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2013年8月31日

磁気刺激する脳を反対側にしてみた


Inhibitory Theta Burst Stimulation of Affected Hemisphere in Chronic Stroke: a Proof of Principle, Sham-Controlled Study.
2013  8月  イタリア

磁気刺激によるリハビリは両半球の競合モデルに基いて、損傷側に活性化刺激を、健常側に抑制刺激を与えるのが通常である。

そこで、損傷側の脳に抑制刺激を与えてみたらどうなってしまうのか、実験してみたそうな。

12人の慢性期脳卒中患者について、損傷側脳への抑制磁気刺激、または偽刺激のグループに分けて上肢機能の改善程度を比較した。

併せて通常のリハビリも行った。


次のようになった。

・両グループ共に上肢機能が大きく改善し、3ヶ月後も持続した。

・磁気刺激グループでは、上肢課題実行時間の短縮ぶんが倍以上速くなった。


これまで、損傷側の脳には活性化刺激を与えるという考えが当たり前だったが、抑制刺激を与えても改善効果があることがわかった、


というおはなし。



感想:

この種の改善効果が一体なにに由来するのか?を考えなおすきっかけになる研究だと思った。


2013年8月30日

お腹にお灸すると脳卒中後ウツが治る


Post-stroke depression treated with acupuncture and moxibustion: an evaluation of therapeutic effect and safety
2013  7月  中国

脳卒中後ウツが鍼や灸で治るものなのか、調べてみたそうな。


123人の患者について、以下の3グループに分けて4週間治療を行ったところ、

著しい効果のあった割合は、各々

・鍼+灸、→69%
・抗うつ薬のみ→65%
・鍼+抗うつ薬→71%
だった。


鍼と灸による脳卒中後ウツ治療は抗うつ薬治療に匹敵する効果があることがわかった、


というおはなし。



灸の場所はお腹

2013年8月29日

療法士さんは手に麻酔でも打って感覚麻痺を経験してみればいいと思う


Upper limb post-stroke sensory impairments: the survivor's experience.
2013  8月  アメリカ

感覚麻痺になった患者の体験について調べてみたそうな。


脳卒中で上肢感覚麻痺の脳卒中経験者15人に面談調査し、内容を3人の専門家が分析したところ、


患者の体験には次の3つのテーマが見つかった。

1)私の手に何が起こったのか?
感覚麻痺の大きな衝撃と、今後どう生活したらよいかへの不安。

2)未だリハビリ始まったばかりなのに?
概ね感覚麻痺はリハビリの対象とされず、自分でどうにかしなければならないと知る。

3)いつかは回復するかも?
根気強い努力によって感覚麻痺がゆっくりと回復に向かうだろうという希望を持つ。


感覚麻痺は見た目以上に患者にとって大きな意味を持つ。感覚麻痺対策への患者の希望を汲み取ったリハビリ計画が必要だろう、


というおはなし。



感想:

たしかにその通りで、たたいてもつねっても何も感じないというのは、動かないことよりも受け入れがたい体験だった。

幸い、感覚0(ゼロ)の状態は2-3週間しか続かなかった。

現在は、10段階評価で2か3って感じ。

それでも空気はもちろん風呂の温度もわからないし、人に触れていても気が付かないことがよくある。



2013年8月28日

肩甲上神経ブロックで肩の痛み問題が解決!


Suprascapular Nerve Block for Shoulder Pain in the First Year After Stroke: A Randomized Controlled Trial.
2013  8月  オーストラリア

脳卒中のあとの肩の痛みはよくある。
そこで肩甲上神経ブロックの効果をためしてみた。


発症1年未満で肩の痛みのある脳卒中患者64人について神経ブロック、または偽薬グループでの改善効果を12週間追跡調査した。


次のようになった。

・神経ブロックグループで著しい痛みの減少が見られた。

・4週間で痛みを半分にするのに必要な神経ブロック注射は4回だった。

・運動機能や生活の質にはおおきな変化はなく、副作用もなかった。


脳卒中片麻痺の肩の痛みは、肩甲上神経ブロックで改善できることがわかった、


というおはなし。

写真:肩甲上神経ブロック



感想:

たしかに肩がすごく痛かった。

なぜ痛くなるのか誰も説明してくれなかったし、未だによくわからない。


"肩甲上神経ブロック"で調べるとやってくれる施設がいっぱいでてくる。


2013年8月27日

よく眠れているものなのか男女で比較してみた


Subjective sleep quality in relation to objective sleep estimates: comparison, gender differences and changes between the acute phase and the six-month follow-up after stroke.
2013  8月  ノルウェー

脳卒中のあとの睡眠状況を調べてみたそうな。


100人の脳卒中患者について、急性期および6ヶ月後の睡眠状況を主観的、客観的に測定した。


次のようになった。

・急性期にくらべ6ヶ月後の方が睡眠の主観評価は良く、目が醒めている時間も短かった。

・両期間ともに、睡眠効率は低下し、頻繁に目が醒めていた。

・睡眠の主観評価と覚醒測定器の評価は急性期では一致していなかった。

・急性期、女性の主観的睡眠効率およびその質は男性に劣ったが、測定器の結果は真逆だった。

・男性は、6ヶ月後の主観的睡眠効率が概ね良好であった。


急性期、6ヶ月後共に、睡眠の質は低下し、睡眠覚醒パターンの乱れが記録された。その性差は急性期にのみ観察できた、


というおはなし。




感想:

女は文句は多いけど、実はよく眠れているってことと理解。


2013年8月26日

脳の可塑性のおかげで2年経っても運動機能が回復することが判明


Long-term cortical reorganization following stroke in a single subject with severe motor impairment.
2013  8月  アメリカ

脳卒中のあとの運動機能が、脳の可塑性によって回復する様子を約2年間追跡してみたそうな。


中大脳動脈由来の脳卒中で重度の片麻痺になり、損傷脳側の運動誘発電位がない患者について7,9,10,13,20,21ヶ月後の運動機能と運動誘発電位の変化をTMSで調べたところ、


次のようになった。

・損傷していない側の脳の働きがどんどん変わっていった。

・一方、損傷側の脳は13ヶ月まで変化がなく、20-21ヶ月に劇的な変化が起きた。

・この間、運動機能は徐々に回復していった。


脳卒中で重度の運動障害を負った場合でも、発症後2年経ってなお脳の可塑性により運動機能が大きく回復し得ることがわかった、


というおはなし。

20ヶ月後に劇的変化


感想:

そうあってほしいものだ。


2013年8月25日

院内肺炎になる脳卒中患者には脳に共通点があった


Hospital acquired pneumonia is linked to right hemispheric peri-insular stroke.
2013  8月  アメリカ


脳卒中で入院後に罹る肺炎は主な合併症の1つである。
そこで、脳の損傷部位と院内感染性肺炎との関連を調べてみたそうな。


肺炎になった急性期脳卒中患者215人と、肺炎にならなかった患者で性別、年齢、神経症状のよく一致する別の215人について、脳の損傷部位との関連を比較、解析したところ、


次のようになった。

・肺炎グループには右脳損傷患者が多かった。

・非肺炎患者グループには左脳損傷患者が多かった。

・脳幹梗塞では肺炎グループ間の違いはなかった。

・特に、右脳の島皮質の梗塞と肺炎との関連が高かった。


右脳の島皮質は免疫の自律システムと関係があるんじゃないか、


というおはなし。

写真:島皮質

2013年8月24日

脳卒中じゃなくても病院に着くまえにどんどんtPAを注射しちゃえ!という近ごろの風潮について


Stroke Mimics under the Drip-and-Ship Paradigm.
2013  8月  アメリカ

近年、急性脳梗塞患者を病院に搬送する前に血栓溶解剤のtPAを注射してしまう処置(Drip-and-Ship Paradigm)が良い成績を収めている。その理由を調べてみたそうな。


過去1年間に急性期脳梗塞で入院した120人の患者データを見なおしたところ、


次のことがわかった。

・20人(16.7%)は最終的に脳卒中類似症状と診断され、すぐに退院した。

・このうち14人はヒステリー、6人はけいれん発作、片頭痛、低血糖だった。

・彼らは若く、精神疾患のあるものが多かった。

・脳卒中類似症状の20人のうち18人(90%)はtPAを注射された。

・この割合は、一般の急性脳梗塞患者のtPA注射率(65%)よりも高かった。

・tPAを打たれた脳卒中類似症状患者に出血などの合併症はなく、すぐに全員自宅へ帰った。

・搬送まえにtPAを打たれた患者83人のうち実に18人(21.7%)が脳卒中類似症状患者であり、一方 基幹病院でのその割合は5.4%に過ぎなかった。


病院搬送前にtPAを打ってしまう治療の成績が良く見えるのは、治療する必要の無い脳卒中類似症状の患者を数多く相手にしてしまうからなのでは?


というおはなし。



感想:

たまたま出血の事例がなかっただけで、ほんとは由々しき問題なんじゃないのかな?

2013年8月23日

脳卒中になると麻痺した手がなぜかむくむよね


Prevention and treatment of hand oedema after stroke.
2013  8月  オランダ

脳卒中後の手のむくみをとるための方法を試してみたそうな。


リハビリ病院の206人の脳卒中患者について、
手のむくみを取るスペシャルマッサージを受けるグループとなにもしないグループに分けて、隔週で手の体積を測定し、浮腫み度を判定、比較した。

次のようになった。

・スベシャルマッサージグループでは16%の患者が、比較グループでは21%がむくんだ。

・むくんでる期間は、マッサージグループが6.5週間、比較グループが3.1週間だった。


良かれと思って編み出した手のむくみを取るマッサージは、改善効果がほとんどないばかりかむくみが長期化する問題を抱えていた、


というおはなし。


図:手の浮腫 脳卒中後

感想:

たしかに退院してもしばらくむくんでた。

手の甲と指が赤くパンパンな状態が続いた。

足もそうだった。


感覚麻痺が強いとむくみやすいらしい


追記:

「肩手症候群」って知ってた? →肩が痛くなって手がむくむ

2013年8月22日

めまいから脳卒中を判別するゴーグル装置を開発


Quantitative video-oculography to help diagnose stroke in acute vertigo and dizziness: toward an ECG for the eyes.
Goggles help distinguish stroke, dizziness
2013  8月  アメリカ

めまいと脳卒中を簡単に区別できる装置を開発したそうな。


めまいは通常、内耳の感染症に由来する 一方、脳卒中の前兆症状でもある。

ベッドサイドでこれを区別することは非常に難しく、めまいを訴える多くの患者がCTやMRI検査を受けるが実際に脳卒中とわかるケースはそのうち3%に過ぎない。


このゴーグルは目の振動を高速カメラが捕捉し、その異常をコンピュータで自動診断できる。

実際にめまいを訴える患者12人についてこのゴーグル診断装置を用いた結果と MRIの結果を照らしあわせたところ、 

椎骨脳底動脈由来の脳卒中を100%正確に診断することができていた、


というおはなし。

2013年8月21日

4人に1人が脳卒中のあと不安症で 6割は女性


Impact of Anxiety on Health-related Quality of Life after Stroke: a cross sectional study.
2013  7月  香港


脳卒中後の不安症が健康関連QOLに及ぼす影響を調べたそうな。


374人の入院中の脳卒中患者について、不安度、QOL、神経症状、自立度、心理テスト、ウツの程度を測定し、関連を解析した。


次のようになった。

・23%の患者が不安症だった。

・そのうち63%は女性だった。

・不安スコアが大きくなるとQOLスコアが低下した。


脳卒中後の不安症はウツとは別に健康関連QOLを低下させることがわかった、


というおはなし。



感想:

脳卒中のあとの不安な気持ちって よく分かるので関心を持った。

2013年8月20日

リハビリ病院から無事退院できた脳卒中患者の3年後の死亡率は


Long-term outcome in stroke survivors after discharge from a convalescent rehabilitation ward.
2013  8月  日本

脳卒中で回復期リハビリ病院から退院した人の長期的な死亡率、自立度などを調べてみたそうな。


リハビリ病院から退院して自宅に戻った脳卒中患者252人にアンケート調査を行った。


次のようになった。

・76%から回答を得た。

・そのうち83%は自宅で生活していた。

・52%は自立していた。

・積算の死亡率は、1年後4%、3年後19%だった。

・社会的活動度は低かった。

・22%がウツだった。

・ウツがあると日常生活動作が低下した。


リハビリ病院から自宅に戻った患者の死亡率は比較的低かった。また、ウツやひきこもりが普通に見られた、


というおはなし。


2013年8月19日

歯周病→ラクナ梗塞→痴呆 の可能性について


Association between Oral Health and the Risk of Lacunar Infarction in Japanese Adults.
2013  8月  日本

口腔衛生状態が不良な高齢者は痴呆になりやすい。

そこで、口腔衛生とラクナ梗塞との関連を調べてみたそうな。


歯科治療に訪れた27-76歳の男女110人について、歯周病検査と脳のMRI検査を行った。
他に生活習慣等についてのアンケートもとった。


次のようになった。

・61人にラクナ梗塞が見つかった。

・19人は、梗塞が7箇所以上あった。

・高齢、運動不足、高血圧、高脂血症、糖尿病、歯槽骨高さ低下がラクナ梗塞の数と関連があった。

・特に、歯周ポケットが深くなると、ラクナ梗塞の数も増えた。


ラクナ梗塞と歯周病は関連があるのかも知れない、


というおはなし。



感想:

歯周病の万能感がすごい。

がん、HIV、インフルエンザ、ハゲなど 調べると関連の疑われる病気がいっぱい出てくる。




2013年8月18日

脳卒中関連コストが激増中


Forecasting the future of stroke in the United States: a policy statement from the american heart association and american stroke association.
2013  8月  アメリカ


アメリカ人の高齢化にともない、脳卒中に関係するコストが2030年までにどの程度増えるのか、調べてみたそうな。


次のようになった。

・2012→2030で、年間の実コストは720→1830億ドルに増える。

・生産性の低下による間接コストも入れると、その額は2400億ドルになる。



今後20年間で脳卒中関連コストは劇的に増加することがわかった、


というおはなし。




感想:

どこかで限界が来るはずだから、コストに見合わない治療は大きく見直される。

脳卒中のサインを見つけたらすぐに病院へ、なんて言わなくなる。


10年後→脳卒中になったら、自宅で安静にして治しましょう。



2013年8月17日

死にたくなかったら大病院へ行け


The association of hospital volume with mortality and costs of care for stroke in Japan.
2013  9月  日本

病院の規模と脳卒中予後の関連を調べてみたそうな。


796の急性期病院に入院した66406人の患者データについて、病院の規模(半年間に退院する患者数)と院内死亡率との関連を解析した結果、


次のようになった。

・100人以上退院する大病院に比べ10-50人規模の病院は、院内死亡リスクが1.45倍だった。

・規模の小さい病院は大規模病院に比べ患者1人当たりにかけるコストが8%少なかった。

・特に、大規模病院はクモ膜下出血患者に多くのコストをかけていた。


日本では、大きい病院ほど脳卒中患者の院内死亡率は低かった。
大きな病院はクモ膜下出血の治療に力をいれていることがわかった、


というおはなし。



感想:

1.45倍はでかいね。

2013年8月16日

にんにくが脳梗塞の再発予防になる可能性について


Garlic intake is an independent predictor of endothelial function in patients with ischemic stroke.
2013  8月  香港

にんにくが脳梗塞患者の血管内皮機能に与える影響を調べてみたそうな。


アテローム血栓性脳梗塞の患者125人について、日々のネギ類(玉ねぎ、にんにくなど)の摂取量をアンケート調査し、
超音波検査で血管の拡張しやすさ(FMD)を測定した。


次のようになった。

・平均にんにく摂取量は、1日あたり2.9gだった。

・にんにく摂取量が多いほどFMDも大きかった。


日々のにんにく摂取量が脳梗塞患者の血管内皮機能とよく関連していた。再発予防になるかもしれない、


というおはなし。



感想:

気にしたこともなかったけど、にんにくが動脈硬化を改善するってはなしは調べるとうじゃうじゃ出てくる。


2013年8月14日

メンタルプラクティスは脳卒中リハビリの役に立つのか


The effects of mental practice in neurological rehabilitation; a systematic review and meta-analysis.
2013  8月  オランダ

脳卒中リハビリへのメンタルプラクティスの効果を調べてみたそうな。

医学論文データベースから関連する研究を厳選、データを統合して再解析した結果、

次のようになった。

・14件、計421人の脳卒中患者を対象とした研究がみつかった。

・9件でメンタルプラクティスが著しい改善効果を示していた。

・5件で通常のリハビリと同等の効果を示していた。

・6件のメタ解析のうち2件のみがメンタルプラクティスの著しい効果を評価していた。

・5件で認知機能の改善を示していた。


脳卒中患者のメンタルプラクティスはポジティブな効果があるのかも知れない。しかし、うわさするほどのものではなかった、


というおはなし。
図:メンタルプラクティスの効果


感想:

メンタルプラクティスとイメージトレーニングの違いを調べてたらこの文がしっくりきた。

『実際には体を動かさないで、頭の中で運動をしているイメージを思い描くことによって、運動技能を高める練習法をメンタルプラクティスと言います。また、自信をもって競技にのぞむことが出来るように、試合前に実際の競技場目を思いうかべて、心理的コンディションをととのえることをメンタルリハーサルといいます。メンタルプラクティスとメンタルリハーサルをあわせたものが、イメージトレーニングです。
また、メンタルトレーニングやメンタルマネジメントという用語があります。これは、スポーツの場面で、最高の能力を発揮するために必要な心理的側面を高め、自分の精神状態を管理できることをめざして行われるトレーニングです。』

[メンタルプラクティス]の関連記事

2013年8月13日

脳卒中のあと葬式でハッピー全開の男性が話題に


Stroke Victim Dubbed 'Mr. Happy' No Longer Able To Feel Sadness
2013  8月  イギリス

脳卒中がきっかけで悲しさを感じなくなってしまった男性が発見されたそうな。


68歳の元トラックドライバーの男性は、2004年に脳卒中になり19週間入院した。

前頭葉の感情を司る部分を損傷したため、通常はウツになってしまうところ、逆に悲しさを感じなくなった。


当初は、葬式に行ってもとても嬉しそうにして、場の空気を読まない振る舞いに妻はたいへん困ったという。


現在はいつも嬉しそうにしているので多くの人々に慕われている

というおはなし。









感想:

この記事を思い出した。
脳卒中経験者が葬式で笑いがとまらなくなる可能性について

脳卒中がきっかけでホモになることがあるらしい


2013年8月12日

rTMSは片脳刺激だけでは不十分と判明


Efficacy of Coupling Inhibitory and Facilitatory Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation to Enhance Motor Recovery in Hemiplegic Stroke Patients.
2013  5月  台湾

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の抑制促進効果の最適な組み合わせについて調べてみたそうな。


54人の慢性期片麻痺脳卒中患者について次の4グループに分け、20日間の治療を行った。

A)健常側に抑制1Hz刺激+病側に促進バースト刺激

B) 健常側に偽刺激+病側に促進バースト刺激

C)健常側に抑制1Hz刺激+病側に偽刺激

D)両側に偽刺激

この前後での運動野皮質興奮性変化および上肢運動機能の改善度評価を行った。


次のようになった。

・グループAで、筋力、運動機能、反応速度がもっとも向上した。

・脳健常側での皮質活動の低下が運動機能の向上と関連していた。

・病側脳の皮質活動の増加が反応時間の短縮と関連していた。

・他のグループB,C,Dではこのような関連は見られなかった。


rTMS治療は、左右の脳にそれぞれ同時に抑制刺激、促進刺激を与える方法が最も効果的である、


というおはなし。



感想:

これまでの2倍のハードウェアが要るわけで、皆やりたくてもなかなか手が出なかった実験って感じ。

2013年8月11日

アイフォンアプリiECGで心房細動の危険を自動診断


iPhone device detects heart rhythm problem that can cause stroke
2013  8月  オーストラリア

心房細動の可能性を自動診断できるiphoneアプリを開発したそうな。


このアプリで測定された心電データはクラウドに送られ、自動解析される。

脳卒中の原因となる心房細動の可能性を診断する正確さは97%だった。

iphoneアプリによる自動的な心電図診断が可能になった、


というおはなし。

写真:iECG


2013年8月10日

脳卒中患者が5年以内に死亡または障害者になる割合が判明


Population-Based Study of Disability and Institutionalization After Transient Ischemic Attack and Stroke: 10-Year Results of the Oxford Vascular Study.
2013  8月  イギリス

脳卒中から5年で患者はどう変わるのか、調べてみたそうな。

2002-2007のイギリスの脳卒中患者のその後を2012まで追跡調査したところ、


次のようになった。

・748人の脳卒中と440人のTIA患者が対象になった。

・TIA患者中の障害者率は、5年間で14%→23%になった。

・脳卒中患者中の障害者率は、5年間で21%→(43%:1か月後)→39%になった。

・5年後、脳卒中の70%、TIAの48%が死亡または障害者になった。


脳卒中患者の70%が5年以内に死亡するか身体障害者になることがわかった、

というおはなし。



感想:

高齢者限定の話だと思いたい。

2013年8月9日

rTMSでほんとうに失語が治るのか確かめてみた


Transcranial magnetic stimulation combined with speech and language training in early aphasia rehabilitation: a randomized double-blind controlled pilot study.
2013  6月  ポーランド

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)が失語症に効くか実験してみたそうな。


脳梗塞で失語の40人の患者について、3週間の言語リハビリ訓練に加えて、
右脳半球のブローカ野相当の位置への抑制的rTMSを行った。
比較のために偽刺激グループも設けた。

リバビリ前後、15週間後の回復程度を評価、比較した。


次のようになった。

・3週間のリハビリの後、両グループ共に言語機能が改善した。

・回復程度は両グループ間でわずかな差しか見られなかった。

・しかし15週間後、rTMSを受けた複数の重症失語患者で偽刺激グループよりも大きな改善効果が確認できた。


脳卒中失語患者の右脳半球への抑制的rTMSは全ての患者に効くというわけではなかった、


というおはなし。


感想:

前回の話につながるのかな
rTMSで失語症を治す方法が判明


2013年8月8日

インド人も脳卒中後ウツになることが判明


The Association Between Stroke, Depression, and 5-Year Mortality Among Very Old People.
2013  7月  インド

脳卒中経験者がウツになる割合、特徴を調べてみたそうな。


インド、ベンガル州の住人について調査した結果、


次のようになった。

・241人の脳卒中経験者のうち、37%が脳卒中ウツになった。

・年間通して常に17%程度がウツで、その大半は自発的に治っていた。

・脳卒中後ウツのピークは3ヶ月後から1年半後にわたった。

・ウツになる者の特徴は、高齢、低学歴、低収入、認知障害だった。


インドでも脳卒中経験者のおよそ3分の1がウツになった。その割合は年間通して一定だった。教育がウツの予防になると考えられた、


というおはなし。


2013年8月7日

歯周病をほうっておくと脳卒中が再発することが判明


Periodontal Disease and Recurrent Vascular Events in Stroke/Transient Ischemic Attack Patients.
2013  7月  アメリカ

歯周病と脳卒中の再発との関連を調べてみたそうな。


脳卒中またはTIAの患者について歯周病の程度を評価した。
また、アタッチメントロスが5mm以上を重度歯周病とした。
血液中の複数の炎症関連タンパク質濃度も調べた。

次のようになった。

・106人の患者のうち38%が重度歯周病だった。

・27人(26%)が24ヶ月以内に再発した。

・重度歯周病患者の血中に、高濃度の炎症関連タンパク質が複数確認できた。

・年齢、性別、教育レベル、既往症等を考慮に入れてなお
歯周病と脳卒中の再発との間に非常に強い関連が見られた


というおはなし。


写真:アタッチメントロス




感想:

歯周病が治るのならこういう情報も役に立つんだけど。

2013年8月6日

6ヶ月後、自立歩行は3分の2以上の患者で可能になる


Models containing age and NIHSS predict recovery of ambulation and upper limb function six months after stroke: an observational study.
2013  6月  オーストラリア

脳卒中発症から6ヶ月後に歩行と上肢がどの程度回復するのか調べてみたそうな。


200人の脳卒中患者について調査した結果、


次のようになった。

・当初歩くことができなかった114人のうち80人(70%)が6ヶ月後、自立歩行できるようになった。

・テーブル上のカップを取ることができなかった51人のうち21人(41%)ができるようになった。

・自分で食事することのできなかった56人のうち25人(45%)ができるようになった。

・年齢と神経症状の軽重が6ヶ月後の回復とよく関連していた。


脳卒中後、3分の2以上の患者が自立歩行できるようになった一方、上肢機能が回復したのは半分以下だった。これらの回復予測は年齢と神経症状をみればなんとなくわかる、


というおはなし。



感想:

よく、手のほうが回復は難しい、遅いっていうけど、
実感としては手も足も似たようなもの、って印象がある。

手に要求される動作が足に比べ極端に細かいがゆえに、
できないことが多くみえる...そういうことだと思う。


足でキーボード打たないもんな。


2013年8月5日

神経筋電気刺激で手の麻痺が治るのか


High-versus low-frequency stimulation effects on fine motor control in chronic hemiplegia: a pilot study.
2013  7月  アメリカ

神経筋電気刺激(NMES)療法はどんな周期で刺激すると手の麻痺に効くのか実験してみたそうな。


16人の慢性期脳卒中患者の麻痺手の母指球筋群にNMES療法を行った。40ヘルツまたは20ヘルツの刺激を、週に4回、1ヶ月間継続した。

患者は事前に麻痺の軽重を調べておいた。


次のようになった。

・重症麻痺手の患者は、周波数の高低に関わらず、なんの違いも起きなかった。

・軽症麻痺手の患者では手の機能が大きく改善した。

・このうち特に、高い周波数40ヘルツのグループでは握力、運動機能が向上し、

・低い周波数20ヘルツグループでは手の器用さに改善があったようだった。


神経筋電気刺激治療は軽症麻痺患者にのみ効き、高い周波数のほうがより効果的のようだ、


というおはなし。


写真:拇指球筋軍


2013年8月4日

脳卒中がきっかけで共感覚を持つようになったオッサン


From the thalamus with love: A rare window into the locus of emotional synesthesia.
2013  7月  カナダ
Stroke leaves man able to taste colors, feel music


共感覚についての報告は少ない。

左脳の視床梗塞ののちしばらくして共感覚を持つようになった男性の事例報告だそうな。

以下の本人インタビュービデオでは、 
ラズベリーを食べると青色が見えて、青色を見るとラズベリーの味がする、
と言っている。



この共感覚が脳卒中の直後に起きたわけではないことから、回復の過程で脳の配線がそのように変わったのだろう、


というおはなし。





感想:

感覚関連の思い出。

発症後まもないころ、左手は全くの無感覚で、車椅子に巻き込まれても痛さを感じなかった。

すこし日が経つにつれ、手を挟んだりすると頭の右上方20cmくらいの位置に、なにかいやな物が漂っている印象を持つようになったのを憶えている。

2013年8月3日

脳卒中になっても死なないための秘訣 →太る!


Prestroke Factors Associated with Poststroke Mortality and Recovery in Older Women in the Women's Health Initiative.
2013  7月  ハワイ

脳卒中のあとの死亡率に関連してくる生活習慣について調べたそうな。


脳卒中でない50-79歳の女性の生活習慣を調査して、脳卒中になった者の予後との関連を解析したところ、


次のようになった。

・3173人の女性が脳卒中になり、35%が亡くなった。

・発症以前に過体重または肥満だった者の脳卒中後の死亡リスクは、標準体重者に比べ約30%低かった。

・一方、標準体重を下回っていた者のリスクは2倍だった。

・糖尿病、喫煙、運動不足も脳卒中後死亡リスクと関連があった。


高齢女性の脳卒中後の死亡リスクを下げるためには、太ることと運動不足にならないことが大事、


というおはなし。

感想:

太りたい...

2013年8月2日

右脳がやられた脳卒中患者は感情認識がおかしい


Review of Emotion Recognition in Stroke Patients.
2013  7月  マレーシア

脳卒中患者の感情認識の問題を、神経心理的に調べてみたそうな。


過去の関連する研究論文を厳選して見なおしたところ、

次のようになった。

・92件の論文がみつかった。

・表情や口調、言葉を通じた感情知覚力の欠如は、左脳損傷患者よりも右脳損傷患者でずっと多かった。


どうやら右脳は感情を認識するうえで重要な役割を担っているらしい。

右脳が損傷することで対人関係上の困難、社会に対する欲求不満や孤立感が生じるのかも知れない、


というおはなし。

損傷脳半球と感情認識
感想:

自分が右脳ケースなので関心がある。

感情がわからないんじゃなくて、自分の感情が圧倒的すぎて他がどうでもよくなる...そんな印象がある。

2013年8月1日

スウェーデンでは単純労働に就いているほうが脳卒中リスクが低い


Occupational status and incidences of ischemic and hemorrhagic stroke in Swedish men: a population-based 35-year prospective follow-up study.
2013  7月  スウェーデン

職業階層と脳卒中のなりやすさとの関連を調べたそうな。


脳卒中経験のない47-56歳の男性6994人を35年間追跡調査した結果、


次のことがわかった、

・この間に1442件の脳卒中があり、年間発生率は1000人あたり脳梗塞5.5人、脳出血1.2人だった。

・全体的には職業階層と脳卒中とは関連がなかった。

・しかし51歳以上に限ると、知的オフィス労働者よりも単純手作業労働者のほうが脳梗塞リスクがずっと低かった。

・51歳未満では、このような関連は見られなかった。

・他のリスク要因を考慮しても同様だった。



社会経済的レベルが低くても脳出血や脳梗塞のリスク上昇にはならなかった。むしろ高齢者では単純手作業労働に携わる者の方が脳梗塞リスクはずっと低かった、


というおはなし。




感想:

手厚い社会保障国スウェーデンの特殊事情じゃね?





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