元
Multivariate Connectome-Based Symptom Mapping in Post-Stroke Patients: Networks Supporting Language and Speech.
2016 6月 アメリカ
言語処理ネットワークは脳にひろくまたがっているため脳損傷の位置を確認しただけではどのような言語障害が現れるのか予想しにくい。
そこで 脳にひろがる領野の接続状態を表す地図 いわゆるコネクトームを作成して実際の患者の状態との関係を調べてみたそうな。
左脳損傷の脳卒中患者90人について脳の解剖情報、壊死した組織、拡散テンソルを表す画像 を撮影し、機械学習アルゴリズムも用いてコネクトームマッピングを行った。
言語機能(流暢さ、理解、反復、命名能力)を調べ対応させたところ、
次のことがわかった。
・コネクトーム画像から得られた失語症状予測は、通常のMRI検査の結果とよく一致していた。
・特に流暢さの点で頭頂領域が重要そうであることがコネクトーム画像でわかった。
コネクトームマッピングが従来の画像診断に相補的な役割を担えるようになるかもしれない、
というおはなし。
感想:
この研究があちこちのニュースサイトで紹介されていたので関心をもった。
拡散テンソルイメージングは白質繊維の間隙にある水分子の動きやすさの方向を可視化したもので 神経シグナルの流れを追ったものではない。
だから解剖をよく知る者にとっては新たに得る情報はほとんどない。もう15年以上まえからあるが 綺麗なグラフィックス以外に役立つところを見たことがない。
しかし同じコネクトものでも安静時fMRIの Functinal Connectivity解析はまったく別で、とても期待している。