元
Feasibility of using high-definition transcranial direct current stimulation (HD-tDCS) to enhance treatment outcomes in persons with aphasia.
2014 12月 アメリカ
従来型のtDCSにくらべより限局した範囲を強く刺激できるHD(ハイディフィニション)tDCSを実際に試してみたそうな。
慢性期脳卒中で失語症の8人の患者について従来型のtDCS もしくはHDtDCS を施し、併行して5日間の失語リハビリを行った。
次のようになった。
・HDtDCSは実験を行う上で従来型と比べ特に大きな違いはなかった。
・両グループともに失語リハビリの成果が見られた。
・訓練成果の正確さの点でHDtDCSの方がやや優れているように見えた。
HDtDCSは従来型のtDCSと同様に扱うことができ、効果も同程度以上はありそうだ、
というおはなし。
HDtDCSを自作して自分に試し、やけどしかけた人のビデオ
感想:
tDCSのニュースはこれまで30件以上取り上げてきた。
2015年にもなったし 今だから正直に言うと、tDCSで脳の神経が分極して興奮がどうのこうのという理屈は最初からぜんぜん信用していない。
上に貼ったビデオのように簡単に実験できるはずなのに まったく試してみる気にもならない。
その理由を書いてみる。
子供のころ006Pタイプの乾電池を舐めて 痛いくらいに舌がシビレた。tDCSで使用する電池、流す電流がまさにこのレベルのものである。
じっさい、tDCSの通電中のチクチク感は問題になっていて、この不快感を緩和するために電極の材質や頭皮との間にはさむジェルやスポンジを工夫している。
つまりtDCSで効果があるとされるレベルの電流を流すと多少のチクチク ピリピリ感はどうしても避けられない。
その結果、比較対照のための偽刺激(電流を流さない)実験が事実上意味をなさなくなる。
わかりやすく言うと、
実験中ずうっとアタマに貼った電極にチクチク感のある被験者は、自分がなにかすごい先端医療を施されていることを感覚的に体験し続ける。
いっぽう、偽刺激の被験者には全体を通してほとんどチクチク感は無く、なにかされているのかさっぱり実感がわかない。
これほどの実験状況の違いがあるとポジティブな結果がでないハズがなく、得られる成果のほとんどは「チクチク感によるプラシーボ効果」であると考える。
でも名のある研究機関も取り組んでいることを考えると、少しは本当の効果も含まれるのかな、、と思い 見守っている。