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2015年12月31日

ミラーセラピーは早く始めた方がいいのか?


The effects of very early mirror therapy on functional improvement of the upper extremity in acute stroke patients.
2015  11月  トルコ

脳卒中上肢麻痺へのミラーセラピーの効果を、発症後早い時期に適用した場合で調べてみたそうな。


発症後10日前後の8人の脳卒中患者を2グループに分け、一方にはミラーセラピーを施した。

両グループには通常のリハビリも併行した。

これらを3週間継続したのち 上肢の感覚運動機能を比較したところ、


次のことがわかった。

・一連の治療後、両グループで有意な改善の差はなかった。

・ミラーセラピーグループに有害事象はなかった。

脳卒中発症後 早期の上肢ミラーセラピーに特筆すべき効果は確認できなかった、


というおはなし。

写真:ミラーセラピー


感想:

ふつーに考えたら早い方が効果的。

CI療法もそうなんだけど、早期に適用すると効果がない治療法っていうのはメンタル効果がとても大きいんだと思う。

2015年12月30日

療法士さんは機能的電気刺激(FES)使ってんの?


Physical Therapists' Use of Functional Electrical Stimulation for Clients With Stroke: Frequency, Barriers, and Facilitators.
2015  12月  カナダ

脳卒中患者の上下肢リハビリには機能的電気刺激(FES)が有効とされている。

実際にどのくらいの理学療法士がFESを採用しているものか調べてみたそうな。


298人の理学療法士にFESの利用頻度、知識、利用しない理由をアンケートして解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者へのFESは、歩行改善、上肢機能、筋力強化、感覚刺激、肩関節など あらゆる目的で利用頻度が低かった。

・52.6%の理学療法士はFESの利用を増やしたいと述べていた。

・40%以上はFESの脳卒中リハビリ効果に懐疑的だった。

・時間がない、機材がない、使い方がわからない などがFES利用を妨げる要因だった。

理学療法士はFESを脳卒中リハビリに あまり用いていなかった、


というおはなし。



感想:

自分が療法士だったら やはり採用しない。 

2015年12月29日

脳卒中患者をトランポリンに載せてみた


The effect of modified trampoline training on balance, gait, and falls efficacy of stroke patients.
2015  11月  韓国

脳卒中患者へのトランポリン訓練の効果を調べてみたそうな。


介助付きで2分間以上歩行可能な脳卒中患者24人について、半数にトランポリン訓練を施した。

訓練は、手すり付きトランポリンの上での体重移動、歩行、ジャンプなどを繰り返し、1回30分間x週3回x6週間行う。

全員には通常の理学療法訓練も施した。


次のことがわかった。

・両グループ共に訓練前に比べバランス能力、歩行能力、転倒恐怖感が明らかに改善した。

・さらにトランポリングループでそれら改善度が有意に高かった。


トランポリンを使った訓練により脳卒中患者のバランスや歩行能力、転倒恐怖感が著しく改善した、


というおはなし。

このひと↓片麻痺なんだって

よくみると右手は手すりを掴んでる



感想:

おもに自信がつくんだろね。

入院すると勝手な歩行は一切禁止で車いすが強制される。そして実際以上の重症感を抱く。トランポリンの危なっかしい体験は萎縮した感覚を解放する。

2015年12月28日

運転技術 損傷脳 左右での違い


A comparison of driving errors in patients with left or right hemispheric lesions after stroke.
2015  11月  韓国

脳卒中患者の自動車運転エラーが、ダメージ側が右脳か左脳かで違いがあるものか調べてみたそうな。

右脳損傷の脳卒中患者16人と左脳損傷の患者14人についてドライブシミュレーターを使って実験したところ、


次のことがわかった。

・シートベルト忘れやスピードコントロール、脱輪頻度 にグループ間の差はなかった。

・右脳損傷だと方向指示忘れやセンターラインはみ出し、トータルエラースコアが高かった。

・左脳損傷ではブレーキ反応時間が長かった。

損傷脳の左右別に運転技術に違いが生じた。運転リハビリではこの点に留意が必要だろう、


というおはなし。

図:自動運転 左右脳

感想:

右脳損傷だと右の手足がまともだから操作上は有利なんだけど、注意力に問題があるみたいなんだよなぁ、、、経験的に。

2015年12月27日

脳出血 手術を拒否する親族の気持ち


Treatment choice for patients with hemorrhagic cerebral stroke expected to be in a disabled condition -An analysis of questionnaire responses of patients' families.
2015  12月  日本

意識障害をともなう脳出血患者への外科的手術の適用の可否は通常 患者親族が決定することになる。

この決断に影響を与える要因を調べてみたそうな。


脳出血患者の親族30人と看護師18人について、
仮想状況として 患者を手術した場合の後遺症程度を4段階設け、
それぞれのケースでの手術希望をアンケートした。

また、自分が患者であった想定での選択にも答えてもらった。


次のことがわかった。

・後遺症が重くなるほど手術拒否が多くなった。

・自分が患者だったらどう考えるか、が決断に影響するもっとも大きな要因だった。

・看護師は、患者親族よりも手術を望む傾向にあった。

この種の決断は患者の事前の意志確認が望ましい。医療スタッフによる患者親族へのできるかぎり詳細な説明が必要である、


というおはなし。

図:植物状態だけど手術希望
感想:

原文が日本語(pdf)で読める。 とても興味深い内容だった。

『...で、このあと脳死が確認された場合にはですね、こちらの臓器提供同意書のほうに速やかにサインをしていただきたいのですが、、、』 と続くんだろか?

2015年12月26日

脳卒中後うつになりやすい人種が明らかに


Prevalence of Depression Among Stroke Survivors
Racial–Ethnic Differences
2015  12月  アメリカ

脳卒中後うつになりやすい人種を調べてみたそうな。


平均年齢64、発症後2年前後の脳卒中経験者556人について調査したところ、


次のことがわかった。

・黒人、白人、ラテン系アメリカ人を対象とした。

・ラテン系の2人に1人、黒人の4人に1人、白人の8人に1人がうつを経験していた。

・若い、女性、3つ以上の合併症、障害、社会サポートの欠如、がうつと関連する要因だった。

・ラテン系のうつになるリスクは黒人や白人の3倍だった。


ラテン系の脳卒中患者は他の人種に比べ明らかにうつになりやすい、


というおはなし。

写真:典型的ラテン系



感想:

これ思い出した。↓
ラテン系のメンタルは脳卒中に強いのか?

2015年12月25日

ボツリヌス療法、痙縮、疼痛の関連


Relationship Between Botulinum Toxin, Spasticity, and Pain: a Survey of Patient Perception.
2015  12月  カナダ

痙縮と疼痛のある脳卒中患者へのボツリヌス療法の効果を調べてみたそうな。


痙縮のある131人の患者について、疼痛の強さ、痙縮との関連、ボツリヌス療法後の主観的改善程度を評価したところ、

2015年12月24日

けいれん発作を起こした脳内出血患者は生存率が高い


Do Early Seizures Indicate Survival of Patients with Nontraumatic Intracerebral Hemorrhage?
2015  12月  ドイツ

脳内出血の早期にけいれん発作を起こす患者の回復度を調べてみたそうな。


平均年齢72、484人の脳内出血患者について調査したところ、


次のことがわかった。

・10.7%(52人)の患者に平均12日以内の早期けいれん発作があった。

・けいれん発作のあった患者の入院時の神経症状は発作のなかった者に比べ軽かった(NIHSS: 7 vs. 10)。

・出血位置を除けば発作の有無で患者の特徴に違いはなかった。

・大脳皮質の出血で早期けいれん発作が多かった。

・院内死亡率は 9.6 vs. 24.0% でけいれん発作グループが低かった。

・その後の日常生活指標が良好な者とけいれん発作の有無との関連は確認できなかった。

脳内出血患者の早期けいれん発作は生存率の高さと関連があった、


というおはなし。

図:脳内出血の院内死亡率


感想:

なぜだなんでだろう、、♪

2015年12月23日

限界まで太った高齢者は脳卒中からすぐに復活できる


Effect of obesity on functional outcomes at 6 months post-stroke among elderly Koreans: a prospective multicentre study.
2015  12月  韓国

脳卒中患者の肥満度と機能的自立度との関連を調べてみたそうな。


急性脳梗塞の患者2057人について、ボディマス指数(BMI)と6ヶ月後の機能的自立度評価(FIM)との関連を年齢層別に解析したところ、


次のことがわかった。

・65歳以上のグループでBMI30を超える極度肥満患者のFIMが有意に高かった。

・65歳未満ではBMIとFIMの関連は見られなかった。

65歳以上の脳梗塞患者の場合、極度肥満であることが6ヶ月後の良好な機能的自立度の目安になっていた、


というおはなし。

写真:極度肥満

感想:

歳をとってなお消化吸収能力の極めて高い優れた内臓をもっているわけで、脳も内臓と考えればそういうこともあるのかな、、、とおもった。

2015年12月22日

肩の痛みを改善する神経筋テーピングとは


Effectiveness of neuromuscular taping on painful hemiplegic shoulder: a randomised clinical trial.
2015  12月  イタリア

脳卒中で肩が痛くなり動かせない患者への神経筋テーピング(neuromuscular taping)の効果を実験してみたそうな。


安静時および動作時に強い肩の痛みのある脳卒中患者32人について、神経筋テーピングの有無で2グループに分け、両グループに通常のリハビリを4週間行い痛みと関節可動域を評価したところ、


次のことがわかった。

・テーピンググループで痛みのスケールが有意に低下し、1ヶ月後も効果が持続していた。

・同様に、関節可動域も30度ほど改善し 効果が持続した。


脳卒中患者への神経筋テーピングで肩の痛みと関節可動域を改善できた、


というおはなし。

写真:神経筋テーピング

感想:

正月に箱根駅伝みてると たまに顔にテーピングしてるランナーがいる。いったいどういう効果を狙っているのか知りたくなるんだけど なぜか調べる気が起きない。

2015年12月21日

よく動いてた患者は治りも良いのだろうか


Do Physically Active Patients Have Better Functional Outcome after Stroke? A Systematic Review.
2015  12月  ブラジル

身体活動は高血圧や糖尿病、肥満に影響することから脳卒中予防にも効果があると考えられている。

そこで、脳卒中発症前の身体活動レベルと機能的回復度についてはどうか調べてみたそうな。


関連する過去の研究を見なおしたところ、


次のことがわかった。

・Ristらによる最も規模の大きい研究では発症前の身体活動と機能的回復度との関連は確認できなかった。

・その次に規模の大きいStroudらの研究では 僅かな関連が見られた。

・Krarupらのもっとも小さい規模の研究3件で発症前の身体活動の機能保護効果が報告されていた。


脳卒中発症前の身体活動と機能回復との関連は結論が出せなかった、


というおはなし。

図:脳筋

感想:

もし関連があるとすると、脳機能のタフさは筋肉と一緒に鍛えることが可能ってことになる。

これ思い出した。↓
スポーツやってた脳卒中患者は再発しないのか?

2015年12月20日

PM2.5は脳梗塞か それとも脳出血か?


Differentiating the effects of characteristics of PM pollution on mortality from ischemic and hemorrhagic strokes.
2015  11月  中国

浮遊粒子状物質(PM)と脳卒中との関連は知られている。

そこで、PMのサイズや成分、脳梗塞と脳出血どちらに影響するのかなど調べてみたそうな。


広州市のデータについて、曜日や祝日、気象条件、インフルエンザなどの要素を考慮して解析したところ、


次のことがわかった。

・PMと脳卒中死亡率との明らかな関連を確認した。

・PM10,PM2.5,PM1と粒子サイズが小さくなるほど影響が強かった。

・特にPM2.5の有機炭素、元素状炭素、硫酸、硝酸、アンモニウム成分が脳卒中死亡率に関連していた。

・PM汚染は脳梗塞よりも脳出血と有意に関連していた。

浮遊粒子状物質の様々な成分が脳卒中死亡率に関連していた。特に脳出血で顕著だった、


というおはなし。



感想:

壮大な人体実験の結果だからな、、、

2015年12月19日

6年後に完全回復できた患者は何%?


Participation in Complex and Social Everyday Activities Six Years after Stroke: Predictors for Return to Pre-Stroke Level.
2015  12月  スウェーデン

どれくらいの脳卒中患者が6年後、発症前のレベルに戻れるものなのか、調べてみたそうな。


脳卒中患者349人を6年間フォローして、応用的日常生活動作(Frenchay Activities Index:FAI)を屋内、屋外活動、職場 について評価したところ、


次のことがわかった。

・121人の調査を完遂できた。

・79.3%は軽症患者だった。

・6年後、84%の患者がFAI≥15の活動的なレベルであると評価された。

・発症以前のレベルよりも回復した患者は35%で、65%はそれより低かった。

・補助なしでの歩行、若いこと、3ヶ月時点での回復が良かったこと、が良好な回復と関連していた。

6年後 35%の脳卒中経験者は発症まえ以上に回復していた。歩行能力の改善と社会参加を促すことが長期的な回復につながるだろう、


というおはなし。

図:社会参加

感想:

軽症患者でも半数以上は6年後も悩んでるってことなんだよな。

2015年12月18日

歯の本数と脳卒中との関連


Tooth loss is independently associated with poor outcomes in stable coronary heart disease
2015  12月  スウェーデン

歯の本数と脳卒中など心血管疾患との関連を調べてみたそうな。


39カ国の冠動脈疾患患者15456人について、残っている歯の本数を申告してもらい その後3.7年間フォローした結果、


次のことがわかった。

・他の要因を考慮に入れてなお、歯が少なくなるほど脳卒中や心血管疾患死亡リスクが増加した。

・失った歯が6本未満の患者に比べ 歯がまったく残っていない患者の脳卒中リスクは67%高かった。

冠動脈疾患患者を対象とした研究では、失った歯の本数が多いほど脳卒中や心血管疾患死亡リスクが高かった


というおはなし。

写真:羽が抜けた


感想:

背景として歯周病がどうのこうのらしい。

過去記事↓
抜けた歯が多いと脳卒中になりやすいの?

歯がない人は脳卒中にだけ注意すれば良いと思う

若年脳卒中患者の特徴 → 歯が少ない

抜けた歯を数えてみて.  4本以上なら脳卒中予備軍決定

2015年12月17日

漢方薬はほんとうに脳卒中にいいのか?


Outcomes after stroke in patients receiving adjuvant therapy with traditional Chinese medicine: A nationwide matched interventional cohort study.
2015  11月  台湾

漢方薬を使っている脳卒中患者は多い。ほんとうに効果があるものかどうか調べてみたそうな。


脳卒中のあと、通常の治療に加えて

*漢方薬治療を受けた入院患者1734人と
*漢方薬治療を受けない入院患者1734人

を比較したところ、


次のことがわかった。

・漢方薬治療を受けた患者は、発症から3ヶ月以内の 尿路感染症、肺炎、てんかん、消化管出血、死亡率が明らかに低かった。

・6ヶ月後についても同様に上記各リスクはすべて低かった。

・入院期間、費用も漢方薬グループは少なかった。


脳卒中のあと漢方薬治療を追加してもらった入院患者の有害転帰は減少した、


というおはなし。


感想:

で、これ↓なんだろうな、、
脳梗塞実績No.1漢方薬 → ほようかんごとう

2015年12月16日

被殻へのダメージはリハビリ後の歩行が遅い!


Does stroke location predict walk speed response to gait rehabilitation?
2015  11月  イギリス

脳の損傷位置がリハビリ後の歩行スピードに影響するものかどうか調べてみたそうな。


50人の脳卒中患者について、断層画像から脳の損傷位置と皮質脊髄路など脳組織に及ぼす範囲を調べた。

6週間のリハビリ後の歩行能力や移動能力を評価し、関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・皮質脊髄路へのダメージは歩行スピードを除く移動能力に関連していた。

・皮質脊髄路にダメージのないグループでは、被殻、島皮質、外包、それら周辺組織へのダメージが歩行スピードに関連していた。


脳卒中リハビリ後の歩行スピードは 被殻と周辺組織へのダメージがあると遅かった。皮質脊髄路へのダメージは歩行スピードとは関連しなかったが移動能力には影響した、


というおはなし。

図:被殻と歩行スピード


感想:

オレ被殻だからな、、、

2015年12月15日

脳卒中経験者の脚の筋力は健常者の何%なのか?


Lower limb strength is significantly impaired in all muscle groups in ambulatory people with chronic stroke: a cross-sectional study.
2015  11月  オーストラリア

脳卒中経験者の下肢筋力が どのくらいなものか調べてみたそうな。


発症後1-6年 歩行可能な60人の脳卒中経験者について 両下肢の主な12種の筋肉の収縮力を調べ 健常者35人と比較したところ、


次のことがわかった。

・麻痺側の脚のすべての筋力は明らかに弱く 健常者の48%程度だった。

・特に影響が大きかったのは 大殿筋で38%、足首背屈筋 35%、股関節内転筋 38%だった。

・非麻痺脚も足首内回旋筋を除く全ての筋力が有意に弱く健常者の66%程度だった。


脳卒中経験者はたとえ歩行可能であったとしても 両脚のほとんどの筋力が健常者に比べ大きく低下していた、


というおはなし。

図:下肢筋肉

感想:

さいきん 片足首ジャンプ訓練をはじめたら 駅の階段の上りでかつてのような感覚を取り戻すことができて 静かに感動している。

2015年12月14日

ラクナ梗塞の症状がすぐに消えちゃいました


Transient and persistent symptoms in patients with lacunar infarction: results from a prospective cohort study.
2015  11月  中国

症状を伴うラクナ梗塞には 一過性のものと持続性のものがある。両者の特徴を知らべてみたそうな。


症候性のラクナ梗塞でMRIを撮った外来患者251人について6ヶ月間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・77.3%の患者は症状が一過性で、23.7%は持続性だった。

・一過性の患者は若く、症状も軽く、梗塞も小さく、前頭部が多かった。

・生存率は一過性患者が明らかに高く、

・再発も 30.9% vs 54.4% で一過性患者が少なかった。


症候性のラクナ梗塞には一過性のものが多く、症状が持続するタイプよりも死亡率や再発率が低かった、


というおはなし。

図:ラクナ梗塞の再発

感想:

どんな症状であれ その原因を数mmの梗塞と関係付けることに どれほどの説得力があるのかな。

2015年12月13日

脳卒中経験者の運転適格性判定ツール


Usefulness of the driveABLE cognitive assessment in predicting the driving risk factor of stroke patients.
2015  10月  韓国

自動車運転の認知機能上の適格性を評価する装置 DriveABLE(ドライブエイブル)が脳卒中患者に使えるか実験してみたそうな。


運転歴のある42人の脳卒中患者について DriveABLEでの評価に基づき

*安全ドライバー と
*非安全ドライバー

の2グループに分けた。

各々のグループをドライブシミュレーターおよび認知機能検査したところ、


次のことがわかった。

・11人が安全グループ、31人が非安全グループに分類された。

・安全グループは認知機能検査スコアが非安全グループよりも高かった。

・運転技術(ペダルやステアリング操作、スピード制御、衝突事故など)も安全グループが優れていた。

このような評価ツールは脳卒中経験者の運転適格性の判断に使えるかもしれない、


というおはなし。


これ↓



感想:

はやく自動運転を実現してほしいよ。脳に障害抱えた人間が1トン以上の鉄の塊を そこらじゅうで走らせていると思うと怖くてしかたがない。

2015年12月12日

迷走神経リハビリの人体実験開始


Safety, Feasibility, and Efficacy of Vagus Nerve Stimulation Paired With Upper-Limb Rehabilitation After Ischemic Stroke
2015  12月  アメリカ

迷走神経の電気刺激はてんかん治療に用いられている。いっぽう動物実験では 脳卒中後の迷走神経刺激により 脳の可塑性が促されることがわかってきた。

これを人間で試してみたそうな。


脳梗塞後6ヶ月以内の患者21人について、

*迷走神経刺激+上肢リハビリ  9人
*上肢リハビリのみ  11人

の2グループに分け、1回2時間x週3回x6週間の治療を行った。

迷走神経は首に埋め込んだ装置を無線制御で リハビリ訓練に併行して電気刺激した。


次のことがわかった。

・深刻な有害事象は起きなかった。

・迷走神経刺激グループで上肢機能スコアが大きく改善した。

リハビリ訓練しながらの迷走神経刺激は可能で、安全そうだった。慢性期脳卒中患者にも試したい、


というおはなし。

図:迷走神経刺激で脳卒中リハビリ



感想:

装置埋め込みの恐怖と痛みに見合う成果が得られるかどうか、、

2015年12月11日

スポーツでクモ膜下出血になる割合がわかった


Subarachnoid Haemorrhage and Sports.
2015  11月  ポルトガル

クモ膜下出血はスポーツなどの身体活動で誘発されることがあるという。

その頻度とスポーツの種類について調べてみたそうな。


クモ膜下出血患者738人について調査したところ、


次のことがわかった。

・57.5%(424人)が直前になんらかの身体活動をしていた。

・1.2%(9人)はスポーツと関連していた。

・その内訳は、ランニング、エアロビクス、サイクリング、ボディバランス、ダンス、サーフィンだった。

・それらスポーツ患者は平均年齢が 43.1 vs. 57.0 と他のグループより若かった。

・うち1人はスポーツにより首に外傷を負っていた。

・スポーツ患者の重症度は、ハント・ヘスの分類ですべてグレード2以下だった。


スポーツで誘発されるクモ膜下出血は多くはなく、外傷と関係するものは稀だった。患者はいずれも若く 軽症だった、


というおはなし。

写真:クモ膜下出血

感想:

エアロビやダンスでなってるということは、ラグビーや柔道やってる人たちをCT撮れば もっとひんぱんに見つかるんじゃないのかな、、

2015年12月10日

玄米食が脳卒中予防になるという根拠について


Association between whole grain intake and stroke risk: evidence from a meta-analysis.
2015  9月  中国

全粒穀物と脳卒中との関連については諸説ある。そこでこれまでの研究データをまとめて再解析してみたそうな。


信頼性の高そうな研究を厳選したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中1635件、被験者247487人を含む6件の研究が見つかった。

・全粒穀物を多く摂る人は少ない人に比べ脳卒中リスクが14%低かった。

・この関連は特に女性で顕著だった。


全粒穀物を摂ると脳卒中予防になる、


というおはなし。

写真:一日二玄米四合ト

感想:

宮沢賢治の『雨ニモ負ケズ』で 1日に玄米を4合食べると書いてある。これ多すぎねぇか?っていつも思ってたので関心をもった。

うんこの量がハンパないと思うんだ。

2015年12月9日

脳卒中後うつは普通のうつと違うのか?


Clinical Manifestation of Depression after Stroke: Is It Different from Depression in Other Patient Populations?
2015  12月  オランダ

脳卒中後のうつは原因がわからないため 不眠や食欲不振、集中力の低下などの症状があっても、それらが一般的なうつ症状なのか区別がつきにくい。

そこで、脳卒中後のうつと 他の病気でのうつ症状パターンに違いがないか調べてみたそうな。


脳卒中患者382人と
動脈硬化性疾患患者530人 および
一般診療患者1160人について調査したところ、


次のことがわかった。

・うつ患者の割合は、脳卒中で14.1%、動脈硬化で5.4%、一般診療で12.9%だった。

・各グループ間でうつの症状パターンはほとんど同じだった。

・脳卒中患者グループがもっともうつ症状は重かった。


脳卒中後のうつに特別な症状パターンはなかった、


というおはなし。

図:脳卒中後うつ 症状比較


感想:

てっきり普通のうつとは違うと思ってた。同じであるばかりかむしろ重いとは、、、

ただ 上のグラフで、非うつ脳卒中患者の症状が他のうつ患者と同じ程度に重い。うつに至らないまでも不眠や疲れ、集中力欠如といった症状はどうしてもでてしまうってことなのかな。

2015年12月8日

タブレットで手のリハビリはできるのか?


Tablet Apps and Dexterity: Comparison Between 3 Age Groups and Proof of Concept for Stroke Rehabilitation.
2015  12月  イスラエル

タブレットコンピュータのタッチスクリーン技術が 脳卒中後の手のリハビリに役立ちそうか実験してみたそうな。


広い年齢層の健常者172人と 平均年齢59の軽-中等度の障害をもつ脳卒中患者20人について、

手のタッピング動作を伴うiPadゲーム(Dexteria社のTap-it)を2回とナインホールペグテストを行った。


次のことがわかった。

・健常者の高齢グループと脳卒中患者でタッピングスピードや精度に変化があった。

・脳卒中グループのうちアプリを2回遂行できた者は20人中15人のみだった。

・しかし全員がこのアプリを楽しんでいた。


タブレットアプリが脳卒中後の手のセルフトレーニングに役立つかも知れない、


というおはなし。

Dexteria社のTap-it



感想:

スコアを上げるため麻痺していない方の手を使ってしまったときに、それがバレる仕組みがあるとイイと思った。

今回のiPadアプリは↓500円くらいで買える。
Dexteria - Fine Motor Skill Development(iTunes store)

2015年12月7日

肩手症候群の触覚障害と痛みを治す方法について


High-Frequency Repetitive Sensory Stimulation as Intervention to Improve Sensory Loss in Patients with Complex Regional Pain Syndrome I.
2015  11月  ドイツ

周期的な触覚刺激により脳卒中患者のリハビリ効果が促されるという報告がある。

そこで、触覚障害と痛みを伴う複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者について、周期的な触覚電気刺激の効果を調べてみたそうな。


CRPS患者20人について、触覚障害を起こしている手の指先すべてに電極を着けて1日45分間x5日間刺激を与えた。

高周波数(20Hz)グループ16人と低周波数(1Hz)グループ4人に分けて前後での触覚2点弁別能および触圧覚、疼痛の程度を測定した。


次のことがわかった。

・高周波数グループでは触覚弁別能が著しく改善し、

・4人の患者で痛みが30%以上減少した。

・低周波数グループでは全ての患者で触覚弁別能が低下し 触圧覚と痛みに変化はなかった。


CRPS患者への高周波数電気刺激は感覚障害に効くかもしれない。痛みの緩和にはさらに長い期間の刺激治療が必要だろう、


というおはなし。

図:高周波数電気刺激と触覚弁別能


感想:

脳卒中のあと肩が痛くなって手がむくむ肩手症候群は CRPSに分類されるってことで関心を持った。

2015年12月6日

自己免疫疾患で脳卒中リスクが50%アップ


Painful Autoimmune Diseases = 50% Increased Risk of Stroke, Study Says
2015  12月  アメリカ

痛みを伴う自己免疫疾患と脳卒中との関連を調べてみたそうな。

先月行われた米国リウマチ学会会議での発表内容。


帯状疱疹やリウマチ、脊椎炎、クローン病などの自己免疫疾患を診断された51000人について、1,6,12ヶ月後の脳梗塞の有無を調べたところ、


次のことがわかった。

・診断された直後6ヶ月間に脳卒中になる割合は2-6年後に比べ1.5倍だった。

・合併症があるとその割合はさらに倍になった。

・帯状疱疹後に抗ウィルス薬を処方された患者は脳卒中リスクが16%低かった。


帯状疱疹など自己免疫疾患へのワクチン接種や免疫抑制療法は 脳卒中予防の点からも重要である、


というおはなし。

図:自己免疫疾患
感想:

これ↓おもいだした。
帯状疱疹なったら脳卒中に注意しなさい

2015年12月5日

脳卒中後うつにギャバロン茶が効くという根拠について


Antidepressive-like effects and antioxidant activity of green tea and GABA green tea in a mouse model of post-stroke depression.
2015  12月  イタリア

緑茶の抗酸化作用、抑うつ緩和効果は知られている。

脳卒中後のうつにも効くものかどうか、緑茶とGABA緑茶(ギャバロン茶)で実験してみたそうな。


脳卒中後うつを再現したネズミを使って、緑茶やギャバロン茶を飲ませたあとの行動検査および脳の複数の酸化関連物質を調べた。


次のことがわかった。

・緑茶およびギャバロン茶でうつ症状に変化があった。

・酸化ストレスが低下し、

・行動が正常化した。

・ポリフェノールやテアニン、グルタミン、カフェインが多いせいかギャバロン茶で行動がより活発だった。

緑茶、特にギャバロン茶は脳卒中後のうつ症状に効果があるかも知れない、


というおはなし。

写真:ギャバロン茶


感想:

ギャバロン茶って健康食品の名前かと思ったらそうではなくて、日本人が開発 命名したGABAを多く含む緑茶のこと。通販で安く買える。

GABA Tea(wikipedia)

”ギャバロン茶、血圧抑制機能で注目"

2015年12月4日

立方体のはなし

ブログ継続 満6年を記念してメモ

これまで あたまオカシイと思われるのが嫌で発症当日の幻覚関連のはなしはほとんどしていない。特にこの立方体のことは誰にも言ったことがない。

心に秘め続けて妄想を膨らませるのもどうか、、と思い吐き出すことにした。


脳の異変に気づいて勤め先を早退して 地下鉄のホームまで辿り着いたところで左手足の力が完全に抜けて床に崩れ落ちた。右手足だけで這って近くのベンチによじ登り腰掛けた。

右手で左手足をさすりながら「まずいことになったなー」と思っていた。

そしたら目の前に一辺5mほどの金属光沢 半透明の立方体が現れた。それがググっと近寄ってきて膝に触れるほどの位置で止まった。同時にその重量が5000万トンあることを直感的に知った。

「これがお迎え現象なのか、、」と思った。

こんなクソ重たい奴が相手じゃ為す術はないと観念して目を閉じた。

つぎの瞬間ホームの床の上に仰向けで、近くにいた人が救急車呼んでくれた。


文字にするとこれだけなんだけど、のちにこの立方体が時間旅行機だった気がしてならなくなった。というのもそのあと病室で 「とにかく時間についてしらべなきゃ」って気持ちが繰り返し強くなり、以来 そっち系の話(時をかける少女、ドラえもん、スーパージェッターなど)を集めては 考えを巡らすようになった。

じつは現在も脳卒中以上に関心を持っていて、専用のWebサイトも作った。日によってはここよりもアクセスがあり ツイッタもやっている。

2015年12月3日

脳卒中後のうつと疲労 損傷位置と対処様式


Factors associated with post-stroke depression and fatigue: lesion location and coping styles.
2015  11月  中国

脳卒中あとのうつや疲労感は珍しいことではなく 長く続く問題でもある。それらと脳の損傷部位や心理状態との関連を調べてみたそうな。


急性脳梗塞で情動障害の患者368人について、発症3ヶ月時点でのうつ、疲労の程度を調べ、MRIで確認した損傷位置、対処行動傾向との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・梗塞の位置が大脳基底核、放射冠、内包にある場合、脳卒中後の疲労に関連し、

・脳卒中後のうつと梗塞位置との関連はなかった。

・障害受容はうつと疲労に関連した。

・回避傾向はうつに関連し、対峙傾向は疲労と関連していた。


脳卒中後のうつと疲労に関連する脳の損傷位置は異なった。また各々の対処様式も違っていた、

というおはなし。


感想:

うつが位置によらないって話はときどき聞く。これっておもしろいと思う。

2015年12月2日

身体無視って知ってた?


Recovery of personal neglect.
2015  11月  イタリア

脳卒中のあと半側空間無視があると回復が良くないと言われている。

一方、空間だけでなく自分の半身を無視してしまう "身体無視"(personal neglect)は注目度が低い。

そこで半側空間無視と身体無視で回復が違うものか調べてみたそうな。


右脳梗塞で半側空間無視の患者49人について、身体無視の有無およびリハビリ前後での回復度を調査したところ、


次のことがわかった。

・半側空間無視と身体無視の回復に明らかな関連はなく、どちらも通常のリハビリ後に改善した。

・身体無視があっても予後の悪化要因にはならなかった。


半側空間無視と身体無視の回復過程は独立したもので、身体無視があったからといって回復が悪いわけではなかった、


というおはなし。

図:半側空間無視の種類
感想:

personal neglect 初めて知った。
こじらせると、こう↓なるようだ
身体パラフレニア:自分の腕じゃないみたい!

2015年12月1日

失語症患者が「読みやすい!」と感じるフォント


Do particular design features assist people with aphasia to comprehend text? An exploratory study.
2015  11月  イギリス

失語症患者が理解しやすい文字、文章の特徴を調べてみたそうな。


9人の失語症患者について、読んで理解がしやすい文章テキストのフォントの種類、大文字 小文字の区別、補助画像の有無を調べ解析したところ、


次のことがわかった。

・フォントは文字飾りのないサンセリフ(sans-serif)がセリフ(serif)よりも明らかに理解しやすく、

・大文字よりも小文字表記のほうが分かりやすかった。

・テキストが読みにくい場合、理解を助ける目的の1枚の画像はあまり効果的ではなかった。


失語症患者の文章理解は文字のフォント、大文字 小文字で影響を受けた。また、補助画像1枚では大して理解の助けにはならなかった、


というおはなし。


図:サンセリフフォント


感想:

毎回できるだけ写真や図をなにか1枚貼るように心がけているけど、あえて説明文は添えないようにしている。

わかったような気になってくれればいいと思うから。

2015年11月30日

右脳の脳卒中はポジティブで左脳は、、


Perception of emotions in patients with ischemic stroke.
2015  11月  ロシア

脳卒中患者の感情や知覚プロセスの傾向を 左右損傷脳別に調べてみたそうな。


右脳または左脳を損傷した脳梗塞患者47人について、入院後早い時期に現状に対する主観的感情の傾向と 神経心理テストを行い損傷脳別に比較した。


次のことがわかった。

・右脳損傷では現状をポジティブに捉えている患者が多く、

・物事を細部に分け詳細に理解しようとする傾向があった。

・左脳損傷ではネガティブな感情反応の患者が多く、

・全体を漠然と捉える知覚傾向が強かった。


というおはなし。


写真:左右脳半球

感想:

右脳脳卒中はポジティブマンで 左がわ脳卒中はネガティブマンってことか。

ウツは右脳損傷に多いなんて話もあるし 逆のような気もする。けど左脳やられると利き手と言語に影響が出るわけだからネガティブになるのもわからない でもない。

2015年11月29日

脳卒中あとの不安障害はどのくらい?


The High Prevalence of Anxiety Disorders After Stroke.
2015  6月  スウェーデン

脳卒中のあとの不安障害の頻度と特徴を調べてみたそうな。


脳卒中経験者149人について、発症後20ヶ月時点での不安障害を調査し、健常者745人と比較したところ、


次のことがわかった。

・全般性不安障害は 27% vs. 8%、恐怖症性障害は 24% vs. 8%、強迫性障害は 9% vs.2% で脳卒中経験者グループが多かった。

・不安障害は 脳卒中経験、女性、うつ と関連が強かった。

・全般性不安障害の脳卒中経験者は食欲不振を訴えることが多く、筋緊張や不眠は少なかった。


脳卒中のあとの不安障害は明らかに多かった。必ずしもうつが原因というわけではなかった、


というおはなし。


感想:

全般性不安障害をウィキペディアで調べると
そわそわと落ち着かない、緊張してしまう、過敏になってしまう
疲れやすい
倦怠感
動悸・息切れ
めまい・ふらつき感
集中できない、心が空白になってしまう
刺激に対して過敏に反応してしまう
頭痛や肩こりなど筋肉が緊張している
眠れない又は熟睡した感じがない
これらが3つ、6ヶ月間続くことなんだって。

日本の勤め人の半分はあてはまるだろ。

2015年11月28日

脳卒中で注意力が低下する原因


Sleep disturbance and deficits of sustained attention following stroke.
2015  11月  オーストラリア

脳卒中後の注意力不足に影響する睡眠障害やうつなどの関連を調べてみたそうな。


平均年齢68、22人の脳卒中患者と20人の健常者について、

主観的な 日中の眠気や 睡眠の質の低下、うつ、疲労について調べ、

持続的注意力を精神覚醒反応時間(PVT)検査で測定し、関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者はうつ、疲労の程度が高く、

・持続的注意力が低かった。

・特にPVT検査の反応時間が長く、エラーも多く、反応時間のバラつきが大きかった。

・不注意度に睡眠の影響は少なく、うつ症状が反応時間の延長、疲労がバラつきに関連していた。


脳卒中患者の持続的注意力の低下が PVT検査によって知覚運動スピードの低下として捉えられた。どうやら うつや疲労がこれに関連しているようだ、


というおはなし。


PVT検査の例

感想:

注意力の低下は 最初のころは認めたくなかったけど、車の運転してるといやでも気付かされる。だからいつもスピード遅くて煽られまくり。

でもそのおかげで人生初のゴールド免許取れたんだ。

2015年11月27日

脳梗塞の頭痛はココに原因がある


Headache in acute ischaemic stroke: a lesion mapping study.
2015  11月  ドイツ

急性脳梗塞患者の頭痛は珍しくないがそのメカニズムはよくわかっていない。

そこで、脳の梗塞部位と頭痛との関連を調べてみたそうな。


脳卒中で頭痛あり、なしの患者50人ずつについて、詳細なMRIデータを撮り、梗塞位置を解析したところ、


次のことがわかった。

・頭痛ありとなしのグループ間で 梗塞の体積、範囲、重症度に差はなかった。

・緊張性の頭痛がほとんどだった。

・頭痛ありグループでは梗塞が島皮質や体性感覚皮質にあることが多かった。

・特に島皮質と頭痛の関連が強かった。

島皮質は痛みを司る部位と言われていることから、急性脳梗塞の頭痛はこのあたりに由来しているにちがいない、


というおはなし。

図:頭痛

感想:

島皮質ってよく出てくる。最近では薬物中毒に関係したこれ↓かな。
禁煙に成功できる脳卒中の部位が明らかに(2015/7/23)

2015年11月26日

幹線道路から75m以内に住むと若くして脳梗塞に


Air Pollution and Ischemic Stroke Among Young Adults
2015  11月  イスラエル

大気汚染と脳卒中との関連を若年者に着目して調べてみたそうな。


2005-2012の脳卒中患者4837人分の記録と発症当日の大気中の粒子状物質濃度との関連を衛星観測データも使って解析したところ、


次のことがわかった。

・患者の89%は脳梗塞で、平均年齢70だった。

・粒子状物質濃度はおよそ、PM10:36-55, PM2.5:17-23μg/m3だった。

・PM10,PM2.5の濃度上昇と脳梗塞との関連は、55歳未満で有意に認められた。

・この関連は特に、住居が幹線道路から75m以内の場合に顕著だった。


大気中の粒子状物質濃度と脳梗塞リスクとの明らかな関連を若年成人で確認した。背景には炎症メカニズムがあるのではないか、


というおはなし。

図:粒子状物質

感想:

逆に考えると汚染排出源から100mも離れれば かなり影響が薄まっちゃうってことなんだよな。思いのほか大したことないな。

2015年11月25日

迷走神経リハビリは慢性期の脳梗塞にも効果的だった


Vagus Nerve Stimulation During Rehabilitative Training Improves Forelimb Recovery After Chronic Ischemic Stroke in Rats.
2015  11月  アメリカ

迷走神経を刺激しながらの脳卒中リハビリは効果的 という動物実験成果がある。

発症から時間が経った慢性期でも効くものかどうか試してみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミについて 6週間後、次の3グループに分け訓練を行った。

*迷走神経を刺激しながらの上肢訓練
*上肢訓練の2時間後に迷走神経刺激
*上肢訓練のみ


次のようになった。

・迷走神経刺激を併行したグループで上肢機能回復が著しかった。

・その筋力回復度は86%で、迷走神経刺激なしグループでは47%、2時間後グループでは42%だった。

・効果の持続性も刺激併行グループで優れていた。


迷走神経を刺激しながらの訓練は脳梗塞の慢性期であっても 上肢リハビリに非常に効果的かもしれない、


というおはなし。




感想:

過去記事(あたらしい順)↓
迷走神経を刺激したら慢性期で重度麻痺の手が動くようになった

迷走神経刺激は脳内出血リハビリにもイイのか

上肢リハビリに効く迷走神経刺激のタイミングと量について

迷走神経を刺激しながらリハビリするとすっごく回復するらしい

2015年11月24日

帯状疱疹なったら脳卒中に注意しなさい


Incidence of herpes zoster and associated events including stroke-a population-based cohort study.
2015  10月  スウェーデン


帯状疱疹とその合併症とも言える脳卒中との関連について調べてみたそうな。


2008-2010に帯状疱疹と診断された13269人について調査したところ、


次のことがわかった。

・帯状疱疹の発症率は、年間1000人あたり3.25人で、

・男性よりも女性で、若者よりも高齢者で高かった。

・免疫抑制剤を使用している割合が高かった。

・80歳を超えるグループで帯状疱疹発症率がもっとも高かった。

・帯状疱疹発症後の1年間は、脳卒中や化膿症になるリスクが 特に40歳未満で非常に高くなった。


帯状疱疹は女性、高齢、免疫抑制剤使用者で多かった。帯状疱疹と脳卒中との関連も明らかにできた


というおはなし。


感想:

免疫抑制剤ってリウマチとかにも使われるのな、、

過去記事↓
帯状疱疹と脳卒中との関連が明らかに

帯状疱疹のあとの脳卒中リスクはどのくらいヤバイのか

2015年11月23日

オナニーがきっかけで脳出血になる割合


Sexual activity as a trigger for intracranial hemorrhage.
2015  11月  アメリカ

頭蓋内出血は性的行為がきっかけになりうると言われている。

それら患者事例から性的行為がどのような要因と関係しているのか調べてみたそうな。



過去の患者記録を見なおして性的行為が頭蓋内出血のきっかけになったと疑われる事例を抽出したところ、



次のことがわかった。

・関連する非外傷性の頭蓋内出血患者記録を16件見つけた。

・50%は脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血で、

・25%は出血源を特定できないくも膜下出血だった。

・12.5%は動静脈奇形の出血で、

・残りの12.5%は大脳基底核の脳内出血だった。

・患者の平均年齢は49.9で、

・87.5%が男女間の性交渉によるもの。

・12.5%はマスターベーションがきっかけと考えられた。


性的行為がきっかけで頭蓋内出血になるケースは珍しく、様々な要因が絡んでいた。行為による急な血圧の上昇が関係しているのだろう、


というおはなし。

写真:自慰防止衣
子供を自慰行為から護る セルフレイプ防止スーツ


感想:

おそらくは自己申告に基づくデータだから、実際は10倍くらいいると思う。

2015年11月22日

ミラーニューロンに基づく失語症リハビリの方法とは


Mirror neuron system based therapy for aphasia rehabilitation.
2010  10月  中国

ミラーニューロンシステムの働きは運動と言語機能に関連している。そこで、ミラーニューロンシステムを刺激しながら言語訓練をしたときの失語症リハビリ効果を実験してみたそうな。


脳卒中で失語症の患者6人について、次の2種類の訓練を行った。

A: 手の動作ビデオを見ながら、対象物の名称を繰り返し答える。
B: 静止画をみながら、写っている物の名称を繰り返し答える。

これを1回30分間x毎日x1週間ずつ、ABAまたはBABの順で計3週間行った。

1週間毎に訓練成果を確認し、関連を解析した。

また、fMRI検査も行い脳の活動部位を比較した。


次のことがわかった。

・6人全ての患者でAの動作観察訓練あとに、言語機能テストのほとんどの側面でスコアが改善した。

・fMRIではAの動作観察訓練あとに、ミラーニューロンネットワークがより広く活動していた。


ミラーニューロンネットワークを利用した言語訓練法は、脳卒中の失語症リハビリに有効かも知れない、


というおはなし。

図:ミラーニューロンシステム


感想:

これほんとだとしたら、huluでアクション映画観ながらその実況を独り言しているだけで効果があるはず。

2015年11月21日

上肢リハビリを促す睡眠の条件が明らかに


Sleep Parameters, Functional Status, and Time Post-Stroke are Associated with Offline Motor Skill Learning in People with Chronic Stroke.
2015  10月  アメリカ

睡眠により運動学習が強化される(offline motor learning)という報告が増えている。

脳卒中経験者についてくわしく調べてみたそうな。


発症後6ヶ月以上経った慢性期脳卒中経験者20人と健常者10人について、夜間の睡眠前後での上肢の運動学習効果を測定した。

3日間研究所に泊まり 最初の2日間は準備にあて、3日目にジョイスティックを使った探索課題訓練を行い その後就寝し、翌朝に学習効果をテストした。

睡眠ポリグラフ検査との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・睡眠後の課題エラーの大きさが脳卒中経験者で明らかに減少していた。健常者では変化がなかった。

・睡眠効率が良く、ノンレム睡眠ステージ3の時間が短く、レム睡眠時間が長いほど運動学習効果が高かった。


脳卒中経験者の運動学習効果を促す睡眠条件をいくつか明らかにすることができた、


というおはなし。

図:offline learningの効果


感想:

慢性期患者でも効果ありってとこがおもしろい。

そういえばリハビリ入院してたころ、ある日テーブルに散らしたおはじきがひとつも拾えなかったのに 一晩寝たら翌日には難なくできるようになってたことがあったなぁ。

2015年11月20日

バイリンガルは脳卒中でもボケにくいことが判明


Impact of Bilingualism on Cognitive Outcome After Stroke
2015  11月  イギリス

二ヶ国語を話せるバイリンガルは認知能力の衰えがゆっくりであることが知られている。

バイリンガルの脳卒中患者ではどうか、調べてみたそうな。


インド・ハイデラバードの脳梗塞患者608人について調査したところ、


次のことがわかった。

・353人がバイリンガルで、255人がモノリンガルだった。

・認知能力が正常だった者の割合は、40.5% vs. 19.6%でバイリンガルが多かった。

・血管性認知症と認知障害の割合は、77.7% vs. 49.0%でモノリンガルが多かった。

・失語症になる割合に差はなかった。

二ヶ国語を話せると脳卒中になっても認知能力が良好な人が多かった。おそらく認知的予備力が大きいためだろう

というおはなし。

図:二ヶ国語併用


感想:

認知的予備力(cognitive reserve)っていうのは、脳の筋力みたいなもので、器用さや繊細さとか 難しい考えを理解する力なんかとは別物みたいなんだよね。

2015年11月19日

ミラー療法が脳卒中後の痛みに効くは本当か?


The efficacy of movement representation techniques for treating limb pain - a systematic review and metaanalysis.
2015  11月  ドイツ

脳に運動している様子を提示するテクニック、たとえばミラー療法や運動イメージ訓練、動作観察訓練などに ある種の四肢の痛み緩和効果があるという報告がいくつもある。

信用できるものかどうか、いままでの研究をまとめて検証してみたそうな。


ミラー療法や運動イメージ訓練、動作観察訓練と

複合性局所疼痛症候群(CRPS)、幻肢痛、脳卒中後疼痛、その他急性疼痛に関する15件の研究を厳選し 再解析したところ、


次のことがわかった。

・これらの方法は疼痛や障害の軽減に 概ね有効だった。

・QOLの若干の改善効果もあったが 有意ではなかった。

・ミラー療法と運動イメージ訓練はCRPSに適していると考えられた。

・運動イメージ訓練は外傷や手術の痛みに適していると考えられた。

しかしCRPS以外に いずれの方法も 幻肢痛、脳卒中後疼痛への効果は確認できなかった。


というおはなし。

図:movement representation

感想:

ミラー療法は幻肢痛に効くってことで有名になったんじゃないのかな? まぼろしだったのか、、

2015年11月18日

鍼治療で脳の血のめぐりはよくなるのか?


The Effects of Acupuncture on Cerebral Blood Flow in Post-Stroke Patients: A Randomized Controlled Trial.
2015  11月  イスラエル

鍼刺激が脳卒中に本当に効果があるか 脳血流を調べてみたそうな。


発症後1-3ヶ月の脳卒中患者17人を、鍼刺激および偽刺激グループに分けて20分間治療を行った。

この直前、途中、直後の脳血流速度を左右脳半球について超音波で測定した。


次のことがわかった。

・鍼刺激グループで両脳半球の平均血流速度が 偽刺激グループよりも上昇した。

・脳血流速度の最大値に影響はなかった。

・両グループ共に治療直後の収縮期血圧は低下した。


鍼刺激が脳血流速度に影響することが確認できた。鍼治療は脳卒中リハビリに効くのかも知れない、


というおはなし。

図:頭部鍼刺激

感想:

東アジア以外の国が 鍼治療を慎重に評価する姿勢に好感を持った。

2015年11月17日

社会心理的ストレスと脳卒中について


Evidence of perceived psychosocial stress as a risk factor for stroke in adults: a meta-analysis.
2015  11月  イギリス

仕事や人間関係、気に障る出来事など社会心理的なストレスと脳卒中との関連についてこれまでの研究成果をまとめてみたそうな。


信頼性の高い研究を14件 厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・社会心理的ストレスに曝されていると脳卒中リスクが30-40%高かった。

・脳梗塞よりも脳出血により強く関連していた。

・これらの関連は男性よりも女性で強かった。


社会心理的ストレスは脳卒中リスクを明らかに高くする、


というおはなし。

写真:ストレス


感想:

こういう社会心理的ストレスって、何年か経ってから振り返ると「なんでこんなものにストレス感じてたんだろう?」ってことが多いと思う。

2015年11月16日

脳卒中でどれくらい目が悪くなるものなのか


Vision problems in ischaemic stroke patients: effects on life quality and disability.
2015  11月  ノルウェー

脳卒中のあとは半盲や無視、眼球運動障害など視覚に関する問題が起きやすい。

どのくらい影響があるものなのか調べてみたそうな。


616人の脳梗塞経験者にアンケート協力を依頼し、視覚問題と生活の質、自立度などとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・328人から回答があった。

・そのうち25.4%に視覚問題があった。

・内訳は、18.9%が読書やテレビを観るのが困難で、4.9%はそれがさらに重度、

・1.2%は読書やテレビは無理だけど介助なしの歩行は可能、

・0.6%がほぼ盲目 だった。

・視覚問題がある者は、高齢で、生活自立度や生活の質 が低くかった。

・うつや疲労度スコアも高かった。


脳卒中経験者の4人に1人は視覚上の問題で悩んでいた。これは生活の質を下げるもとになるので早めの評価と対策が必要だろう、


というおはなし。



感想:

当初はパソコン画面がにじんでしまうため顔を思いっきり近づけて見てた。
いまでも眼鏡をかけないと遠くのシラサギの首が両目でも片目でも2本に見える。

夜間の自動車運転もよく見えてない気がしてとてもコワイ。

2015年11月15日

最新の音楽療法 バイノウラルビート (Binaural Beat)


Music therapy in neurological rehabilitation settings.
2015  10月  ポーランド

神経学的リハビリシーンでの音楽療法についての総説。


・神経学的音楽療法(NMT:neurologic music therapy)は 神経疾患患者を対象としたあたらしい考え方である。

・音楽がもたらす固有の刺激で脳を活性化する。

・実際のリハビリへの応用では 楽器や音楽の特性を利用する。

・そのなかでもリズムはもっとも重要で、「エントレインメント効果」により 与えたリズムに生体リズムがシンクロするようになる。

・一定のリズムパターンには記憶能力を活性化するはたらきもある。

・また 音楽は情動システムに作用して知覚、認知、感情に影響をもたらす。

・たとえば「モーツァルト K.448」のてんかん抑制効果は 多くの研究で確認されている。

・近年あらたな感覚刺激技術として「バイノウラルビート(Binaural Beat Stimulation)」などが登場している。

・これら多様な音楽刺激方法が脳卒中、脳損傷、認知症などの治療に用いられ、音楽療法のエビデンスが増えつつある、

というおはなし。

図:バイノウラルビートと覚醒
バイノウラルビート周波数で注意力をコントロール
Turow G, Lane J D. Binaural beat stimulation: altering vigilance and mood states. In: Berger J, Turow G. ed. Music, science, and the rhythmic brain. New York, London: Routledge; 2011. p. 122–136.



感想:

やっと時代が追いついてきたか、、


追記:

nature.com:バイノウラルビートで脳卒中リハを加速?

2015年11月14日

脳卒中のあとの認知障害の割合 インドでは


Cognitive Impairment After Stroke.
2015  9月  インド

脳卒中のあと認知障害になる割合について調べてみたそうな。


平均年齢62、50人の脳卒中患者について調べたところ、


次のことがわかった。

・30%が認知症、

・42%が認知症には至らない認知障害、

・28%は認知能力が正常 だった。

・高齢、男性、脳出血、再発、左脳、皮質下 と関連があった。


脳卒中のあと、72%の患者が何らかの認知障害を示していた、



というおはなし。

写真:Indraprastha Apollo Hospital
この病院


感想:

インドだからもっと患者数多いかと思った、、

これ↓中国のバアイ
脳卒中経験者の8割が認知障害

2015年11月13日

前頭葉の脳卒中と感情について


Emotional reactions in patients after frontal lobe stroke.
2015  11月  ボスニア・ヘルツェゴビナ

脳卒中患者の情動反応を前頭葉との関係で調べてみたそうな。


脳卒中患者118人について 脳の損傷部位と不安評価尺度検査との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・前頭葉損傷患者は不安などの情動反応が珍しくなく、特に女性で多かった。

・損傷範囲が広いほど不安症状は小さかった。

・利き手支配の優位脳の前頭葉損傷で不安症状が起きやすかった。


これらの結果は進化の過程で最近に発達した中枢神経系と感情との関連を示している、


というおはなし。

図:不安スコアと損傷位置


感想:

優位脳がわの他ならぬ前頭葉がやられると不安スコアがやたら高い(上の図)ってとこがユニークなんだな。

2015年11月12日

失語症の回復に右脳は邪魔なのか?それとも、、


・Right hemisphere grey matter structure and language outcomes in chronic left hemisphere stroke

・Righting a wrong? Right side of brain can compensate for post-stroke loss of speech
2015  11月  アメリカ

左脳損傷で失語症になった脳卒中患者は、右脳がその機能を代償することで回復すると考えられてきた。

しかし最近ではこの右脳の働きはむしろ左脳の言語機能の回復を妨げるのではないか とも言われている。

そこで、右脳の機能相当部位の体積変化と 失語からの回復との関連を調べてみたそうな。


左脳損傷で失語症の脳卒中経験者32人と健常者30人について脳の高分解能MRIデータを撮り 解析したところ、


次のことがわかった。

・失語の回復が良かったグループの右脳後方の灰白質(側頭頭頂皮質)の体積が、回復の良くなかったグループよりも大きかった。

・健常者と比較しても脳卒中経験者グループの右脳後方部位の灰白質体積は大きかった。

・確認のために 失語にならなかった別の左脳損傷経験者10人と比較したところ、失語経験者の当該部位の体積は大きかった。


左脳損傷で失語症になった脳卒中経験者の回復には 右脳後方の皮質が関わっていて、回復過程で肥大していったのではないだろうか、、


というおはなし。


図:側頭頭頂皮質反対側のこのあたり


感想:

脳の体積が増えるってイメージ湧きにくいけど、自分は左脳のどこかが大きくなってんのかな、、

2015年11月11日

軽症脳卒中患者の生活の質は


Quality of life in patients with TIA and minor ischemic stroke
2015  11月  アメリカ

一過性脳虚血発作(TIA)や軽症脳梗塞患者の 健康に関連したQOL(生活の質)を調べてみたそうな。


TIAまたは脳梗塞で神経症状が極めて軽く ほとんど障害のない、血栓溶解治療を行わなかった患者を3ヶ月フォローした結果、


次のことがわかった。

・平均年齢66、332人の患者が調査対象になった。

・47人(14.2%)が90日以内に脳卒中を再発し、

・そのうち41人には何らかの障害が残った。

・119人(35.8%)で健康関連QOLが低下した。

・高齢や初回症状の重さ、再発があると健康関連QOLが下がった。

軽症脳梗塞やTIA患者の健康関連QOLの低下は珍しくなかった。年齢、症状、再発がこれに関連していた、 


というおはなし。

図:QOL


感想:

再発する恐怖と頭の働きの低下 もQOL悪化に貢献してるな。

2015年11月10日

NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね


A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control
2015  11月  アメリカ

脳卒中など心血管疾患を防ぐ最適な血圧を大規模に調査したそうな。


高血圧治療対象9361人を収縮期血圧の目標別に

*140mmHg
*120mmHg

の2グループに分け、心血管疾患および死亡原因との関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・120グループの方が明らかに死亡率が低かったので5年の実験予定を3年3ヶ月で打ち切った。

・総死亡リスクで27%、心血管疾患リスクで25%、120グループが低かった。

・120グループで起立時のふらつきや転倒、腎臓への問題が多かった。


心血管疾患リスクのある患者の収縮期血圧は120mmHg未満を目標にした方が140mmHgよりも死亡リスク、心血管疾患リスク共に明らかに低かった、


というおはなし。

図:血圧と死亡リスク


感想:

すでに勧告は出てたみたいで、関連してこんな記事があった。
高血圧治療ガイドライン 120未満に引き下げで「患者」増加

血圧低いと心臓病や腎臓病リスク低下も転倒や自殺死亡率上昇

2015年11月9日

手のリハビリはスマートグローブにおまかせ


This Smart Glove Speeds Rehabilitation Of Stroke Patients - Forbes
2015  11月  韓国

韓国企業 Neofect が、脳卒中患者の手のリハビリ用スマートグローブを開発したそうな。


次のような特徴がある。

・このスマートグローブは手指の動きをビデオゲームの動作に反映できる。

・モチベーションを高め 動作の繰り返しを促しリハビリ効果を得ることを目的とする。

・利用できるゲームは毎月更新される。

・指の曲げ伸ばし、握り、手のひねり、手のひらの上下を区別できる。

・ゲーム記録は自動的にアップロードされ療法士のアドバイスを受けられる。

・重さは132グラムと軽い。

・この企業はすでに多くの投資家から多額の資金調達に成功している。


というおはなし。


RAPAEL Smart Glove (ラファエル スマートグローブ)


感想:

指の動作を捉えられるところが新しい。キネクトは腕の大雑把な動きしかわからなかった。

美少女くすぐりゲームを作ってくれたらリハビリ頑張っちゃうんだけどな。

2015年11月8日

103歳の脳卒中女性に血管内治療を施した結果、、


Successful endovascular stroke therapy in a 103-year-old woman.
2015  11月  アメリカ

世界では80歳を超える高齢者が急速に増加している。

血管内治療の効果は年齢に関係なく得られるとする研究がいくつかある。実際、アメリカ脳卒中協会のガイドラインではその適用に年齢の上限を設けてはいない。


103歳の女性が左内頚動脈の閉塞による脳卒中で入院してきたそうな。


・発症から2時間経っていた。

・重症度は高く、NIHSSスコアは38だった。

・断層画像上では梗塞に至った組織はまだなかった。

・発症前の生活自立度は高く、ほとんど介護なしで暮らしていた。

・血栓溶解療法ののち機械的血栓除去を行ったところ、

・劇的に回復し、48時間後にはNIHSSスコアは1にまで戻った。

・発症から再開通までは3時間40分だった。


血管内治療の条件に合う患者であれば、年齢が非常に高くても効果があるものなのだなぁ、、、


というおはなし。

写真:103歳

感想:

この婆さんがすごいんだと思う。平均寿命をはるかに超えてる時点で「生きることの達人」なわけで DNAレベルでも病気に強いはず。

こういう特殊な人で治療が成功しても自慢にならないんじゃないのかな、、

2015年11月7日

鼻炎のメリット→脳梗塞予防効果


Risk relation between rhinitis and acute ischemic stroke.
2015  11月  台湾

慢性的な炎症は動脈硬化を促し脳梗塞の原因になると言われている。

そこで鼻炎と脳梗塞の関連を調べてみたそうな。


61899人の鼻炎患者および鼻炎のない123798人を10年間フォローして、脳卒中の有無を調べ関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・鼻炎グループの脳梗塞リスクは鼻炎なしグループの0.74倍だった。

・糖尿病や高血圧のない者に限定すると、鼻炎グループの脳梗塞リスクは0.69倍だった。

・49歳以下、50-64歳、64歳以上のいずれの年齢層でも 鼻炎グループで同程度に脳梗塞リスクが低かった。


慢性的な鼻炎があると明らかに脳梗塞になりにくかった、


というおはなし。

図:鼻炎と脳梗塞リスク

感想:

子供のころから鼻炎にはずーっと悩まされてきて、初めて聞く朗報だわ。

2015年11月6日

失感情症と脳卒中後のうつ


The Role of Alexithymia in the Incidence of Poststroke Depression.
2015  10月  台湾

脳卒中後のウツはもっともよくある神経精神学的症状である。いっぽう アレキシサイミア(失感情症)は自分の感情を自覚し表現することが難しい状態を指す。

失感情症が脳卒中後のウツに関わっているかどうか調べてみたそうな。


脳梗塞の入院患者285人について失感情症、不安、神経症状、痴呆のテストを1ヶ月毎に行い、6ヶ月間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・脳卒中後ウツの割合は16.5%だった。

・脳卒中後ウツと失感情症スコアは明らかな関連があった。


失感情症傾向の脳卒中患者はウツになりやすいのかもしれない、


というおはなし。

写真:失感情症

感想:

アレキシサイミアを調べると、感情を失っているわけではなくて自覚が困難なだけだ、ってなことが書いてある。自覚しない感情とはいったいなんぞや?

物事に動じない精神的に成熟した人間を病気扱いしたいときに用いる考え方なのかな、、と思った。

2015年11月5日

鍼治療を受けていると再発しにくいの?


A Retrospective Cohort Study Comparing Stroke Recurrence Rate in Ischemic Stroke Patients With and Without Acupuncture Treatment.
2015  9月  台湾

鍼治療を受けている脳卒中患者の再発リスクについて調べてみたそうな。


2000-2004の脳梗塞患者記録から、年齢性別等の一致する鍼治療を受けていた者および受けていなかった者、計30058人ぶんのデータを抽出して2009までの再発事例との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・1000人あたりの年間再発率は、鍼治療あり69.9人、鍼治療なし71.4人だった。

・鍼治療を受けているグループの再発リスクは受けていないグループの0.88倍だった。

・その効果は脳卒中の投薬治療も受けている場合により顕著だった。

・鍼治療も投薬治療も受けていない者に比べて、再発リスクは 投薬治療のみ0.42倍、鍼治療のみ0.50倍、投薬治療+鍼治療では0.39倍だった。

脳卒中の鍼治療は、投薬治療中であっても再発予防効果が期待できるのかも知れない、


というおはなし。

図:鍼と再発しない率
再発しない率



感想:

鍼治療系の研究のほとんどは結論ありきの印象がある。だからどんなに成果があっても あまり驚かないんだ。

2015年11月4日

脳出血で死なないための睡眠時間が判明!


Sleep Duration and the Risk of Mortality From Stroke in Japan: The Takayama Cohort Study.
2015  10月  日本

睡眠時間と脳梗塞 脳出血との関連を日本人で調べてみたそうな。


1992年時点で35歳以上の男性12875人 女性15021人を2008年までフォローして、睡眠時間と脳卒中死亡率との関連を調査 解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に611件の脳卒中(脳梗塞354、脳出血217、原因不明40)があった。

・7時間睡眠に比べ9時間以上では脳梗塞死亡リスクが50%以上アップした。

・一方、6時間未満では脳出血死亡リスクが36%低下した。

・このリスク低下は男性で顕著(69%減)だった。


長時間の睡眠では脳梗塞死亡リスクが上昇した。短時間睡眠は男性の脳出血死亡リスクを下げるのかもしれない、


というおはなし。

写真:睡眠時間

感想:

長時間睡眠が良くなさそうな話は何度もあったけど、短時間睡眠の脳出血への効果は初耳。

これまで以上に早起きしようと思う。

2015年11月3日

お酒の脳卒中予防効果をアジア人で調べてみた


Moderate alcohol intake reduces risk of ischemic stroke in Korea
2015  10月  韓国

アルコールの摂取量と脳梗塞のなりやすさを韓国人について調べてみたそうな。


20歳以上の脳梗塞患者1848人 および脳卒中でない3589人に面談して飲酒状況を調査し関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・1杯あたりエタノール10gとして、毎日3-4杯までの飲酒をする人は明らかに脳梗塞になりにくかった。

・脳梗塞のなりやすさは まったく飲まない人に比べ、1杯未満で0.38倍、1-2杯で0.45倍、3-4杯で0.54倍だった。

・脳梗塞予防効果のある飲酒上限は、女性で1-2杯まで、男性3-4杯だった。

・脳梗塞の種類と関連はなかった。

・もっともよく飲まれていた酒は ソジュ(アルコール度数20%)だった。


ほどほどの飲酒は脳梗塞予防にいいのかも、

というおはなし。



感想:

酒は料理に使う以外に いい思い出がひとつもないんだよなぁ、、

2015年11月2日

脳卒中で復職できる人 復職しない人


Factors predictive of return to work after stroke in patients with mild-moderate disability in India.
2015  10月  インド

脳卒中のあと復職すれば経済的 人生満足度的な改善が期待できる。

どんな脳卒中経験者が復職できるのか調べてみたそうな。


もともと職に就いていて、脳卒中の発症から3ヶ月-2年以内、18-60歳でかつ軽症-中等度の障害の患者141人について復職状況を調査したところ、


次のことがわかった。

・52.5%が復職した。

・発症3ヶ月後の生活自立度が高く、若くて 専門性の高い職もしくは会社員だった患者は復職しやすかった。

・不安やウツ、社会的サポートは復職に影響しなかった。


軽-中等度の障害を持つ脳卒中経験者の半数は復職しなかった。これは不安 ウツといった社会心理的な要因よりも障害の程度や職種の影響が大きかった、


というおはなし。

復職に際しての心配事

感想:

読んでて 「復職する意志」を重視しているようなニュアンスを感じて関心を持った。

軽症だからといってすべての脳卒中患者が元の職場への復帰を望んでいるとは限らない と思うんだよね。

2015年11月1日

脳卒中患者の自立度調査をスマホアプリにやらせてみた


Mobile Phone–Based Questionnaire for Assessing 3 Months Modified Rankin Score After Acute StrokeA Pilot Study
2015  10月  スウェーデン

脳卒中患者は多くの場合 その退院後、 病院を訪れない限り 回復度が引き続き正確に評価されることはない。

そこでスマートフォンを使った生活自立度調査を実験してみたそうな。


62人の急性期脳卒中患者もしくはその介護者のスマートフォンに特製アプリを導入した。

このアプリは退院3ヶ月後に自動的に起動して生活自立度判定に関する20の質問を投げかけるよう設定されている。

その数日後、患者の元へ職員を派遣して同様の評価を行い アプリの結果と比較解析したところ、


次のようになった。

・48人で実験を完遂できた。

・平均年齢67、3ヶ月後の生活自立度の指標mRSの中央値は2だった。

・62.5%でスマートフォンアプリによる評価と実際の評価が一致していた。

・自立(mRS 0-2)と依存(mRS 3-5)を分別した場合では、83%が一致していた。


スマートフォンアプリを用いた脳卒中患者の回復度調査は、従来法とよく一致していた、


というおはなし。

写真:スマートフォン調査


感想:

スマホアプリを使いこなす高齢者はイメージしにくいけど、50歳未満の若い患者には喜ばれるフォローだろうな。

2015年10月31日

食事タンパク質と脳卒中について


Association of Dietary Protein Consumption With Incident Silent Cerebral Infarcts and StrokeThe ARIC Study
2015  10月  ドイツ

食事から摂るタンパク質と脳卒中との関連を調べてみたそうな。


45-64歳の健康な11601人について、日頃の食事内容を調査し、脳卒中の発生を20年あまりフォローしたところ、


次のことがわかった。

・この間に699件の脳卒中があった。

・タンパク質の総量、動物性 植物性にかかわらず脳卒中リスクとの関連は見られなかった。

・しかし赤肉の摂取は特に脳梗塞の発症と関連があった。

・赤肉の摂取量が増えるほど脳梗塞リクスは上がった。

・食事タンパク質と無症候性の脳梗塞との関連は見られなかった。


食事タンパク質と無症候性脳梗塞との関連はなかったが、赤肉の摂取は脳梗塞と関連があるかもしれない、


というおはなし。

写真:食事タンパク質

感想:

赤肉(家畜肉)とガンの関連は最近WHOの警告で話題になったばかり。

ハンバーグの代わりにさつま揚げを食べればいいと思う。

2015年10月30日

「動機づけ面接」の脳卒中再発予防効果について


Improving Adherence to Secondary Stroke Prevention Strategies Through Motivational Interviewing
2015  10月  ニュージーランド

脳卒中の再発防止を目的に、服薬遵守と生活習慣を改善するべく「動機づけ面接」を試してみたそうな。


脳卒中患者386人について、動機づけ面接(クライアントの自律性を引き出し行動を変容させる準指示的な方法)グループと通常ケアのグループに分けた。

動機づけ面接は発症から28日、3,6,9ヶ月後の計4回行った。

血圧、コレステロール、服薬遵守状況、脳卒中の再発、冠動脈疾患、生活の質、ウツ不安 を1年後まで調べたところ、


次のことがわかった。

・血圧およびコレステロール値にグループ間で有意な差はなかった。

・自己申告の服薬遵守率は動機づけ面接グループで高かった。

・その他の項目でも両グループで明らかな差はなかった。

脳卒中患者への動機づけ面接は自己申告性の服薬遵守率を改善した。その他の効果は確認できなかった、


というおはなし。



感想:

薬に明らかな再発予防効果があるとわかれば 飲み続けると思う。

そういうわけで降圧薬を勝手にやめて かれこれ10ヶ月経った。身体の調子いいわ、、

2015年10月29日

脳卒中リハビリは遠隔でもできるの?


Telerehabilitation Approaches for Stroke Patients: Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials.
2015  10月  中国

遠隔リハビリテーションが脳卒中患者の日常生活動作の改善に役立つものか調べてみたそうな。


自宅の脳卒中経験者を対象にした遠隔リハビリテーションの効果に関する 信頼の置ける研究成果を複数の査読者により厳選し、総合的にデータを再評価したところ、


次のことがわかった。

・2587件の記録から11件の研究を厳選した。

・日常生活動作および運動機能について、従来型リハビリと遠隔リハビリとで有意な差は見られなかった。


脳卒中患者への遠隔リハビリテーションの効果は、従来型のそれに匹敵するものである。さらなる証拠固めが期待される、


というおはなし。



感想:

この手のはなしでいつも疑問に思うのは、STはともかく PTやOTって遠隔で代替できてしまうような仕事なのかな?ってこと。

これ↓思い出した。
日本の理学療法士はどういう根拠に基づいて仕事をしているのか?

2015年10月28日

神経学的音楽療法とは NMT(Neurologic Music Therapy)


How music is helping stroke patients walkand talk again
2015  10月  アメリカ

ボストンの2人の若者が音楽療法の会社を立ち上げた。

MEDRhythms 

・神経学的音楽療法 NMTに基づく1回60分間ほどのセッションを

・ギター、ピアノ、歌唱の専門家を派遣して行う。

・リズムによる聴覚刺激:Rhythmic Auditory Stimulation(RAS)の歩行リハビリの事例(2分間)

従来型リハビリを3週間受けても歩行がまったく改善しなかった脳卒中の男性が、派遣された音楽療法士がギターを奏でるや杖を放り出し その日のうちに数倍のスピードで歩けるようになった。

・治療的歌唱とメロディックイントネーション療法の失語症事例(2分間)


設立から6ヶ月の会社ではあるが これからも神経学的音楽療法を世に広めてゆきたい、


というおはなし。


感想:

自分のために目の前でギター演奏してくれたら そりゃぁ頑張っちゃうよなぁ、、

けど上の歩行ビデオはやり過ぎだね。

2015年10月27日

歩きながら考え事すると脳はどうなるの?


Prefrontal Cortex Activation While Walking Under Dual-Task Conditions in Stroke: A Multimodal Imaging Study.
2015  10月  イギリス

多くの脳卒中経験者にとって 歩きながらの課題(会話など)はなかなか難しい。

そこで、歩行に加えて別の課題を与えた時の脳の働きを調べてみたそうな。


慢性期の脳卒中経験者と健常者の各グループについて、

*歩行のみ:単一課題
*歩行+思考作業: 二重課題 を行い、

各々の脳の活動状態を近赤外線分光法およびfMRIにて観察 比較した。


次のことがわかった。

・両グループともに 二重課題時により多くの酸化ヘモグロビンを前頭前野に観測した。

・脳卒中経験者はいずれの課題でも有意な変化を記録した。

・単一課題から二重課題時の脳活動増加量は 脳卒中経験者の運動パフォーマンスの低下度に関連していた。

・脳卒中経験者の二重課題時の活動増加は、下側頭回、上前頭回、帯状皮質、中心前回に観測された。

・特に 脳卒中経験者の下側頭回、帯状皮質、前頭極の活動増加は二重課題時の行動変化と関連していた。


二重課題時の 脳活動の増加と運動パフォーマンスの低下は関連していた、


というおはなし。
図:前頭前野

感想:

脳卒中をやると脳に余裕がなくなるから 負荷がかかったときにすぐに脳がカッカしてしまう。

坂をのぼる軽自動車みたいにエンジン回転数が跳ね上がってしまう。そういうことだと思う。

いまだに 運転中に話しかけられると返事できないもんね。

2015年10月26日

脳のここをやられていると運動イメージ訓練が効かない


Motor imagery-based skill acquisition disrupted following rTMS of the inferior parietal lobule.
2015  10月  カナダ

運動イメージ訓練 いわゆるメンタルリハーサルは脳卒中リハビリで効果のある治療法の1つである。

これには脳の様々な部位が関わっているが、なかでも視空間プロセスを司る左側の下頭頂小葉に大きく依存していると考えられれている。

そこでこの部位を磁気刺激(TMS)で抑制した場合に 運動イメージ訓練の効果がどうなるか調べてみたそうな。


27人の脳卒中患者について、運動イメージ訓練ベースの潜在系列学習を行わせ、その前後での反応時間を測定した。

患者は2グループに分け、
一方には左側の下頭頂小葉へ抑制効果を持つシータバーストTMSを与え、
もう一方はTMSコイルを外に向けて偽刺激グループとした。


次のことがわかった。

・反応時間の改善度は、偽刺激グループで36.1ms、本刺激グループでは7.7msだった。


左側の下頭頂小葉の働きを抑制したところ、運動イメージ訓練の効果が弱まった。この部位が運動イメージ訓練に重要な役割を担っているであろうことが確認できた、


というおはなし。


写真:下頭頂小葉下頭頂小葉


感想:

下頭頂小葉には角回という脳のひだが含まれていて、そこは 刺激すると体外離脱を体験できることで有名な部位でもある。

刺激されてみたい、、

2015年10月25日

視床梗塞で明晰夢を見るようになった若者たち


Lucid dreams, an atypical sleep disturbance in anterior and mediodorsal thalamic strokes.
2015  10月  フランス

視床の脳卒中では 認知 情動 行動上の障害が多く報告されている。一方、睡眠障害の報告はあまりない。

睡眠障害に関係したユニークな事例があったそうな。


・視床の梗塞で入院した2名の若者がいた。

・彼らには 失語、物忘れ、注意力や実行力の低下と共に、

・明晰夢(夢を見ていることを自覚しながら見る夢)の報告もあり、

・その内容は破滅的で争いに関するものだった。


視床脳卒中で明晰夢の報告はほとんどない。今回の事例は 脳卒中と睡眠-覚醒障害の関連をうかがわせる、


というおはなし。

写真:明晰夢

感想:

明晰夢にはとても関心がある けど最近見ないな、、

ついでにこんな話↓を思い出してちょっとワクワクした。

・ペンローズの量子脳理論によると 意識は脳のある構造の量子プロセスから発生する。
・UMMOの人たちは 「その構造」が視床にあることを突き止めた。
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