経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の上肢麻痺改善効果を検証したそうな。
96人の脳梗塞患者を次の3グループに分けた。
・グループA:病側に陽極を貼る。
・グループB:健常側に陰極を貼る。
・グループC:偽の電極を貼る。
各電極には2ミリアンペアの電流を流し、20分間持続させる。
これを6週間繰り返した。
各グループにはロボット支援の2種類の両腕トレーニングを400回繰り返してもらった。
上肢機能はFugl-Meyerスコアで評価した。
その結果、tDCS前後のスコアは
・グループA:7.8→19.1
・グループB:7.9→18.8
・グループC:8.2→19.2
となり、全てのグループで向上していたが、
各グループ間で、意味のある差はまったく見られなかった。
プラスの電極を付けようがマイナスの電極を付けようが
tDCSには上肢麻痺の機能改善効果はありそうにないことがわかった、
というおはなし。
感想:
最近、tDCS関連の論文がとても多く感じる。
その理屈は rTMSとほとんど同じで、
乾電池のプラス極を頭皮の梗塞側に貼ると脳機能が亢進して、
マイナス極を健常側に貼ると脳機能を抑制する というものである。
電子が発見される前の時代であればこれでも多少の説得力もあったとは思う。
(プラス極だから脳機能もプラスになる… わかり易い。)
だれがどんなことを言っても基本的には自由なのだけれど、
どうしても違和感を持ってしまう原因は、
医師免許を持った人たちがこういう説を唱えている点にある、 と考える。