元
Adult hippocampal neurogenesis poststroke: More new granule cells but aberrant morphology and impaired spatial memory
2017 9月 ドイツ
脳卒中を経験すると海馬の機能に障害がおきて記憶力が低下することがわかっている。
海馬の歯状回は 生涯をとおして新たな神経細胞がつねに生まれている箇所の1つである。
脳の虚血刺激によってこの神経新生が活発になることがわかっているが、なぜか記憶力が改善するわけではない。
最近の研究では代わりに異常な神経新生がおきている可能性が指摘されているので、実験でたしかめてみたそうな。
ネズミの行動が 海馬の記憶に基づくものか、海馬に依らない記憶によるものか を区別できるようにモリス水迷路試験を工夫した。
ネズミを人為的に脳虚血にしたのち水迷路試験を行い、さらに7週間後 海馬組織を顕微鏡観察した。
また 神経新生刺激の1つとして走行輪を与えたグループも作成した。
次のことがわかった。
・虚血刺激によって海馬の神経新生があきらかに増加していた。
・虚血ネズミは水迷路試験で時間がかかり、海馬記憶を活用していなかった。
・顕微鏡観察では虚血刺激で新生した神経細胞は形状が普通でなかった。
・ランニングによっても神経新生が促されたが、この細胞もまた異常形状だった。
脳の虚血経験により海馬歯状回に異常な神経新生が起き、海馬記憶に障害がおきた、
というおはなし。
感想:
新しい細胞が生まれるだけじゃ問題は解決しないんだな。まともな形に育ってちゃんと機能しないと。