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2013年4月30日

脳卒中を経験すると自分で家に帰れなくなる可能性について


Is navigation ability a problem in mild stroke patients? Insights from self-reported navigation measures.
2013  4月  オランダ

脳卒中患者が方向オンチになりやすいものか調べてみたそうな。


62人の軽症脳卒中患者について、経路探索能力を調べるアンケート調査を行い、384人の健常人データと比較した。


次のようになった。

・29%に経路探索能力障害が見られた。

・健常人ではその割合は20%だった。

・これは生活の質QOLとも関連があった。


脳卒中患者は軽症でも方向オンチになりやすいことがわかった


というおはなし。

図:軽症脳卒中で方向オンチ


感想:

幸いそういう経験はない。

2013年4月29日

脳卒中のなりやすさは子供時代に住んでいた場所で決まる


Effect of duration and age at exposure to the Stroke Belt on incident stroke in adulthood.
2013  4月  アメリカ

アメリカの東南部には脳卒中が多く、脳卒中地帯と呼ばれる。

人生のどの時期をそこで過ごすと脳卒中になるのか調べたそうな。


約2万5千人を対象として6年ほど追跡した調査結果を解析したところ、

次のようになった。

・脳卒中地帯で過ごした期間が長いほど脳卒中になり易かった。

・しかし、31-45歳の居住経験は脳卒中と関連がなかった。

・0-18歳に脳卒中地帯で暮らしたことのある人は2割ほど脳卒中リスクが高かった。


子供のころの生活環境が脳卒中のなりやすさに大きく影響するのだろう


というおはなし。

写真:脳卒中地帯



2013年4月28日

上肢リハビリは両手でやった方がいいと思うの


Bilateral coupling facilitates recovery of rhythmical movements from perturbation in healthy and post-stroke subjects.
2013  4月  アメリカ

脳卒中で麻痺が残った腕はリズミカルに振ることがむつかしい。

両腕をシンクロさせてリズミカルに動かすことが脳卒中患者の上肢リハビリに役立ちそうか調べてみたそうな。


慢性期脳卒中患者と健常人について、立った状態で肩関節を軸に片腕または両腕を前後に一定の周期で振らせる。

途中、異なる周期で電磁石を使い一瞬だけ片腕の振りを強制的に妨害する。
このあと再び元の周期の腕振りに戻るまでの時間を計測、比較した。


次のようになった。

・健常者では、妨害を受ける腕の左右に関わらず、片腕よりも両腕を振っていたときに腕の振り周期が早く戻った。

・脳卒中患者では、麻痺腕に妨害を加えたときにのみ、両腕振りでの回復が片腕の場合より早かった。

・これは非麻痺腕の動きが麻痺腕の乱れからの回復を促したと考えられた。

・さらに脳卒中患者ではリズム妨害の直後、両腕の振り幅がいったん狭くなった。

・これらの結果は、両腕振りが単体の運動系として制御されていることを示す、と考えられた。



片腕のリズムの乱れが両腕の協調によって収まった。

両腕を振ったり、麻痺していない腕をリハビリ訓練に加えることで回復が促されるかも知れない


というおはなし。





感想:

わかる気がする。

歩きながら普通に両腕を振るのは意識しないとむつかしい。

また、階段登り降りや自転車こぎはなんでもないのに、

両足でジャンプするのはいまだに非常な困難がある。


麻痺側ばかり訓練しても絶対に超えられない壁があることを実感している。


2013年4月27日

【真相】脳卒中で死にたくなかったら太れ!


The obesity paradox in stroke: Lower mortality and lower risk of readmission for recurrent stroke in obese stroke patients.
2013  3月  デンマーク

一般に、肥満は疾病率、死亡率が高いとされる。しかし、肥満の脳卒中患者の死亡率は低い。


そこで肥満と脳卒中の再発との関連を調べてみたそうな。


過去10年間の脳卒中患者4万5千人あまりについて、肥満度(BMI)、死亡者、脳卒中の再発入院者を追跡調査し、関連を解析した。


次のようになった。

・平均年齢72、平均BMI 23、27%死亡、8.3%脳卒中再発だった。

・過体重、肥満のグループで死亡率が著しく低かった。

・反対に、標準よりも低体重だと死亡率が非常に高かった。

・脳卒中の再発入院率も肥満グループで明らかに低かった。


標準体重に比べ肥満だと脳卒中死亡率ばかりか再発率も低いことが確認できた


というおはなし。




感想:

たびたびでてくる肥満パラドックス。

太ろうと頑張っているのだが太れない。





メタボとはなんだったのか?
写真:肥満




2013年4月26日

学歴の高い患者ほどリハビリに不満であることが判明


Match and mismatch between objective and subjective improvements in upper limb function after stroke.
2013  4月  オランダ

脳卒中患者の上肢リハビリで、客観的な改善度と患者自身の認識とのズレについて調べてみたそうな。


39人の脳卒中患者を17週間フォローして、上肢機能の改善程度、主観的上肢使用状況報告と、それらの評価の一致度を確認して関連を解析した。


次のようになった。

・上肢運動機能と主観的使用状況との間には強い関連があった。

・学歴と本人のやる気が客観的、主観的評価の一致におおきく影響していた。

・やる気のある低学歴患者は一致度が高く、やる気のない高学歴患者ほど客観的改善度評価に納得しなかった。



客観評価(現実)と本人の認識(理想)がズレるのは当然のことなので、
施術者と患者とのコミュニケーションが大事だよ


というおはなし。




感想:

たぶんそういう内容。

2013年4月25日

イメージトレーニングは脳卒中リハビリに使えるのか?


Effectiveness of motor imagery or mental practice in functional recovery after stroke: a systematic review.
2013  4月  スペイン

イメージトレーニングを使った脳卒中リハビリでは実際の運動の様子を頭に思い描く。

イメトレ中の脳活動パターンが実際の運動に近いことが脳機能撮影により明らかになっている一方で、実際にはリハビリ現場にイメトレはほとんど普及していない。


そこで、これまでの研究をまとめて再評価してみたそうな。


過去1年間のイメトレ脳卒中片麻痺リハビリに関する研究を23件厳選して内容を解析した結果、

次のようになった。


・イメトレは通常の理学療法と組み合わせると運動機能、生活動作の改善に効果的だった。

・ただ、イメトレの方法がそれぞれ大きく異なるため、トレーニング方法の最適化のさらなる研究が必要であることがわかった


というおはなし。




左:実際の運動、右:イメトレ
写真:イメージトレーニング


2013年4月24日

【中国人も証言】脳卒中には鍼治療よりも理学療法のほうが断然いいヨ


Prospective, Randomized Controlled Trial of Physiotherapy and Acupuncture on Motor Function and Daily Activities in Patients with Ischemic Stroke.
2013  4月  中国

脳卒中患者への鍼治療の効果を、理学療法と組み合わせた場合も含め検証してみたそうな。


複数の病院施設で、計120人の脳梗塞患者を次の3グループに分けて治療を行った。

・理学療法のみ

・鍼治療のみ

・理学療法+鍼治療

各々の運動機能と自立度の回復を28日、56日後に測り、比較した。


次のようになった。

・全てのグループで大きな改善があった。

・理学療法は鍼治療よりも30-40%良好な結果を出した。

・上肢機能に限定すると、全グループでほとんど改善がなかった。

・スコア比較では理学療法+鍼治療が鍼治療のみよりも高かったが、統計有意ではなかった。


脳卒中患者への鍼治療は理学療法よりも効果が低かった。

さらに理学療法に鍼治療を組み合わせてもなんのメリットもなかった


というおはなし。




感想:

中国からこういう報告が出ることに感心した。


2013年4月23日

半側空間無視はクラシック音楽で治る


Listening to Classical Music Ameliorates Unilateral Neglect After Stroke.
2013  4月  台湾

クラシック音楽が半側空間無視の緩和に役立つか調べてみたそうな。

右脳の脳卒中で半側空間無視になった16人の患者について、
つぎの3つの条件下での行動性無視検査の結果を比較した。

1.クラシック音楽

2.白色雑音

3.無音

また、覚醒度、快適度も自己申告してもらった。


次のようになった。

・検査スコアは概ね、クラシック音楽で最も高く、無音で低かった。

・ほとんどの被験者はクラシック音楽時にもっとも覚醒度が高いとしていた。


クラシック音楽は脳卒中で半側空間無視になった患者の

視覚注意力を改善するかもしれない


というおはなし。

2013年4月22日

人生に目的がある人は脳卒中になりにくいことが判明


Purpose in life and reduced incidence of stroke in older adults: 'The Health and Retirement Study'
2013  3月  アメリカ

人生の目的と脳卒中との関連を調べてみたそうな。


50歳以上の健常人6739人について、人生の目的についての心理アンケートを行い、脳卒中の発生を4年間追跡調査した。

関連する要因(年齢、性別、人種、職業、学歴、資産、嗜好、生活習慣、疾病既往 等)を考慮に入れて解析したところ、


次のようになった。

人生に目的がある、というただそれだけで脳卒中リスクが著しく低下した


というおはなし。
図:人生の目的と脳卒中リスク


感想:

とてもわかる気がする。

けど人生の目的は他人に与えてもらうものではない。


2013年4月21日

すごくシンプルなロボット訓練装置作ったった


The Resonating Arm Exerciser: design and pilot testing of a mechanically passive rehabilitation device that mimics robotic active assistance.
2013  4月  アメリカ

上肢麻痺のロボット支援療法は患者のやる気を引き出し、回復を促す。

しかし構造が複雑で、ほとんど普及していない。

そこでシンプルな構造の上肢運動支援装置を作ってその効果を検証したそうな。


共振アームエクササイザーは車椅子に取り付けられたレバーにゴムバンドを張って、エネルギーを蓄える。
これが車椅子の約10センチの前後移動とレバーの振動運動を生み出す。
この振動周期に合わせて上肢を動かすことで、あたかもロボット支援を受けているのと同じ状況を生み出すことができる。


8人の慢性期脳卒中患者について共振アームエクササイザーで訓練したところ、


次のようになった。

・患者はすぐにこの装置に慣れた。

・関節可動域が2倍近くになった。

・運動機能スコアも上がった。

・なんの不満も起きなかった。

・効果が3ヶ月後も続いた。



共振アームエクササイザーは慢性期脳卒中患者の

上肢機能を改善できるシンプルで安全な装置であることがわかった


というおはなし。




これが共振アームエクササイザーだ!

どやろか?

2013年4月20日

髪の毛1本から脳卒中リスクがわかる可能性について


High Long-Term Cortisol Levels, Measured in Scalp Hair, Are Associated With a History of Cardiovascular Disease.
2013  4月  オランダ

ストレスは脳卒中などの心血管系疾患と関連がある。


ある時点でのストレスの強さは血清や唾液中のコルチゾール(ホルモン)を量るとわかる。

一方、毛髪のコルチゾールを量ることで長期間のストレス状況を知ることができる。

これと心血管系疾患との関連を調べてみたそうな。


65-85歳の283人について頭皮に近い毛髪3cmを採取してコルチゾールを測った。

これはおおよそ過去3ヶ月間のコルチゾール量を反映している。

同時に脳卒中や冠動脈疾患、糖尿病、その他疾患の有無について申告してもらった。

これらの関連を解析したところ、


次のようになった。

・毛髪のコルチゾールは男性よりも女性でとても低かった(26.3 vs 21.0pg/mg)。

・毛髪のコルチゾールが多いと心血管系疾患リスクもかなり高かった。

・また、2型糖尿病リスクも高かった。

・心血管系疾患以外の病気との関連は見られなかった。



心血管系疾患になったことのある人は長期にわたりコルチゾールが高かった。

毛髪を調べれば将来の脳卒中リスクがわかるようになるかも知れない


というおはなし。



2013年4月19日

【本場中国】大気汚染でやっぱり脳卒中患者が増えた。


Estimation of Short-Term Effects of Air Pollution on Stroke Hospital Admissions in Wuhan, China.
2013  4月  中国

大気汚染物質と脳卒中患者の発生との関連を、中国で調べてみたそうな。


武漢の、2006-2008の毎日のNO2、SO2、PM10の濃度及び、気温、湿度の記録と4つの病院の脳卒中入院者記録との関連を解析した。


次のようになった。

・大気汚染物質濃度はNO2,SO2,PM10ともに、平均で10-3月が4-9月の1.5倍ほど高かった。

・寒い季節にはNO2レベルが10μg/m3増える毎に同日の脳卒中入院患者が2.9%増えた。

・同様にPM10が10μg/m3増えると脳卒中患者が1%増えた。

・脳卒中入院患者数とNO2濃度との関連が特に強かった。

・暖かい季節にはこのような関連は見られなかった。



中国の武漢では寒い季節に大気汚染濃度が50%ほど増加する。

そして、NO2濃度が上がると脳卒中患者も増えた


というおはなし。



武漢の大気汚染 2012
写真:武漢の大気汚染

2013年4月18日

実はオレさぁ、ガキのころ脳卒中やったんだよね...


Long-Term Outcomes of Pediatric Ischemic Stroke in Adulthood.
2013  4月  カナダ

子供の頃の脳卒中体験が成人後にどう影響するのかを調べてみたそうな。


子供の頃に脳卒中を経験した18歳以上の26人(女性16人)について調査した結果、


次のようになった。

・平均年齢は21.5、脳卒中後平均10.8年が経っていた。

・自立度評価によると、37%が正常、42%軽症、8%中症、15%重症だった。

・予後の良くない者の特徴は、動脈性脳梗塞、動脈硬化、発症1年時点での回復不良だった。

・77-84%は、自動車運転、社会参加、就労など自立できていた。



子供の脳卒中は発症1年時点での状況がその後永く続いた。

4分の1が心の病気を抱えていていたので、こんどはそれを調べてみたい


というおはなし。


写真:子供の脳卒中経験者

2013年4月17日

1日に10時間以上座っていると脳卒中リスクが2割増し


The Relationship of Sedentary Behavior and Physical Activity to Incident Cardiovascular Disease: Results from the Women's Health Initiative.
2013  4月  アメリカ

座っている時間と心血管系疾患との関連を調べてみたそうな。


年齢50-79の女性7万人あまりについて、生活活動状況を調査し、脳卒中などの心血管系疾患の有無を15年前後フォローした。

次のようになった。

・1日に座っている時間が10時間以上あると、5時間以下に比べて心血管系疾患になるリスクが2割増しになった。

・運動する時間が少ない場合も心血管系疾患のリスクが高かった。

・1日に10時間以上座り、かつ運動量の少ない女性は心血管系疾患のリスクが最も高かった。

・脳卒中単独で解析しても同様の関連が見られた。

・肥満や高齢であるとこの関連はさらに強まった。


座っている時間が長いと脳卒中になりやすい


というおはなし。




感想:

2割増しじゃ大したことないな。



2013年4月16日

高血圧がタバコを吸うとヤバイ


Joint effect of hypertension and lifestyle-related risk factors on the risk of brain microbleeds in healthy individuals.
2013  4月  日本

微小脳出血は将来の脳卒中の素であり、高血圧がその危険要因である。


微小脳出血に及ぼす高血圧と生活習慣との関連を調べたそうな。


脳卒中経験のない成人860人について、MRIを撮影し微小脳出血の有無を確認した。

同時に生活習慣についてのアンケート調査を行い関連を解析した。


次のようになった。

・年齢、血圧が高くなるほど、微小脳出血になり易かった。

・現役喫煙者は微小脳出血との関連が非常に強かった。



血圧を下げる努力と禁煙で、脳卒中を防げるかも知れない


というおはなし。



感想:

微小脳出血には関心がある。

2013年4月15日

再発予防教育ができるホームページを作ってみた


Effects of a web-based stroke education program on recurrence prevention behaviors among stroke patients: a pilot study.
2013  3月  韓国

脳卒中の再発予防方法について、
患者と家族を対象としたWebベースの教育プログラムの可能性を検証してみたそうな。


脳梗塞と診断されて1年以内の患者と家族36組について、
Webベース教育プログラムを受けられるグループと受けられないグループとに分けて比較した。


次のようになった。

・Web教育グループでは、患者の運動、食事、コントロール感、健康への意欲、および家族の介助方法への習熟度が著しく向上した。

・Webプログラム参加率は63%だった。


脳卒中の再発予防に特化した患者、家族向けWebベースの

教育プログラムは患者の健康改善に役立ちそうなことがわかった


というおはなし。





感想:

実は問題は別のところにある。

・脳卒中患者は高齢者が多いのでWebにアクセスしない。

・余命が短いので家族もWebアクセスしてまで情報を得ようとは思わない。

だからこのブログのアクセス数は思いのほか少ない。




メモ:
本日、AT車の走行中にPに入れてしまった。
脳卒中経験との関連を疑い ひどく落ち込んだ。
検索したら同様の体験をもった人が多くいて安心した。
この程度のことでは車は壊れないことも学習した。


2013年4月14日

脳卒中患者に加速度センサーを着けて起きている時間を測ってみた


Changes in physical activity and related functional and disability levels in the first six months after stroke: A longitudinal follow-up study.
2013  4月  ノルウェー

脳卒中のあと6ヶ月間に身体活動がどう変化するのかを調べてみたそうな。


44人の脳卒中患者について入院14日以内、1、3,6ヶ月後の身体機能、バランス機能を評価した。

並行して1軸加速度センサーを脚に着けて、24時間の身体活動状況を記録し、関連を解析した。


次のようになった。

・ちゃんとデータが取れたのは28人分(男性15人、平均年齢79)だった。

・6ヶ月間で起き上がっていた(寝ていなかった)時間は92分→144分に増えた。

・1ヶ月後までは毎日2分間ずつ起き上がっている時間が増えていった。

・バランス機能や身体機能評価スコアと、起き上がっている時間は比例していた。



脳卒中後6ヶ月間の身体活動の回復状況をモニターすることができた


というおはなし。


写真:1軸加速度センサー

脚に着けたこのセンサーで寝ているか起きているかがわかる。

2013年4月13日

脳卒中で昏睡している患者をEMSで鍛えてみた


The effect of electrical muscle stimulation on the prevention of disuse muscle atrophy in patients with consciousness disturbance in the intensive care unit.
2013  4月  日本

意識障害のある患者の下肢筋肉の萎縮は避けられないこと、とされてきた。

そこで、脳卒中などの脳損傷で集中治療を受けている患者に電気筋肉刺激(EMS)を施し、下肢の筋萎縮を防げるか試してみたそうな。


9人の患者に入院後7日目からEMSを毎日施した。

そしてEMSなしの患者6人と、下肢筋肉の断面積を複数箇所で比較した。


次のようになった。

・EMSなしグループは全ての箇所の下肢筋肉断面積が毎週減少を続けた。

・EMSなしグループは、EMSありに比べ入院後14日目時点での筋肉減少が著しかった。

・EMSグループの5人の患者で、筋肉減少量を4%以内にとどめることができた。

・両グループでの差は統計学的に有意なレベルにあった。


意識障害のある患者へのEMSは筋肉萎縮予防に効果的であることがわかった


というおはなし。



感想:

EMSで検索するとこの種の画像がたくさん出てくる。
写真:EMS


EMSで本当にこんなになるんだとしたら、

昏睡から目覚めた患者がマッチョになってる可能性もあるんだよね。

2013年4月12日

年寄りにストレスを与えると脳がぐんぐん小さくなることが判明


Perceived Stress Is Associated With Subclinical Cerebrovascular Disease in Older Adults.
2013  1月  アメリカ

高齢者のストレスと心血管系疾患の関連をMRIで調べてみたそうな。


平均年齢80、571人のアメリカ人(男、女、黒人、白人)についてストレス状況についてのアンケート調査を行い、5年後に脳のMRIを撮った。

ストレススコアと脳の体積、脳梗塞の有無との関連を解析したところ、


次のようになった。

・27%に脳梗塞がみつかった。

・ストレススコアが高いと、脳の体積が大きく減少し、脳梗塞リスクが増えた。

・この関連は、喫煙、肥満、心臓病、高血圧、ウツなどに影響されなかった。


高齢者のストレスと脳梗塞、脳体積の減少には強い関連があることがわかった


というおはなし。




感想:

10年ほど前に職場の同僚の脳を30名ほど記念撮影した。

データをずーっと放置していたのだが、

先月、思い立ってその体積を解析して動画をYoutubeにアップした。

驚いたのは、

脳の量がいちばん多い人と、いちばん少ない人の差が500ccほどあったことだった。


そして、いちばん大きい脳が自分のだったことにさらに驚いた。

2013年4月11日

退院後『運転免許も更新できたし、久しぶりに峠を攻めてくるかな』→崖から転落


Prediction of on-road driving ability after traumatic brain injury and stroke.
2013  4月  ノルウェー

自動車運転ができるようになる脳卒中患者を神経心理テストから予測する方法を検討してみたそうな。


脳卒中患者78人について行った自動車運転実地テストと、神経心理テストとの関連を解析した。


次のようになった。

・43人が自動車運転適格と判断された。

・この結果と3つの神経心理テストのスコアとがよく関連していた。

・神経心理テストのスコアが次の値を超えていることが判断指標になった。

CalCap, 395 ms; Trail Making Test A, 46 s; Grooved Pegboard, 97.5 s.



脳卒中患者の自動車運転適格性が

いくつかの神経心理テストで予想できそうなことがわかった

というおはなし。




感想:

実は問題は別のところにある。


この種の検査に合格したことで

あたかも発症以前の状態に完全に戻ったかのような気になって

運転を始めてしまうことがいちばん危ない。


ホント 崖っぷちで脱輪した。

2013年4月10日

インドの貧乏人は脳卒中に強いのか?


Influence of socioeconomic status on in-hospital mortality and morbidity after stroke in India: retrospective hospital-based cohort study.
2013  1月  インド

脳卒中で入院した患者の社会経済的状況と回復程度との関連を調べたそうな。


インド北部の都市、郊外に住む599人の脳卒中患者について、職種、学歴、疾患既往歴、入院時の症状、退院時の自立度を調査し、関連を解析した結果、


次のようになった。

・平均年齢は56歳

・年齢、脳卒中の種類、喫煙、入院時意識レベルは退院時の予後とよく相関していた。

・就業状況と回復程度とも強い関連があった。

・他の要因を考慮に入れてもなお、無職の場合、予後が悪かった。



無職だったり賃金の少ない職に就いていた患者は退院時の自立度がひどく悪かった


というおはなし。



感想:

インドって、カースト制度のおかげでこの種の格差にはタフだと思っていたけど、そうでもなさそう。

脳卒中平均年齢56はさすが、と思った。


2013年4月9日

脳卒中のあとウツになると死亡リスクが5割増しになる


Depression after stroke and risk of mortality: a systematic review and meta-analysis.
2013  3月  イタリア

脳卒中のあとウツになる患者の死亡リスクについて調べてみたそうな。


医学研究データベースから関連する論文を抽出し、データを統合、再解析した結果、

次のようになった。

・59598人の脳卒中患者(ウツあり6052人、ウツなし53546人)を含む13件の研究が見つかった。

・脳卒中後ウツがあるときの死亡率のハザード比は1.52になった。


脳卒中後ウツになる患者の死亡リスクはウツがない患者の5割増しになることがわかった


というおはなし。




感想:

オッズ比とハザード比が並んで出てくるんだけど、

いまだによくわからない。

ひどくなるのか軽くなるのか くらいの判断は雰囲気でわかるので、

まぁよしとしている。


2013年4月8日

脳卒中患者に鍼を打っている最中の脳活動を観察してみた


A comparison of brain activity between healthy subjects and stroke patients on fMRI by acupuncture stimulation.
2013  4月  韓国

鍼が脳活動に与える影響を調べてみたそうな。

運動機能麻痺のある脳卒中患者11人と健常人10人について、

左半身の曲池または足三里というツボを鍼刺激しているときの脳の活動状況をMRIで撮影し、比較した。


次のようになった。

・いずれのツボ刺激も両グループで非常に異なる脳活動パターンを示した。

・健常人グループでは脳卒中グループよりも広範囲の活動が見られた。

・"曲池"刺激のとき健常人では、前頭葉、頭頂葉、小脳、中脳に活動域が見られた、

・一方脳卒中患者では右の下頭頂小葉のみが反応した。

・"足三里"では、健常人グループで左右の前頭葉、頭頂葉、側頭葉、および左の後頭葉、右の小脳、中脳が活性化していた。

・同じ刺激で脳卒中グループでは左右の下頭頂小葉および小脳が反応したのみだった。


ツボの鍼刺激により健常人と脳卒中患者とで異なる脳領域が反応していた。

また、ツボの位置を変えるとその反応パターンも変化した


というおはなし。



感想:

経絡や気の考え方を脳の働きから解釈することができるかも知れない。

楽しみ。

2013年4月7日

脳卒中のあとの慢性的な痛みの種類と割合


Chronic Pain Syndromes After Ischemic Stroke: PRoFESS Trial.
2013  4月  カナダ

脳卒中後の慢性的な疼痛が、どのくらい起きるものなのか調べてみたそうな。


15754人の脳梗塞患者について2年半追跡調査した結果、

次のようになった。

・10.6%の1665人が慢性的な疼痛を経験していた。

・そこには、中枢性疼痛2.7%431人、

・末梢神経障害1.5%、

・痙縮からくる痛み1.3%、

・肩の痛み0.9%が含まれていた。

・また、0.6%は複数の痛みを抱えていた。

・女性、飲酒、ウツ、糖尿、などが疼痛の要因にあった。

・慢性疼痛は自立を妨げ、認知機能の低下と関連があった。


脳梗塞後の慢性的な疼痛はまったく珍しいことではない

というおはなし。



感想:

発症当初は水に触れただけで痛かったけど、

現在残っている痛みは、

左の足の裏と 肩が少々のみ。

血が出ているわけでもないのに感じる痛みって

とても不思議な気分にさせてくれる。

2013年4月6日

左脳『これからはお前にも仕事をしてもらう』、右脳『へっ、楽勝っすよ! ん?わけわか※@△』


Recovered vs. not-recovered from post-stroke aphasia: The contributions from the dominant and non-dominant hemispheres.
2013  3月  アメリカ

左脳梗塞で失語になり、そこから回復できる患者とそうでない患者の違いを調べてみたそうな。


発症後1年以上経ち、

・言語能力が回復した脳梗塞患者9人と

・未回復だった患者18人について、

言語テスト中の脳の活動状況をMRIで撮影し、解析した。


次のようになった。
・言語能力が回復した患者は、左脳優位の典型的な言語活動パターンを示していた。

・言語回復できなかった患者は、右脳半球に代償的な言語活動パターンが見られた。

・左脳の活動信号強度が高いと、言語テストのスコアも高かった。

・梗塞が大きいと言語テストの成績が悪かった。



言語機能は左脳が担うようにできているので、

その機能を一部右脳へシフトしてしまった患者は回復が遅い。

右脳シフトと梗塞の大きさとの関連も調べてみたい


というおはなし。




感想:

脳っておもしろい。

むかし同じ職場の、フロアいち可愛かった女の子の脳(実像)↓を思い出した。

左の前頭前野の脳回曲線がとっても魅力的だった。

2013年4月5日

音楽サポート療法の効果を実感


Playing piano can improve upper extremity function after stroke: case studies.
2013  2月  カナダ

脳卒中患者にピアノを使った音楽サポートセラピーを試してみたそうな。


軽中程度の上肢麻痺のある慢性期脳卒中患者3人について、ピアノレッスンを1日1時間×3週間行った。

電子ピアノを使い、5指を用いた動作指示がコンピュータスクリーン上に出る。


この訓練前後での手指の運動機能を複数の評価方法でテストしたところ、



すべての患者について全てのテストで著しい改善を確認できた


というおはなし。

2013年4月4日

脳内出血リスク→ 黒人は高値一定、白人は年々急上昇


Risk Factors for Intracerebral Hemorrhage: The REasons for Geographic And Racial Differences in Stroke (REGARDS) Study.
2013  3月  アメリカ

脳内出血になるリスク要因を人種別に調べてみたそうな。


白人と黒人 計27760人を対象とした脳卒中調査のデータを解析したところ、


次のようになった。

・平均追跡期間5.7年で62人の脳内出血が起きた。

・白人と黒人とで年齢別のリスクが大きく異なった。

・白人は10年歳をとるごとにリスクが2倍以上増えるのに対し、

・黒人の脳内出血リスクは年齢によらなかった。

・リスクの上昇は主に、収縮期血圧が高くワルファリンを使用している男性に見られた。



脳内出血リスクの人種差は、

45歳時点では黒人が5倍高いけれど、

85歳までには白人の1/3程度になってしまうことがわかった



というおはなし。




感想:

気のせいか白人女性は老けるのが早いという印象を持っていた。

こんなところに理由があるのかも知れない。

2013年4月3日

tDCSで失語症治療をしてみた


Transcranial direct current stimulation (tDCS) of Broca's area in chronic aphasia: a controlled outcome study.
2013  3月  イタリア


tDCS(経頭蓋直流電気刺激)の失語症治療への効果を検証してみたそうな。


慢性期脳卒中で失語症のある8人の患者について、脳のブローカ野をターゲットにプラス電極を頭に貼り付けるtDCS治療を、安静状態で1回20分間×2週間行った。

比較のために偽の電気刺激を与えるグループも作った。


その前後で、言語機能の回復程度を物や動作の命名課題で評価したところ、


次のようになった。

・両グループでほとんど差がなかった。

・1名の患者でのみtDCSで顕著な改善を示した。



今回の実験条件ではtDCSの失語症改善効果はほとんど確認できなかった


というおはなし。


2013年4月2日

年に1回以上歯医者さんにゆくと脳卒中予防になる


Keep teeth clean to ward off stroke risk
2013  3月  台湾

不整脈は心房細動に発展し脳梗塞のもとになる。

歯医者に行く頻度と不整脈との関連を調べたそうな。



60歳以上で、心臓に問題のない約29000人について歯医者に通った記録と不整脈の有無を5年間追跡調査した結果、


次のようになった。

・1年に1回以上歯医者に通っている人は不整脈を起こす危険が3割減った。



歯医者さんに多く通うほど脳卒中予防になることがわかった


というおはなし。




感想:

歯医者さんてすごい。

40年以上行っていないけど。

2013年4月1日

6ヶ月以上経ってから上肢機能が回復する患者の特徴


Temporal recovery and predictors of upper limb dexterity in the first year of stroke: A prospective study of patients admitted to a rehabilitation centre.
2013  1月  シンガポール



脳卒中患者が手先をうまく使えるようになるまでの時間を調べたそうな。


100人の脳梗塞患者について調査したところ、


次のようになった。

・18%、26%、32%の患者がそれぞれ3,6,12ヶ月後に手先の器用さを取り戻した。

・6ヶ月以上経ってから回復する患者には、若くかつ入院時の麻痺が重いという特徴があった。

・上肢機能の回復の程度は入院時の運動機能検査結果との相関が強かった。





32%の脳卒中患者が1年以内にその上肢機能を取り戻している。

一方、時間が経ってから回復する患者は非常に少ないことが再確認できた



というおはなし。

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