせた時の影響を実験してみたそうな。


脳梗塞患者58人について、つぎの3グループにわけた。

*好きな音楽を聴く
*マインドフルネスのあと好きな音楽を聴く
*興味のあるオーディオブックを聴く

マインドフルネスは身体の各部位または呼吸に意識をフォーカスする5分間のエクササイズを選ばせた。

音楽やオーディオブックは iPod nano で毎日1時間 聴かせた。

これを8週間継続したのち、感想を聞き取り調査したところ、、


次のようになった。

・いずれのグループも雑念や心配ごとが減る効果があり、とくにマインドフルネス+音楽グループではリラクゼーションと集中力、注意力や感情の制御の改善がおおきかった。

・音楽のみのグループではなんらかの身体活動が増え、記憶の回想や気分の改善がおおきかった。

これらリスニングベースの介入は脳卒中患者にとって楽しい体験であり、とくにマインドフルネスをとりいれることで注意力のコントロールが促された、


というおはなし。
図:音楽マインドフルネスオーディオブックと脳卒中患者

感想:

はやくキンドルの自動読み上げがふつうにできるようになってほしいよ。

2018年5月8日

脳梗塞の血管内治療と喫煙パラドックス


Impact of smoking on stroke outcome after endovascular treatment.
2018  5月  スイス

喫煙習慣はあきらかに脳卒中のリスク要因の1つである。いっぽう喫煙習慣のある脳卒中患者への経静脈血栓溶解療法の効果が非常に高く回復が良いとする「喫煙パラドックス」についての報告も増えている。

この関連が血栓の機械的除去や動脈内血栓溶解療法(ウロキナーゼ)などの血管内治療についてもみられるものか詳しくしらべてみたそうな。


2003-2015に脳梗塞で血管内治療をうけた935人について調査したところ、


次のことがわかった。

・21.8%の患者に喫煙習慣があった。

・彼らは年齢が若く、男性がおおく、高血圧がすくなかった。

・また 治療から3ヶ月後の回復がきわめて良好(mRS1以下)の割合が 39.1%vs.23.1% で喫煙者におおく、動脈再開通率も高く 死亡率は低かった。

・脳内出血率に喫煙者と非喫煙者でちがいはなかった。

・関連要因を考慮にいれてもなお、喫煙習慣があるだけで3ヶ月後の回復がきわめて良かった。

脳梗塞患者に喫煙習慣があると血管内治療後の回復が非常によかった。だからといって喫煙が健康に良いわけではないので勘違いしないように、


というおはなし。
図:血管内治療の喫煙習慣パラドックス

感想:

どうやら虚血コンディショニング効果ではないか、、って言ってる。

[虚血 コンディショニング]の関連記事

2018年5月7日

nature.com:中国人が抗凝固薬を使わない理由


Survey of Antithrombotic Treatment in Rural Patients (>60 years) with Atrial Fibrillation in East China.
2018  5月  中国

心房細動は高齢者におおい不整脈であり、心房細動があると脳卒中リスクが4-5倍になるという。

抗凝固薬により脳卒中リスクを60%はさげられると考えられているが、2008年の調査では中国人心房細動の97%は抗凝固薬を使っていなかった。

そこで、さいきんの中国農村部での高齢者の心房細動有病率と抗凝固薬の使用率を詳しくしらべてみたそうな。


2015年に上海7箇所の農村部で60歳以上の36734人を調査した結果、


次のことがわかった。

・828人が心房細動で、有病率は2.3%だった。

・このうち38.9%が抗血栓療法をうけていて、ワルファリンは5.9%のみ、29.6%がアスピリン、2.7%がクロピドグレルを使っていた。

・心房細動患者の59.2%が CHA2DS2-VASc スコア2以上(ワルファリン推奨レベル)で、HAS-BLED スコア3未満(出血リスク低)だった。

・抗凝固薬が使われない理由として、1)早期発見の機会がない、2)症状がないので治療を希望しない、3)医師が薦めない、の3つが考えられた。

中国の心房細動患者は血栓症リスクが高く出血リスクは低かったにもかかわらず、そのおおくは抗凝固薬を使っていなかった、


というおはなし。
図:年齢 性別 心房細動の率

感想:

グラフみると歳とるとすごい勢いでふえるのな。

けど 老い先短いのに危険な薬をあたえるのはどうかと思うよ。

2018年5月6日

未破裂の脳動脈瘤を手術した直後に死ぬ率


Unruptured aneurysms in the elderly: perioperative outcomes and cost analysis of endovascular coiling and surgical clipping.
2018  5月  アメリカ

未破裂の脳動脈瘤が破裂する可能性は高齢者の平均余命が延びるにつれとうぜんおおきくなる。

高齢者の未破裂脳動脈瘤を治療するためには、クリッピングとコイリングがあるが手術の危険性やコストについての調査はほとんどないので詳しくしらべてみたそうな。


2002-2013に未破裂脳動脈瘤があり手術を受けた患者21595人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者内訳はクリッピングが9684人(65歳以上の高齢者2005人)、コイリングは11911人(高齢者3630人)だった。

・高齢者の平均入院日数はクリッピング8.0日、コイリング3.2日、

・費用はどちらも1000万円相当で高齢者のクリッピングがより高かった。

・術後死亡率はクリッピングでは 高齢者2.2% vs. 若年者0.8%、コイリングでは 高齢者0.9% vs. 若年者0.6% だった。

・手術をうけた高齢者が合併症を起こす率はクリッピングが10.3%で急性腎不全が最もおおく、コイリングは3.5%で深部静脈血栓症と肺塞栓症がおおかった。

未破裂脳動脈瘤の治療はクリッピングとコイリングともに高齢者にはハイリスクで、とくにクリッピングの術後死亡率は2.2%におよんだ、


というおはなし。
図:脳動脈瘤クリッピングの合併症

感想:

コイリングのほうが安全そうにみえるけど、術後死亡率はどちらもほぼ1%。

おそらくこういうこと。↓
なんの症状もないけれど健康のためと考えて近所の脳外クリニックでMRIを撮ってもらったら脳動脈瘤がみつかってしまう。そして「簡単な手術ですから、、」という医師の説明を信じた者のうち100人に1人はそのまま死亡する。

家族には「ぐうぜん脳動脈瘤が破裂してお亡くなりになりました。もうすこし早く手術できたら間に合っていたかもしれません。」と説明がなされる。

2018年5月5日

急性期の脳卒中患者に望ましい環境とは


Enriched Environment Elicits Proangiogenic Mechanisms After Focal Cerebral Ischemia.
2018  4月  中国

脳卒中のあと刺激豊富な環境(Enriched Environment)におくと神経ダメージの回復がうながされることが知られている。しかしそのメカニズムはよくわかっていない。

そこで血管新生に着目して脳卒中後の刺激豊富な環境の効果をしらべてみたそうな。

2018年5月4日

Neurology誌:サウナが脳卒中予防によいはどの程度か


Sauna bathing reduces the risk of stroke in Finnish men and women
2018  5月  フィンランド

サウナ浴はもとはフィンランドの伝統文化である。

これまでサウナ浴には血圧や動脈の硬さ 末梢血管抵抗を改善する効果が報告されている。

しかし脳卒中との関連についての調査はないので長期に詳しくしらべてみたそうな。


平均年齢63のフィンランド男女1628人にサウナ浴の頻度を聞き取り、脳卒中の発生を15年間フォローした結果、


次のことがわかった。

・この間に155人の脳卒中があった。

・サウナ浴が週1回にくらべ4-7回だと脳卒中リスクが0.39倍だった。

・さらに身体活動や社会経済レベルを考慮にいれると0.38倍になった。

・この関連は年齢や性別によらなかった。

頻繁にサウナ浴をする中高年男女の脳卒中リスクはあきらかに低かった、


というおはなし。
図:サウナ頻度と脳卒中リスク

感想:

すごい効き目だ。ふつうの風呂でもいいのかな。

2018年5月3日

まいにち玉子を食べるアジア人の脳卒中リスクは


Egg consumption and the risk of cardiovascular disease and all-cause mortality: Guangzhou Biobank Cohort Study and meta-analyses.
2018  4月  中国

玉子は栄養ゆたかな食品であるが 長らくコレステロール含有率の高さが懸念されてきた。

2015年アメリカで 食品から摂るコレステロールの上限値がガイドラインから削除された。このあたらしいガイドラインで参照されている3つのメタアナリシスはいずれも欧米での調査で、しかも玉子でどれくらい摂ると健康によいのかについてはほとんど触れられていない。

そこでアジア人を対象に玉子と脳卒中など心血管疾患との関連をくわしくしらべてみたそうな。


28024人を約10年間フォローした「広州バイオバンクコホート研究」のデータを用いて解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に総死亡者数2685人、心血管疾患での死亡873人があった。

・玉子をほとんど摂らないグループとくらべて週に7個以上摂るグループの総死亡率、心血管死亡率 に有意な差は無かった。

・さらに今回の調査結果を含めたメタアナリシスをおこなうと、週7個以上の玉子は総死亡率と虚血性心疾患には関連がなかったが、脳卒中のリスクは0.91倍だった。

1日1個の玉子は心血管疾患リスクや総死亡率の上昇にはつながらなかった。しかし脳卒中リスクはすこし低下した、


というおはなし。
図:玉子と脳卒中

感想:

玉子はつとめて食べるようにしている。今日は3個。

[玉子]の関連記事

2018年5月2日

ナッツと心房細動の関係があきらかに


Nut consumption and incidence of seven cardiovascular diseases.
2018  4月  スウェーデン

これまでの研究からナッツ摂取が心血管疾患死亡リスクと逆相関にあることがわかっている。

しかし心血管疾患の個々の種類(心筋梗塞、心不全、心房細動、腹部大動脈瘤、大動脈弁狭窄症、脳梗塞、脳内出血)との関連はよくわかっていないので大規模にしらべてみたそうな。


スウェーデンの食事頻度摂取調査を行った61364人を17年間フォローした結果、


次のことがわかった。

・ナッツ摂取は心筋梗塞、心不全、心房細動、腹部大動脈瘤リスクと逆相関にあったが、

・複数の関連要因で調整すると、心房細動との線形関係と 心不全との非線形関係のみがのこった。

・ナッツ摂取頻度が高くなるにしたがい心房細動リスクは0.97→0.82倍に低下した。いっぽう心不全リスクはナッツをほどほどに摂ったときにいちばん低かった。

ナッツ摂取もしくはその関連行動が 心房細動と心不全リスクの低下と相関していた、


というおはなし。
図:ナッツと心房細動リスク

感想:

ナッツを週3回以上食べると心房細動リスクが18%低下するんだって。

たぶんピーナッツでもいいとおもう。

[ナッツ]の関連記事

2018年5月1日

日本のTIA発生率の長期傾向


Secular trends in the incidence, risk factors, and prognosis of transient ischemic attack in Japan: The Hisayama Study.
2018  4月  日本

一過性脳虚血発作 TIA はさらなる脳卒中の前触れと考えることができる。また この半世紀ほどで脳卒中の関連リスクの状況は劇的に変化してきた。

TIAの発生とその後を長期にフォローした研究はアジアではほとんどないので日本人についてしらべてみたそうな。


久山町研究から 1961年1621人、1988年2646人の2つの時期のデータを解析したところ、


次のことがわかった。

・TIAの発生率は年間1000人あたり 1.01 vs. 0.66人で 1988年のほうがあきらかに低かった。

・収縮期血圧は両時期のTIAリスクに関連し、耐糖能と脂質異常は1988年のほうにのみ関連がつよかった。

・いずれの時期でもTIAのあと10年間は脳梗塞の発生率が7-8倍高かった。

・これら脳梗塞のうちアテローム血栓性の比率がおおはばに増えた。

この半世紀でTIAの発生率はあきらかに低下した。しかしTIAのあと10年間は脳梗塞になるリスクが7-8倍高い状態がつづく点は変わらなかった、


というおはなし。
図:TIAのあとの脳梗塞リスク

感想:

CTやMRIが登場して症状のないちいさな梗塞がほとんど誰にでも見つかるようになった。だからすぐに症状が消えたからといってTIAとして患者をそのまま家に返すのはちょっと惜しい。

そこでTIAがきゅうきょ脳梗塞に昇格する機会がふえたため発生率は下がった、ってことじゃないのかな。
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